魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~ 作:レイブラスト
あれから数日が経過した。
「なあ智哉。今度の全国統一テスト、どうする?」
昼休みに博人君にそう聞かれた。今日先生がテストの旨を言ってきたので、どうしようか迷っているんだろう。
「僕は受けるよ。期末になんとか間に合うし」
「私も受ける」
隣にいる彩愛ちゃんも同意する。告白してから彩愛ちゃんは僕にくっついており、学校でも似合いのカップルと密かに名が知れてしまった。これはいいのか悪いのか……
「久数はどうすんだ?」
「もちろん受けますよ」
博人君が今度は近くに立っている久数君に尋ねる。告白をサポートしてもらってから僕らと彼は仲良しになり、今では名前呼びになっている。それだけならいいけど、月村とバニングスとも自動的に仲良くなってしまったんだ。これは少しまずいかな?
「博人君は?」
「俺は遠慮しとくよ。両立が難しそうだし。で、目標の順位はどの辺?」
「そうですね……大きく10位以内を目指したいです」
「とりあえず、良い成績が取りたい」
「上位を目指す。それが一番の目標だ」
「そっか……ま、頑張ってな」
激励の言葉を貰い、その後は談笑をしていた。
そして放課後。僕と彩愛ちゃんと博人君は図書館に来ていた。丁度読みたい本があるんだよね。見つからないけど。
「ここいらはめぼしいのがないなぁ……智哉達は何か見つけたか?」
「まだ何も」
「なら、あっちの方を探すか。智哉達はどうする?」
「僕はしばらくここで探してるよ」
「私も。智哉君と一緒がいい」
「なるほど。俺達子供だってのに、気分は大人でいいなぁ」
羨ましそうに言った博人君だが、そんなことはない。当の大人達は僕達が交際を始めたと知るや否や、パーティを開いて大騒ぎしたのだ。こんなんで研究者が務まるの? と本気で思ったね。
「……? 智哉君、あれ」
「どしたの?」
服の袖を軽く引っ張られ、彩愛ちゃんが指した方を見ると車椅子の女の子が高い位置にある本を取ろうと四苦八苦していた。
「……絶対、八神はやてだな」
「手助けした方がいいかな?」
「原作に関わるから止めた方がいいんだろうが……あんなの見て何もしないんじゃ、良心が痛む。僕が行って……おや?」
助けに行こうとしたが、死角になってた場所から別の男の子が歩いて来て本を取り、八神に渡してしまった。
「白崎君?」
「彼がここにいるのは……原作を進める為だろうな」
というか、それ以外に理由が見えない。
白崎君は八神と談笑をし始めると、やがて目を見つめた。すると一瞬、ほんの一瞬だけ、八神の様子がおかしくなったのに僕達は気づいた。
「っ! ……ギアスを使ったな」
「うん。内容は、前と同じ」
『一体、彼の目的は何なんでしょう?』
小声で尋ねてきたフェアリーに対し、揃って首を捻ると八神達からできるだけ離れた。どうしてかは知らないが、見つかったらまずい気がしたんだ。
「彼の目的ははっきりしないな……久数君は割とはっきりした目標があったけど」
「確か、「アリサさんとすずかさんの……好きな人達の傍に居続けることが、俺の目標です」って言ってたね」
「当の2人は顔真っ赤だったけどな」
しかも聞けば、「2人が俺を好きかどうかはわかりません」とのことだ。彼女達は好意を持ってるし彼も彼女達が好きだが、彼女達が中々伝えられずにいるというのが現状だな。事実、それ以降バニングス達が恋愛相談をしてくるようになったし。
「2人共、何か見つかったか?」
考えてた時、博人君が戻ってきた。
「いいや。そっちは?」
「読みたいものがほとんど借りられててさ。これくらいしかなかった」
そう言って見せてきたのは……何々……スターゲ○ト? うわ、前世で読みまくってた奴だ。すんごい面白いんだよね、これ。
「凄い面白そうだな、それ」
「お、本当か?」
「映画版を見たことがある。面白い話だった」
「ほう。ならこれを借りてみんなで読もうか」
「そうだね」
他に読みたいものもなかったので、僕達は帰ることにした。
「…………?」
一方誠一は、先ほどまで智哉達がいた場所をじっと見ていた。
(メサイア。今居たのはなのはの時にいた男女と、フェイトの時に居た女子に違いないか?)
(98%の確率で本人です)
(そうか……これではっきりした。彼と彼女は転生者かイレギュラーだ。なのに介入してこないのは何故だ? 転生者やイレギュラーは、原作に介入しなければならないというのに。こうなったら、多少強引にでも原作に関わらせるか? いや、下手なことをして悪印象を持たれたらまずい。ギアスを使えるのは1人につき一回までだからな。やはり、A's編が終わるまでは傍観しているか)
誠一は今後のことについてしばし考えていた。