魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~ 作:レイブラスト
どうもこんにちは、尾崎智哉です。
早いもんで、あれから3年が過ぎて聖祥小学校の3年生になった。学校は同じだが、クラスはなのは達とは別だ。巻き込まれるのは御免だからね。ま、彩愛ちゃんと同じクラスだからいいけど。
「智哉君。1組にフェレットがいるって」
「ん……とうとう始まったか」
彩愛ちゃんに言われ、背伸びをする。
「2人共行かないの? 可愛いらしいぞ?」
今話しかけているのは、
「課題を片付けたいからいい。それに、わざわざ見にいくより彩愛ちゃんといた方がいい」
この学校は私立だけにレベル高いからな。しっかり勉強しておかないと。
「もう……智哉君……」
「はいはい、仲睦まじいことで」
顔を赤らめる彩愛ちゃんと呆れたようにかぶりを振る博人君。いつも通りの光景だ。
「それで昼ご飯だけど、どこで食べる?」
「昨日はここだったから、屋上はどうだ?」
「私も、屋上がいい」
「なら屋上で決まりな。また昼休みにな」
そう言って博人君は去って行く。ちなみに言っておくが、博人君は転生者じゃない。れっきとしたこの世界の住人だ。
そんでもって昼休み。
「おや、またやってるね」
「うん」
「見てて羨ましい限りだ」
屋上の一角に腰を降ろしながら、ある人物達を見て評す。何が起こっているかと言うと―――
「お待たせしました。アリサさん、すずかさん」
「遅いわよ! ご飯冷めちゃうじゃない」
「折角久数君の分まで作ったんだから」
「すいません……俺なんかの為に」
「こ、これは別にアンタの為じゃなくて、久数に、料理の意見を聞いてほしいから……そ、それだけなんだから!」
「もうちょっと素直になろうよ、アリサちゃん」
「だから私は……」
「あの、冷めちゃいますよ?」
「わ、わかってるわよ!!」
……何だこのラブコメ劇は? そう言いたくなる。こんなのが毎日とは言わないが、何度か目の前で起きている。月村すずかとアリサ・バニングスと共にいるのは白髪オッドアイの、確か……西神久数と言う子だったな。典型的な踏み台かと思ったけど全然違ってて、ギアスで心を読んでも、特にやましいものは見つからなかった。
「それにしても、2人共ご飯がおいしいですね。将来、いいお嫁さんになれますよ」
「にゃぁ!? お、おおお嫁さんって、な、何言って……!」
「私が、久数君の……はぅぅ」
「え、あの……」
「……何あれ。何か腹立つんですけど」
博人君が言うのも最もだ。西神からすれば、踏み台としての発言をしたつもりなんだろうが、見事に2人を落としている。まあ、踏み台やって騒がしくなるのもごめんだけど。
「確かに、見方によっては……ん、おいしい。これ手作り?」
「うん。智哉君が喜んでくれると思ったから……お母さんに手伝ってもらったけど」
「そ、そうか。何か、嬉しいな……」
「人のこと言える立場じゃないだろ」
まあね………おや? 西神達に近づく人影が……アレは高町なのはに、白崎誠一って奴だったな。所謂オリ主って奴だ。是非頑張ってほしいんだが、心の中を読んでも目的がよくわからなかったんで、僕は首を傾げている。
「アリサちゃん、すずかちゃん……また西神君といるの?」
あ、高町が話しかけた。でもトーンが変だな。
「何よなのは。居たらいけないの?」
「だって噂になってるんだよ? 西神君は、すずかちゃんとアリサちゃんを嫁として傍に置いているって」
「えええええええ!? だ、誰が流したのよそんな噂!?」
「私達の知らないところで、そんな……」
「傍に置いているのは当たらずとも遠からずですけど、嫁として置いてはいません。友達として傍にいるんです」
「「………………」」
「えっと、そのホッとしたのと落胆したのを混ぜた微妙な目線は何なんですか?」
乙女心は複雑ということだな。まだ小3だけど。
「……念のために聞いておくが、無理矢理という訳ではないんだな?」
今度は白崎君。無理矢理なら多分反抗されるだろう。
「俺は女性に対して無理強いはしません。人権侵害になるじゃないですか。……そりゃ、少しは舞い上がる時だってありますけど」
「だろうな。美少女2人といつもいるんだ。舞い上がらん方がおかしいよ(コイツ、本当に踏み台としての役割を果たす気あるのか?)」
某ワンサマーのことですね、わかります。てか踏み台の役割って何? 仕事なの?
「む。誠一君は、私と居ても舞い上がらないの?」
「……え、何故に?(それに月村とバニングス……コイツに好意を抱いているのか? なら早急に手を打った方が……いや、もう少し様子を見るか)」
鈍感&本音だだ漏れですがな。それより手を打つって何よ?
「誠一君の鈍感……もういい」
「ちょ、なのは? どこ行くんだ?」
鈍感なのが災いしたな、これは。
「僕らもそろそろ行こうか」
「うん。そろそろ授業も始まる頃だし」
「そう言えば、次何だっけ?」
「国語だよ」
他愛もない話をしながら、僕達は屋上を後にした。
「ふぅ……疲れちゃった」
皆さんどうも。上川彩愛です。委員会の仕事で学校に残っていたので、少し遅れてしまいました。私、風紀委員としての一面もあるんです。
『その割に、智哉さんとラブラブしてますけど』
……それを言わないで、フェアリー。
『まあ半ば公認されてるんですし、後はマスター達が付き合うのを待つのみなんですよね。早く告白したらどうですか?』
「それは、そうだけど……でも、恥ずかしくて……」
いつも言おう言おうとしてるのに、いざとなると言えなくなる。ただ一言、「好き」って言うだけなのに……。煮え切らないことをしてるからかな? 学校で公認同然にされてるのって。
ところで智哉君達がどこにいるかというと、博人君の家に先に行ってる。一緒にゲームをやるんだって。いいなぁ。
『? マスター、この先に魔力反応を確認しました。数は2つです』
「っ……!」
フェアリーが告げた情報に身を硬くし、物陰に隠れる。慎重に様子を伺うと、フェイト・テスタロッサであろう女の子と、白崎君がいた。
(何をしているんだろう?)
何かを話しているのは違いないんだろうけど……
(感度を上げます。これで少しは聞こえやすくなります)
(ありがとう、フェアリー)
どんなことが聞こえてくるかな。
「あの、ジュエルシードを、渡してほしいんですが」
「うん……名前を教えてくれたし、いいよ」
「っ! 本当ですか!?」
「ああ。ただし―――」
っ! この感覚……ギアス!?
「―――俺に対して全幅の信頼を寄せてもらうぞ! フェイト・テスタロッサ!!」
「っ!!!!」
(な、何てことを……!)
彼が……絶対遵守のギアスを持っていて、フェイト・テスタロッサに対して使用するなんて……何が目的かは知らないけど、嫌な予感がする!!
(原作に関わらないにしても、智哉君には知らせないと!)
私は忍び足でその場を立ち去った。
(今誰か居たか? ……いや、気のせいか)
ギアスによる支配が完了した彼は、ふぅ、と一息ついた。