魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~ 作:レイブラスト
「はっくしょい! うぅ、寒……」
やあ諸君。季節が一気にすっ飛ぶが、今は12月の半ば頃。ここまで特に何もなかったんで割愛させてもらった。
「誠一。昼、一緒に食事しよう?」
「あ、ずるい! 誠一君は、私と食事するの!」
「違うよ。私とするんだよね、誠一?」
……訂正する。何カ所か変わったところがある。まず1つは、フェイト・テスタロッサとアリシア・テスタロッサが転校して来て、白崎君にベタベタし始めたこと。2つ目に、高町が彼を名前の呼び捨てにし出したこと。ちなみに当の本人は……
(俺何かしたか? 何で抱きつかれてるんだ?)
とのことだった。こりゃ頭ぶん殴らないとダメかもしれない。そして3つ目は、夏休み終了直後に久数君がバニングス達と交際し始めたのを知ったこと。本人達は友人である僕達だけの秘密にしてほしいそうで、勿論承った。
大体こんなところかな。
「大丈夫か? 最近ぐんと寒くなってきたから、風邪引かないようにしろよ」
「わかってるって。それより、今度のクリスマスパーティーだけど、予定被ったりしない?」
「大丈夫。少し前にやるみたいだから」
何を相談しているかと言うと、今度の25日……つまりクリスマスに僕の家でパーティーをすることになってるんだけど、博人君が通ってる剣道場でもクリスマスのパーティーをやると聞いたんで、日程が被らないか尋ねてた。
「それと、イブにはみんなでプレゼントを買いに行く予定なんだけど、その辺どう?」
「俺はいいんだけど、真由里はどうしても予定が合わなくて、前日の23日に買いに行くってさ」
「あれま残念」
予定が入ってるんじゃ仕方ない。3人だけで買いに行くとしよう。
(でも、何か忘れてる気がするんだよなぁ……)
「ねぇ智哉君。前々から思ってたんだけど、この日に出かけて大丈夫?」
「え?」
小声で彩愛ちゃんがそう聞いてきたので、思わず間抜けな返事をしてしまう。
「だって……A's編での最終決戦があるんだよ?」
「!? そ、そうだった……!」
僕としたことが、すっかり頭から抜けていた! 集合時間は……夕方!? まずい、鉢合わせどころか巻き込まれる可能性が!!
(ていうか、原作で巻き込まれた場所ってどこからどこまでの範囲なの? 僕達が行く場所も含まれてる訳? ……だとしたら終わった……)
今更予定変えることできんし……だが、まだだ! まだ終わらんよ! こうなれば鉢合わせた時のプランを山ほど考案してやる!!
(寝る間も惜しむ必要があるな……)
クソ、年末までに色々しなきゃいけないってのに、仕事が増えてしまった。
そして数日後。運命のクリスマス・イブ。
「全員集まってるな? それじゃあ、行くとしますか!」
「仕切りまくってるね、今日の博人君は」
「当たり前さ! 俺のテンションはもうMAXだ!」
(僕のテンションは急降下墜落気味だけどね……)
この日の為に対抗プランを3桁考えてきたけど、不安が拭えない。原作に関わらないという自分の目標は何だったんだろ……
「ここまで来たら、腹を括るしかないよ?」
わかってるよ、彩愛ちゃん。少しネガティブな気持ちになっただけだ。というより、君の精神力も相当強いよね。ちょっとは僕に分けてほしいよ。
「どうした智哉? さっきから黙ったままで」
「ん? いや……何買おうかなって考えてて」
カバンの中にシュロウガ入ってるけど、使いたくないし。ああ、どうなるんだろうか……
一時間後 病院・屋上
こちらでは既にA's本編におけるクライマックスに突入しており、ヴォルケンリッターと呼ばれる4人の存在が闇の書というデバイスに吸収され、はやてを取り込んで復活した管制人格がなのは達と対峙していた。
「まずいことになったな(原作通り、か。わかってはいたが、嫌な場面だ)」
「マスター、どうしますか? 相手は……」
「今は戦うしかないでしょう……彼女を救う手立ては、俺にはないんですから」
「どうして、こんなことに……」
「何とか助けないと!」
「……無駄だ」
管制人格は端的に言うと、右手を前に突き出し球体状に魔力を収束していく。
「デアボリック・エミッション」
呟くと同時に、圧縮された魔力が一気に解き放される。
「メサイア!」
『パーフェクトプロテクション』
「こんなもの! せえいっ!」
「助かります、セイバーさん」
誠一と久数は各々のデバイスによって周囲と自分を守り、ダメージを可能な限り防いだ。
その直後、広域結界が張られた。
(これでいい。後は、アリサとすずかが巻き込まれている筈だ)
周りを見渡しながら、誠一はそう考えていた。だが……
(マスター、緊急事態です。結界内にアリサ・バニングスと月村すずか以外に3名の人物がいます)
「何だと!?」
予想外のことに声を荒げ、近くにいた久数達がどうしたのかと彼を見る。
「……非常にまずいことになった。この結界の中に、5人の一般人が取り残されている」
「えぇぇ!?」
「5人!?(そんな、原作ではアリサさんとすずかさんだけの筈。一体誰が?)」
「悪いが、ここは任せたぞ。俺は彼らを安全な場所まで誘導しに行く(残りの3人が誰なのか、確かめなければ!)」
「俺も行きます。貴方1人では、5人は多いでしょうから(残りの3人は、まさか……)」
「わかりました。ここは私達に任せてください」
セイバー、なのは、フェイトを残し2人は戦線を離脱した。
その頃、智哉の家では
「ふぅ、これで飾り付けは完了と……」
明日のパーティーに向け、家に飾り等を付けた隼也と優美が一息つく。
「明日が楽しみね」
「ああ。友達も来るって言ってたし、賑やかになりそうだ」
そう言って椅子に座り、ふとノートパソコンの画面を見た時、彼の笑顔が消えた。
「これは……どういうことだ……?」
「どうしたの?」
「……シュロウガの……智哉の反応が、消えてる……」
その言葉に優美は飾り付けの余りが入った箱を落としそうになった。
「智くんに……何か、あったの……?」
「それはわからない。が、シュロウガに搭載された発信電波は障害物を貫通する。途切れるのは予測できない事態が起きたか、あるいは……智哉が、死んだ時……」
「っ!! そんな、そんな筈ないわよね? 智くんが……し、死ぬ……なんて……」
「ああそうだ! だからどうにかして電波が受信できない原因を探る。……智哉が死ぬ訳が、あってたまるか……!!」
正確には結界によって電波が遮断されてしまったのだがそれを知る術はなく、両親は彼を探す為に、電波が途切れた原因をまず探り始めた。