魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~ 作:レイブラスト
「…………なぁ智哉。俺達、ついさっきまで買い物してたよな?」
「うん」
「偶然アリサ達と出くわした時はびっくりしたけど、割と普通に会話してた……よな?」
「うん……」
「じゃあ何で―――――俺達以外誰もいない上に何かドンパチやってるような音が聞こえてくるんだ!?」
パニック気味に叫ぶ博人君。無理もない。闇の書の管制人格が発生させたと思われる広域結界に、見事に巻き込まれてしまったのだから。それも遠くにポツンと見えるが、絶賛戦闘中だし。
「智哉君、どうしよう……」
「どうしろと言われてもな」
他の人達から見れば単純に不安そうに見えるだろうけど違う。僕達はどうしたら原作に関わらずに済むのか不安でいっぱいなんだ。
「これが、結界?」
「久数君が言ってたのとは少し違うけど、多分そうだよ」
「何で2人はあんまり驚いてないんだ? それに久数って……」
そこまで驚いていないバニングスと月村に対し逆に驚いた博人君(僕達も内心驚いている)が尋ねる。
「それは……」
「アリサさん! すずかさん! 大丈夫ですか!?」
その時、上の方から声がした。全員がつられて上を見ると、久数君と白崎君がバリアジャケットらしきものを纏って浮いていた。
……一応驚いとくか。
「何で「ひ、人が空を飛んでるーーーーーー!?」うわぁっ!?」
突然博人君が隣で大声で叫んだ。
「どうしたんだよ!?」
「だって生身の人間が空飛んでるんだ! 普通驚くだろ!? 何で君は驚いてないの!?」
「驚いたよ! でも君の大声の方がもっと驚いたよ! お蔭で最初のインパクトがすっ飛んだんだ!!」
「耳がキーンってなった……」
「……ごめん……」
捲し立てる僕と耳を塞いだ彩愛ちゃんを見てさすがに悪いと思ったのか博人君は素直に謝った。
「あの、ケガとかありませんか?」
「ああうん―――って久数!? それに白崎まで……何で!?」
「やっぱり貴方達でしたか……」
「どういうことだ? 何で2人がそんな格好して…しかも、アリサとすずかは何か知ってたみたいだし」
「話せば長くなるんですが……アリサさん、すずかさん、申し訳ないんですが、説明を頼んでもよろしいですか?」
「いいわよ。よくわからないけど、アンタ達は何かと戦ってるみたいだし」
ふむ。どうやら、彼女達は魔法のことを(おそらく久数君経由で)知っているみたいだ。
「西神、時間がない。早く安全な場所まで誘導させるぞ(3人の内2人はやはり奴らか。もう1人は巻き込まれたと見える。それに…アリサ達は既に魔法のことを知ってるようだ。西神か? チッ、余計なことを……)」
「わかりました。では、こちらへ」
久数は被害が及ばないように僕達を誘導する。上手いな。
「さて、それでは俺達はもう行きます」
「急ぐぞ」
そして誠一と共に去って行った。
「一体何だったんだ……何が起きてるんだ?」
「何が起きてるかは私達にはわからないけど、久数達が何なのかは知っているわ。すずか、少し面倒だけど説明しましょう」
「うん。どのみち3人には話さないといけないって思ってたし」
バニングスと月村は、僕達に魔法に関することを順を追って説明し始めた。
「はぁ…はぁ…間に合いましたか!?」
「どうやらそうみたいだな」
久数達が戦線復帰した時には、セイバー達が押され気味でいた。
「3人がかりでも圧倒されるとは……」
「化け物級の強さだな」
改めて管制人格の強さに驚愕、感嘆した時管制人格が闇の書を開いた。そこにフェイトが斬りかかろうとする。
「(あの技は確か……!)ダメだぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」
「っ!?(あのバカ!!)」
フェイトが辿る結末を知っている久数は彼女を助けようと敢えて管制人格との間に立とうとするが、誠一に首を引っ張られ中途半端に妨害される。その結果、フェイト、久数、誠一が闇の書に取り込まれていった。
「白崎君……どうし、て……」
(よし、これで原作の流れは踏襲できた。西神のデバイスが邪魔しなければいいが……)
「ま、マスター!!」
「誠一!!」
様々な思惑を残し、3人は完全に取り込まれた。
「魔導士にデバイス、時空管理局か……聞いただけだと信じがたいな」
「私達だって最初はそうだったわよ」
「久数君が見せてくれなかったら、信じていたかどうか……」
「ともかく、その魔法ってのを使って、久数君達は何かと戦ってるんだな?(間違いなく闇の書だろうが)」
「大丈夫かな……?(ケガしないといいけど)」
目撃したり話を聞いたからって管理局と関わらないよな? 僕はともかく、彩愛ちゃんは巧妙に隠しているとはいえデバイス持ってるし……心配だ。
(そう言えば、そろそろ闇の書に取り込まれたテスタロッサが復活して大反撃に出る時間だ)
シュロウガ(待機)に付けられている画面には広範囲の情報がリアルタイムで入ってきており、アルフやシグナム、クロノ等のメンバーが続々と集まってるのが見てとれた。
(さて、どんな結末になるのやら)
白崎君は原作通りに進めるらしいが、ここに僕達が居ること以前にアリシアを助けていることで原作と異なっていることに気づいているのだろうか? 或いは、助けた上で原作通りに進めようとしているのか。どちらにせよ、何故原作通りに進めようとするのかがわからない。一度聞いてみたいけど、聞けないからもどかしい……。
一方久数達は既に闇の書から脱出しており、智哉の予測通り闇の書の闇―――防衛プログラムに攻撃を加えようとしていた。
「これだけ的が大きければ……翔けよ、隼! シュツルムファルケン!!」
「轟天爆砕……ギガントシュラァァァァァァァク!! ぶっ飛べぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!」
最初にヴォルケンリッターであるシグナムとヴィータが必殺の魔法攻撃をぶつける。
「エターナルコフィン!!」
「これで……どう!?」
怯んだ隙に、クロノが凍結魔法で防衛プログラムを凍て付かせ、更にプレシアの雷撃魔法が直撃する。
「
「「「うん!(何で彼の言うことを……)」」」
「全力全開! スターライト―――」
「雷光一閃! プラズマザンバー―――」
「響け終焉の笛! ラグナロク―――」
久数は様々な重火器を一度に全て出し、3人は本気の一撃を放とうとする。
「「「ブレイカァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!」」」
「全弾発射ァァァ!!!!」
3色の砲撃魔法と全ての重火器から放たれた弾丸が防衛プログラムを襲う。全てが直撃した防衛プログラムはボロボロだ。
「まだだ! 食らえぇぇぇ!!」
誠一は防衛プログラムの懐に飛び込むとハルバード形態になったメサイアの刃に魔力を込め、大きく振るうと同時にソレを魔力斬として飛ばし防衛プログラムを上空へ吹き飛ばす。
「セイバーさん! ダメ押しの一撃を!!」
「わかりました!」
その真下にセイバーが移動し、鞘からゆっくりと剣を引き抜く。
「
そして、一気に振り下ろす。
「―――
強力な斬撃が飛び、防衛プログラムに直撃する。これで後は宇宙に転移させ、次元航行艦アースラの武装で消滅させる筈だが……
『や、闇の書の闇……反応、完全に消失しました……』
オペレーターのエイミィ・リミエッタの唖然とする声と共に、全員が「ん?」という表情になった。セイバーが放った一撃が、防衛プログラムを完全消滅させてしまったのだ。
「ど、どうしましょう、マスター……」
とんでもない事態におろおろとするセイバー。
「えと、結果オーライで、いいんじゃないでしょうか……?」
戸惑いながらも久数はそう言う。
「……終わったことだし、もういいんじゃないか?(アイツ等、最後まで余計なことを……! 決めた。はやてが通学してきたら、まずアリサとすずかにギアスを掛ける。その次に西神と奴のデバイスをまとめて消す。尾崎達を関わらせるのはその後だ。メサイア、力を貸してもらうぞ)」
(イエス・マイマスター)
「お。景色が元に戻っていく……」
やっと戦闘が終わったのか。待ってる方としては、長いようで短いようだったな。
「さてみんな、帰ろうか」
「そうだな。色々驚いてるけど、とりあえず家でゆっくりしたい」
「忘れ物はない? ちゃんと持ってる?」
最後に買ったものをしっかり持って、僕達はそれぞれの家に帰った。
―――余談だが、僕が帰ったらお母さんとお父さんが泣きじゃくって抱き締めてきた。シュロウガの発信機が云々言ってたけど、結界のせいで一時的に行方不明扱いになってたかも。悪いことしちゃった……だけど、また元気になってくれたみたいでよかった。
そして翌日のクリスマスパーティーは、無事に過ごすことができた。