魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~ 作:レイブラスト
「……何か、バニングスと高町が大喧嘩してるんだが」
「数日したら仲直りするって」
温泉から数日後。高町達が絶賛喧嘩中になっている。
「それより、シュロウガのチェックをしとかないと」
カバンの中をまさぐってガントレットを出しながら言う。普段こうして持ち込んでいるのはリアルタイムでの計測ができるからだ(使用の有無に関係なく)。お父さん達が学校側に説明しているので、騒がれることは……あまりない。カッコイイと言われたことはあったし、手に装着されることはあったけど他人に起動はできないから意味ない。
「そういや、来月だっけ。コイツが本格的に動くのを見られるの」
「博人君は初めてだったね。あくまで自由に飛び回ればいいし計測するのもお父さんとお母さん以外に2人くらいだけだから、カッコよく動き回れるんだ」
「いいなぁ。2号機ができたら俺が装着したいな……あ、体を鍛えないとダメか」
「智哉君の体、年齢の割に引き締まってるよね」
「トレーニングを欠かさずやってるから」
あくまで目立たない程度にだが、僕は体を鍛え続けている。シュロウガは単なるパワードスーツでデバイスではない。動かすには僕自身の力も必要という訳なんだ。
「どうしよっか……俺この間、剣道場見つけて見学したんだけど入ろうか迷ってるんだよな」
「それってどこなの?」
「確か、し…しの……何だっけ、忘れちゃった」
「おいおい……」
「そこが肝心なのに」
ため息をつく僕達に、「ごめんごめん」と博人君は苦笑いする。
「だけど、僕の意見としては入った方がいいと思う。何事も経験だからね」
「できると思えば続けて、無理だと思えば止めればいい」
「そうか……そうだな」
にしても習い事か……早すぎるけど、将来のことも考えた方がいいな。大学まで行こうかな? それとも工業高校に行って高卒で就職しようか?
「てかさっきから廊下がうるさいな……まだ喧嘩してんの?」
「……いいや。間に白崎が入って仲裁してる」
「でも治めれてない」
「あ、静かになった。仲直りしたみたいだな」
「ふぅ、ようやく落ち着けるぜ」
喧嘩は戦いと同じでよくないからな。というより、喧嘩は戦いの縮図だと思う。……間違ってないよね?
「智哉。俺お前に頼まれてた録画したアニメのダビング終わったんだけど、いつ持ってけばいい?」
「もう終わったんだ。そうだな……ならべく早い内に、無理しない程度でお願い」
「わかった」
「? 何のアニメ?」
「「新ゲッ○ーロボ」」
「……わからない」
そうだろうな。女の子はロボット物見ないだろうし、アレにはグロい場面もあるしな。ま、それが面白いんだけど。合体変形のシーンとか。
「今度一緒に見ようか?」
「うん」
波長が合ってくれればいいんだけど……女の子だから無理かな?
と思っていたが4日後、見事にそれは覆された。
「吠えろ、竜の戦士よ~♪」
「気に入ったんだ」
「あの合体シーン、凄いカッコよかったもん。それに、主人公の1人が思い切り悪人顔ってのも面白くて」
僕の家でDVDを見た後、彩愛ちゃんはご機嫌だった。新ゲ隼○さんの良さがわかるとは、中々だ。……マイナーな作品だけに、ほとんど知ってる人いないから、正直凄い嬉しい。
原作漫画の続きが気になるけど、作者がゲッター線に導かれてしまったから永久に見られない。それが非常に残念だ。
……っと、そうだ。伝えなければいけないことがあるんだった。
「ねぇ、彩愛ちゃん」
「ん? 何?」
「その、今度のシュロウガのテストなんだけど……彩愛ちゃんと博人君も来るんだよね?」
「うん」
「そこでさ。テストが終わった後でいいんだけど、彩愛ちゃんに言いたいことがあるんだ」
「!!」
「いいかな?」
「……もちろん。だけど、どうしてその日?」
「何となく、本当に何となくだけど……その日なら言える気がするんだ。シュロウガを思い通りに動かせて、踏ん切りがつけられるというか、勇気がもらえるから…かな?」
「そっか……わかった。私、待ってるね」
そう言う彩愛ちゃんの顔は、赤くなっていた。この反応だと、きっと彼女も……なら、後は言うだけだ。
(ほうほう。ついに決心しましたか。頑張ってくださいね)
フェアリーがそんなことを考えていたとは、つゆにも思ってなかった。