魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~ 作:レイブラスト
智哉「宣伝効果という訳か。上手いこと考えたなぁ」
「う…うぅ……ここは……?」
目を覚ますと、彼は布団で寝ていた。
「気がついたみたいだね、久数君」
寝起きの彼―――久数を見下ろしているのは智哉だ。
「智哉君……貴方が、助けてくれ……っ…!」
「無理しない方がいい。全身ボロボロなんだから」
起き上がろうとして苦痛に顔を歪めた久数を再び寝かしつけると、智哉は助けた時の状況を説明した。
あの時、智哉は敢えて久数の言葉通りに動くことで誠一の目を欺き、2人を安全な場所まで避難させた上で高速巡航モードに変形し上空から接近。爆発に飲まれる瞬間に久数を助け出し、急速離脱して死亡したと思わせたのだ。そしてここまで運んだ後、彩愛ちゃんの能力で治療したのだ。もう少し遅れてたら、久数君は本当に死んでいたから肝を冷やした。
「敵を騙すには味方からって言うでしょ?」
「はは……これは一本取られました……」
「いや冗談言ってる場合じゃないよ。すぐそこまで危機が来てるぜ?」
「?」
何があるのかと聞き耳を立てると、誰かの足音が近づいているのがわかった。それも走っている。少しして、久数の居る部屋のドアが勢いよく開かれ、
「「久数(君)!!」」
「マスター!!」
アリサ、すずか、セイバーがベッドの隣まで急接近した。
「ど、どうしたんですか? みんな揃って険しい顔して……」
「どうしたもこうしたもない! 全部聞いたんだから! アンタ、自分を犠牲にしてセイバーさんを助けようとしたんでしょ!? どうしてそんな後先考えないことするのよ!!」
「今回は助かったからいいけど、もし久数君に何かあったら……私……!」
「マスター……貴方は、貴方自身が考えている以上に、慕われているのです。それに気づいてないのですか?」
「(……そうだ。こんなことに気づかないなんて、俺は大馬鹿者だ……!)申し訳ありません……」
そう言うと、久数は痛む体に鞭打ち、3人をそっと抱き寄せた。
「もう絶対あんな真似はしません。たとえ嫌われても、俺はずっと傍にいます」
彼の言葉に顔を赤くする3人。だが……
「あのさ……そういうのって、俺等の目が届かないところでやってくれない?」
「………………」
少し離れたところで博人が気まずそうに見ており、彩愛は顔が真っ赤になっており、智哉はどうしたらいいのかわからなくなっていた。
「えと、何かすいません……」
思わず謝ってしまう久数だった。
「それにしても彩愛さんも魔導士だったとは驚きです」
あの後、どうにか場を落ち着かせると久数はそう口にした。智哉のシュロウガについては密かに知っていたので驚きはしなかった。
「で、これからどうしましょう」
「いくつか考えがある。まず、バニングスさん達は学校では久数君のことに関しては少しの間は無関心な素振りでいること」
「私達が催眠術に完全に掛かっていると思わせる為ね」
「ああ。次に久数君だが、しばらくここに匿ってもらうといい。下手に出て行ってまた命を狙われたら大変だ」
「わかりました」
「彩愛ちゃんと僕は……単独だと狙われる可能性があるから、できる限り一緒に居た方がいいかな。帰りは彩愛ちゃんの転移なら安全だと思う」
「なるほど……それで、この後はどうするんだ?」
「ここからが大事だ。まず僕達は久数君が使っていた回線を使って管理局の人達を翠屋に呼び出す。もちろん白崎君もだ。そこで、高町に掛けられてるギアスの解除や収録した音声の公開等をして彼を追い詰める。逃げ場がないくらいに」
「それだけで上手くいくの?」
「細かいところはこれから決めるさ。何、二週間くらいあれば大丈夫だ」
こうして、白崎を追い詰める為の作戦が少しずつ決まっていくことになる。友達に手を出したんだ。もう戦いが嫌いだとか言ってられない! やられたことを倍返ししてやる!!
翌日。この日は休日で、僕は両親と昼食を取っていた。
「そう言えば智哉。実は決まったことがあってな」
その途中でお父さんが大事そうな話題を切り出した。
「何が決まったの?」
「聞いて驚け。俺達が進めていた研究の後継者が出たんだ。しかも、まだ高校を卒業したばかりの女性にだ」
「え……どんな人なの?」
「凄いぞ。俺と優美で構築してきた理論とシュロウガのデータを数日で解析して、更に独自に研究して先にまで進んだんだ。それも1人でだ」
「何そのオーバースペック」
何十年もかかってできた理論を数日で理解して尚且つ先に進むなんて、どう考えてもおかしい。
「世の中にはいるもんだなぁ。本当の天才が」
「そんなこと言ってる場合? ていうか、ホント誰なのその人?」
「詳しく知りたいなら会ってみるか? 今日うちに友達連れて遊びに来るって言ってたし」
「え、いつ?」
「確かもうそろそろだったわ……あらいけない。食器の片付けしないと」
「いやまだ食べてる途中なんだけど!?」
若干慌ただしかったが、どうにか来る前に片付けることができた。
そして数分後。
ピンポーン
「あ、来たみたい……って彩愛ちゃん? どうして……あ、案内してきてくれたのね。ありがとう」
どうやら彩愛ちゃんが家まで案内してきたみたい。でも何だろう。彩愛ちゃんが滅茶苦茶びっくりしてる。
「どうしたの?」
「と、と、と、智哉君……あ、あ、あの人……!」
驚きのあまり何言ってるのかわからない。一体何が―――
「やっほ~! こんにちは、初めましてー! みんなのアイドル、―――さんだよ~!」
「「初っ端からそれかい!!」」
「………………」
変なウサ耳つけてる女性とそれにツッコミ入れてる女性と男性を見て僕は固まった。男性の方はそうでもないんだけど、2人の女性は…………どう考えてもアレだからだ。
更によく見れば、後ろに6歳程の男の子が2人と女の子が1人いた。
(あれ?)
何だろう。さっきの男性と男の子2人を見てると妙な感覚になる。彼らは……僕や彩愛ちゃんと同じ……? まずい、自分で考えてて訳がわかんなくなってきた。
「どうか弟達とも仲良くしてやってください」
「もちろんだとも」
向こうでは話がどんどん進んでる。あ、これ僕置いてかれたわ……とりあえず、仲良くはしておこう。
「初めまして、尾崎智哉です。よろしく」
「は、初めまして。―――です」
「―――です。よろしく!」
「―――です。よろしくお願いします」
…………うん、間違いない。白崎君の原作通りと言う思惑完全にぶっ壊れたわ。
てかこれ、後の人生に影響しないよね?