魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~   作:レイブラスト

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EP22

「ぐっ……いきなり何をするんだ!?」

 

翠屋から離れた場所でようやく手を放されると、どうにか着地して怒鳴るように尋ねる。理由は大体わかってるけどね。

 

「上川はギアスキャンセラーを持ってはいたが策略をめぐらす程頭が回るとは思えない。お前なんだろ!? 今日のことを考えたのは!」

 

「……そうだと言ったら、どうする?」

 

「決まってる! ここでお前と上川を消して、全員にギアスを掛けて今日の記憶を消す!!」

 

あー、やっぱり。そうくるかなって思ってたよ。……ていうかさ、今の君って口調がえらく別人になってるね? いつものクールなイメージとは真逆だ。

 

「メサイア! 奴のデバイスと魔力ランクを計測しろ!」

 

『既に行いました。ですがマスター、彼は魔力を持っていません。あの強化戦闘服も、デバイスではなく質量兵器です』

 

「何っ!? 質量兵器だと!?」

 

すんごいびっくりしてる。計測できる機会は一年以上あったって言うのに、確証がないからとかで計測しなかったのがいけない。ま、計測したところで僕が一般人という判断を下されたんだろうけど。

 

「チッ! まあいい。相手が何であれ、消すのに変わりはない! 行くぞ、メサイア!」

 

『イエス・マイマスター』

 

どでかい斧(ハルバード?)に変形させたデバイスを持って走ってくる白崎君。年齢に不釣り合いな程の速度だ。

 

「(それなら…)ラスター・エッジ!」

 

額から緑色のビームを放つ。あくまで牽制用だがノーモーションで発動できるので相手の不意を突くことは可能だ。事実、白崎君は一瞬動きが止まり、すぐに防御魔法を展開した。良い判断だ。対魔導士ならだけど……

 

「バカな!? うあっ!!」

 

ラスター・エッジは防御魔法をどこぞの研究所のバリアみたくパリンと破るとそのまま白崎君の頬を掠めた。

 

「く、くそ、油断したか……!」

 

「想定外の間違いだろ? 今度は僕から行かせてもらう……行け、トラジック・ジェノサイダー!!」

 

シュロウガの四箇所の発射口から黒く小さい鳥のようなものを放ち、白崎君に向かわせる。

 

「この程度、避けてみせる!」

 

最初の一撃は躱されたが、この武装は誘導武器。避けたところで再び追撃する。

 

『攻撃、尚も追尾して来ます!』

 

「追尾だと!? これしき―――がっ!?」

 

再度避けようとするも今度は回り込まれ、別方向からの体当たりを同時に食らって倒れ込む。別に死んだりはしないけど、体力はかなり持っていった筈だ。

 

「やっと追いついた!」

 

更に、翠屋にいた面々が続々と結界に突入してきた。……結界? そう言えばいつの間にか張ってあった。白崎君がやったんだろう。

 

「誠一君と戦ってるのは何!?」

 

「尾崎だ! アイツがデバイスを起動させたんだ!」

 

「!? いや違う! アレはデバイスではないし、そもそも本人から魔力の反応がしない。アレは質量兵器だ!!」

 

「何ですって!? あんな質量兵器が存在してると言うの!?」

 

みんな僕を指して騒いでいる。そんな言わなくても……あ、白崎君が立ち上がった。

 

「ぐ……おいお前! 質量兵器とは言えど、それだけの力を持ちながら、どうして原作に介入しようとしない!? どうして俺の邪魔をする!?」

 

「別にいいでしょ。介入するかしないかは本人の自由だし。後何で邪魔するかって、友達が殺されそうになったんだぞ? せめてこれまでは静観してようと思ってたけど、それで気が変わったんだ。邪魔の1つや2つくらいいいだろ?」

 

「ふざけるな!! 自分がしたことがわかってるのか!? 俺が積み上げて来たものを全て崩しやがって! ここでお前達を消さなきゃ、スカリエッティ一味はおろか、ゼストやクイント、メガーヌにティーダまで助けられなくなるんだぞ!?」

 

ここでそれを大声で言うか普通? 見ろ、みんな動揺しまくってるぞ。

 

「どうして……どうして彼が広域次元犯罪者の名前を知っているの!?」

 

「それだけじゃない! 彼はストライカー級魔導士の名前まで知っていた。どういうことだ!?」

 

これ、僕を確実に倒さないと取り返しがつかないんじゃない? 倒されるつもりなんて毛頭もないけど。

 

「そんなの知らないよ。それに、殺人をしようとした君が誰かを助けるなんて、堂々と言わないでくれる? この偽善者が」

 

「黙れぇぇぇぇえええええええええええええええええ!! 俺は、白崎誠一だぞっ!!」

 

僕に接近してデバイスを振り下ろしてくる。

 

「鬱陶しいな……ディスキャリバー!!」

 

右手に魔王剣・ディスキャリバーを召喚するとデバイスを十字を組むようにして受け止める。

……さっきも思ったけど、年齢に反して白崎君は筋力が高校生並に強い。多分身体強化の特典でも貰っているんだろう。

 

「ぐっ……押し切れない……!?」

 

でもシュロウガのパワーには負けるようだ。ま、元は成人が動かすように作ってあるから当然だろうけど。

 

「何もかも自分の思い通りに行くと思うな……せいっ!」

 

「がっ!?」

 

腹にキックをお見舞いしてやり、距離を離す。その直後に、ディスキャリバーの刀身を右手で握って切り傷を作り、血液のようなものを滴らせる。

 

「これで終わりだ。ランブリング・ディスキャリバー!!」

 

スラスターを全開にし、白崎君をディスキャリバーで切り刻む。始めの一撃でデバイスを弾き飛ばすと、何度も何度も切り刻んでいく。そして攻撃しながら血液で作っておいた魔方陣が完成すると離脱し、爆発させる。

 

「が……は……!」

 

死にはしなかったが大怪我を負ったようで、壁に持たれたまま動けないでいた。

彼を横目で見ると、僕は待機形態になっている彼のデバイスを拾い上げる。

 

「おいデバイス『私の名はメサイアです』…メサイア。一言言わせてくれ。何で君は白崎君を止めなかった? 主を止めるのも、デバイスとしての仕事じゃないのか?」

 

『私の思想はマスターの思想そのもの。何故止める必要が?』

 

「……そうか」

 

聞くだけ無駄だった。もうこのデバイスに用はない。僕はデバイスを持つ手に力を込める。

 

「お前を破壊する。これ以上彼に力を持たせない為に」

 

『あ……が……マ、マス…ター………!』

 

有無を言わさず、握りつぶした。

 

「メサイア!! お前……よくも―――ぐぁっ!?」

 

「白崎誠一。君を逮捕する……!」

 

そこへクロノが割り込み、白崎君を一発殴ると手際よく捉えた。中々良いタイミングで来るね。もうシュロウガを解除してもいいかな。

 

「気をつけて。彼は自分の目を見た者を催眠状態に置きます」

 

「目を? そうか……ありがとう」

 

今度は彼の目を布で巻き付けて塞ぐと、僕達と共に翠屋へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい。間接的とはいえ、店を壊してしまって」

 

「いいのよ。応急修理くらいならできるから」

 

「いや、管理局の責任として僕達で修理させてもらう。それぐらいはいいですよね?」

 

『ええ、もちろん』

 

「あの、今後アースラチームはどうするんですか? 嘱託とはいえ、管理局員が起こした事件ですし……」

 

不安そうに久数君が尋ねる。

 

『誠一君を連行するのは確実として、今後は地球に一切干渉しないわ。局員の不祥事に関しては、ケジメをつけないといけないし』

 

「そうですか……」

 

久数君は少し残念そうで、どこか安心していた。もうミッドに行かなくても済むと思っているんだろう。

 

『クロノ。そろそろ彼を』

 

「了解。……誠一」

 

白崎君を促すが、彼は往生際が悪くジタバタともがいていた。

 

「おい誰か、拘束を解いてくれ! なのは! フェイト! 誰でもいい、早く! 俺はお前等の恩人だぞ!?」

 

「誠一君……私、残念だよ。誠一君の性根が、こんな風だなんて……」

 

「母さんとアリシアとリニスを助けてくれたのは嬉しかったし、感謝してる。でも、それとこれとは話が別」

 

「私もテスタロッサと同意見だ。主とリインフォースを救ってくれたことには恩を感じている。しかし、主達に催眠術を掛け、あまつさえ人の恋心を踏みにじろうとした貴様の行動は、決して許されるものではない」

 

「なっ……! テメェ等、どんだけ俺が助けてやったと思ってるんだ!? 俺が居なかったら、みんな死んでただろうが!」

 

「(どこまで卑屈なんだ、コイツは……)…………ん?」

 

呆れ果てていた時、シュロウガのモニターに何かが反応した。それを見て、僕は桃子さんに言った。

 

「すいません桃子さん。テレビ、つけてもいいですか?」

 

「え? ええ、いいけど……」

 

許可を貰い、リモコンを操作してテレビをつけてチャンネルを変える。次に白崎君の近くに行って小声で話す。

 

「これからやるテレビの内容をよく聞け。そして知るんだ。君が言う原作とは、もうかけ離れていることを」

 

「……?」

 

訳がわからないと言った様子で、彼は集中する。テレビでは臨時速報が始まっていた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『り、臨時ニュースです! たった今、各国の軍事基地に配備されていた、ミ、ミサイル約二千発が、日本に向けて発射された模様です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!? この流れは……IS!?」

 

「さすがに知ってるか。そう、ここから先は『リリカルなのは』じゃない。『IS』の物語になるんだ。……最も、それさえも原作とは違うみたいだけど」

 

テレビには海上に佇む機体を映しているが、その姿は縮小したOガンダムそのものだった。もう既に何者か……多分あの時会った男性が介入しているのだろう。

 

「俺が知ってる原作は、壊れた訳か……は、はははは……あはははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」

 

……狂ってしまったか。

 

「行こう、彩愛ちゃん」

 

「……うん……」

 

『これで、彼は終わりですね。何か清々しました』

 

未だ混乱している翠屋を後に、僕と彩愛ちゃんは帰路についた。




敗北。そして世界の変化。物語は移り変わり、彼らの運命も変わる。その先にあるのは……
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