Fate/InterlaceStory -剣製の魔術師-   作:那由多20

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ひとまずここまで投稿します。
ここから先は暁にて投稿していますが、自分の好きな方の小説に似て来てしまっているとの感想がありましたのでアレンジしていきたいと思っています。


第二話

「魔術師?……それってオカルト的な分野でよく出てくる魔法使いの事?」

「――厳密に言えば違うのだが……いや、そうだな。そう受け取ってくれて構わない」

 

 

 何か思うところがあったのだろうか。士郎は懐かしむように、苦笑しながらもおどけた口調でそう答えた。 この二人ならば話しても問題は無いだろう

 ――そう確信めいたものを感じていた。

 

 瞳をつむり、今となっては遥か過去となる記憶の跡を手繰り始める。

 数百年も前の事もあり、上手く思い出せるかという懸念があったが、思いの外、当時の事を鮮明に映し出すことができた。

 衛宮士郎が理想に向かって一歩でも近づくまたとない転機――聖杯戦争が起こる街、それが冬木市。その勝利者となった士郎が飛ばされた異郷の地。白銀の世界での最愛の人との出会い。そして理想を目指して世界を駆け巡った終末が裏切りによる死という報われない結末までの経緯を――。

 

 

「――まるでお伽噺のような話ね……」

 

 

 彼の話を聞きしばらく呆然とした様子を見せていた二人だが、しばらくして暗い表情で桃子がため息を吐いた。

 その話は到底現代では起こりそうにもない夢物語のようだが、士郎の持つ雰囲気――そう、 まるで遠い過去を懐かしむように言葉を紡ぎだす彼を見ると冗談を言っているのでは無いと理解できたからだ。

 

 

「死んだ……君はそう言ったね。だけど君はこうして生きている。それはどういう事だい?」

 

 

 彼は嘘をついていない…それは分かっている。 分かっているのだが話に矛盾が生じていることに高町士郎は疑問を抱いた。

 

 

「――いや、致命傷を負った上に追っ手つきといった絶望的な状況だったからな。――もう死んだも同然だったさ。だから何故生きているのかは俺にも分からない。……所でその娘は?」

 

 

 肩をすくめながら士郎は苦笑をもらす。  心当たりが無いわけではなかった。尽きかけた命の灯火――それが掻き消える直前に、自身のよく知る人たちが周りに立っているのを士郎は見たような気がする。

 もしかしたら彼女達に助けられたのかもしれないし、単に運良く生き延びただけかもしれない。こればかりは偶然が良すぎるので信じてもらえないだろう。この事については話す必要がないため、先ほどから扉の隙間からこちらを覗いている娘の方に視線を向ける。

 

 

「ん?――ああ、ちょうどいい。なのは、こっちにおいで」

 

 

 おそらく入るタイミングが見つからなかったのだろうか。父の士郎の呼び掛けにぱぁっと顔を輝かせるとこちらに走りよってきた。

 髪は母譲りの栗色で、活発そうな元気な女の子のようだ。 だが、彼女からはどこか……

 

 

「ほらなのは。自己紹介しなさい」

「うん!私の名前は高町なのは。よろしくね!」

 

 

 元気に自分の事を紹介する彼女、だがその瞳の奥にあるものを感じた士郎は理解した。

 だから……だから返事のかわりに手を伸ばし、 彼女の頭を撫で始める。

 突然の士郎の行動になのはは戸惑うが

 

 

「――無理に抱え込もうとするな」

 

 

 その一言でびくりと背筋を震わせた。

 

 

「何に悩んでいるのかは知らないが、一人で抱え込もうとするには……君はまだ若すぎる」

 

 

 それだけを話し手を離す。

 彼女を見てるとどうしても昔の自分を思い出してしまうため、何も言わずにはいられなかった。

 

 

「すまない。……そろそろ限界みたいだ」

 

 

 視界が暗転しはじめ、踏ん張りが効かなくなった身体を壁に預け、地に腰を下ろす。

 この身は死徒。復元呪詛を保有する吸血鬼ではあるが、解析してみた所、今の俺は十代後半辺りにまで肉体が逆行している。 意図的に肉体年齢を操作する事も出来なくはないが、恐らくは世界の修正によるもの――による予期せぬ若返りに復元呪詛が対処しきれてないのだろう。

 肝心なことはこれからどのようにして生きていくのか――その事について思考を巡らせようとしたが中止した。

 未だ肉体、精神双方を伴う倦怠感によりまともな考えが思い浮かばないためだ。

 

 

「怪我が治るまではここにいなさい。君にはまだ、色々と聞きたいことがあるからね」

「すまないな。そうさせてもらうとしよう」

 

 

 最後に一言礼を言うと、士郎は再び眠りのなかにおちいった。

 

 

 

――:――:――:――:――

 

 

 

 旧い夢を見た。 満月の夜道での白い義姉との出会い。殺し合い、そして共闘。 そして聖杯戦争が終わり、日常生活を共にし、そして暫しの別れ。

 

 

 

 

 

 そして次に会ったのは、彼女が死ぬ前だった。

 

 

 

 

 

 -Interlude out-

 

 

 

 

「――さて、これまでの状況からするにここは異世界…いや、並行世界であることに間違いは無いだろうが…」

 

 人気の無い森の中、士郎は視力を強化してそこから見える街並みを一望していた。

 街の作りや和風の殊が混じった独特の雰囲気は彼のよく知る日本で間違いはない。

 ――だがその中に見える海鳴市なんて場所は記憶の何処を探しても存在していなく、……何よりもこの冬木市に匹敵するほどの霊脈の地を魔術師が手をつけた形跡がないことじたいが別世界であることを証明している。

 早朝静かに目を覚ますと、誰にも察せられることなく彼は高町家を出たのだ。あの時、自分の素性を明かしたのはなにも二人を信用していたからだけではない。

 ――自身が裏の人間であり、厄介事を巻き込む存在であることを明確に認識させ、深くは関わらないほうが良いといった彼なりの配慮だ。

 

 

「…まずは俺のいた世界の魔術が、ここでは機能するのかだが」

 

 

 瞳を瞑り、表向きの思考を中断し自己へと埋没すると全身の魔術回路に魔力を通していく。

 

 

「――――投影(トレース)開始(オン)

 

 

 投影するは黒と白の対なる陰陽剣―― 干将(かんしょう・)莫耶(ばくや)

 士郎の剣製の中でも最も馴染みのある刀剣であり、まるで初めから知っていたかのように投影するまでのタイムラグが無いに等しい宝具でもある。

 試しに投影して分かったのだが、この世界による魔力消費量は前と比べると大幅に減少している。

 精度に関してもオリジナルの宝具と比べて何の遜色もない完成度で、これなら以前よりも幅広い戦略面が期待できる。

 

 

「万が一の戦闘時に関しては十分すぎるくらいだな。――後は生活面だが……まあ、何とかなるか」

 

 

 一先ず仕事先を探して、その給料が入るまでの野営暮らし。

 暫しの間不便な生活をしなければならないだろうが、そんな事など士郎は数えきれないくらいに経験してきた。

 手慣れた動きで周囲にある枝葉や岩を集めると、風雨を凌ぐ擬似テントを作り上げていく。

 そして中で横になると、 天そらに朧気に浮かぶ満月を見ながら士郎は嘆息した。

 

 

 

 

「――本当に君は来れるのか……アルト」

 

 

 

 

 ……その表情は、先日のあの栗毛の女の子の孤独そうなそれと非常に酷似していた。

 

 

 

 

 

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