ツイッターでは先週と言いましたが、結局1日遅れてしまいました。まぁ、僕のツイッター見てる人はほとんどいないよね?だから許されるのさ!
ごめんなさい。
まぁ、とりあえず本編どうぞ。
一夏は一人で街を歩いていた。
仲の良い友人たちは、みんな午前中は用事があるらしく、時間を余らせていた。
午後はみんなで街に集まる予定なので、街に来てはいるが、今現在暇を持て余しているのはしてのは変わらない。
特にどこに行くこともなく、ぶらぶらと歩いているのだが、こうして歩いていると、どうしてもネガティヴな考えが浮かんでしまう。
自分はなぜここにいるのか、ということ。
両親に捨てられ、当時幼かった自分を必死に養い、育ててくれた姉にはとても感謝している。だがそれと同時に、姉に対して劣等感を覚えているのも確かだ。文武両道を極めた姉に対して、自分は遠く及ばない。恩を返したいと思っても、全てをそつなくこなしてしまう姉に、自分は何もできない。
自分は弱い。ならそんな自分は、一体なぜ生きているのだろうかと、思わず考えてしまう。
(いや、こんなこと考えちゃいけないな)
一夏は暗い思考を隅に追いやり、歩き続ける。
その時、突然何かに呼ばれたような気がした。あたりを見回してみるが、それらしきものは見当たらない。
「なんだ…………いまの………」
ふと、巡らせていた視線を建物と建物の間に向ける。そこは路地裏へと繋がる道だった。一夏はゆっくりと、路地裏へと歩を進める。
なにかに、惹きつけられるように。
路地裏に入って数分。
一夏はその間ずっと路地裏を歩き続けていた。
何かは分からないが、何かに近づいている。そんな確信を胸に歩を進める。
そのまましばらく歩いていると、T字路のところを三人の人影が走り去っていった。
どうやら後ろの二人が、前の少女を追いかけているようだ。
一夏は男たちのつけているある者を見て驚愕する。
「…………やばいだろ、あれ」
一夏は急いで先まわりできる道を走り始める。
一夏が見た物。それは追跡する男たちの腰に巻かれた、拳銃の入ったホルスターだった。
わたしは走っていた。
後ろから二人の男たちが追いかけてきている。
捕まるわけにはいかない。
私はなんとしてでもあの人と会わなければいけないのだ。
しかし、私と追っ手との距離は縮まっていく。
ついに一人の男が手を伸ばし、こちらを捕まえようとする。必死に逃げるが、体格のせいもあって距離は縮まる一方だった。
ここまでかと諦めかけた時、彼女の手を誰かが引いた。
「こっちだ!」
私の手を引き、一緒に走っているのは、見ず知らずの男の子だった。
「こっちだ!」
そう言って逃げている女の子の腕を掴み、曲がり角は引っ張り込みながら自らも走る。
右へ左へジグザグに曲がりながら、追いつかれないように距離を取り続ける。
普通なら迷ってしまうほど複雑な道だが、幼少期はここで鬼ごっこやかくれんぼを散々していた。道は覚えている。
記憶に従い、右折左折を繰り返しながら大通りへと向かう。
薄暗い路地裏の先に、明るい光が見えてきた。
「もう少しだ!頑張って!」
一夏は後ろを必死についてくる女の子を気遣いつつ、その光へ向けて走る。
そして、路地裏を抜けた。
一夏はそこで脚を止めず、人混みに紛れるように走り続ける。
追っ手の男たちも追いかけようとしているが、人混みに阻まれうまく進めない。
やがて、男たちは完全に一夏たちを見失ってしまった。
一夏は脚を遅めると振り返り、追っ手が来ていないことを確認した後、完全に脚を止める。
一夏は息を整えつつ少女の状態を確認する。
見たところ、外傷は無さそうだが、一様聞いておいたほうが良いだろう。
「はぁ、はぁ、きみ、無事か?はぁ」
「え、えぇ。ありがとう。でも、わたし急いでいるの。アナハイムのIS工場まで、送ってくれない?」
「アナハイムに?」
「会って話をしなければならない人がいるの。今ならまだ止められる」
「止めるって、何を?」
「戦争」
「………っ⁉︎」
一夏は目を見開く。
同年代と思われる少女から出てくる言葉としてはとても不似合いな言葉とその言葉の重みに一夏は固まる。
一夏が固まったのを見て、協力はできないと判断したのだろうか。少女は一人で立ち去ろうとする。
「待って!」
考える前に体が動いた。自らの手が、少女の手を掴んでいた。一夏はそのまま、特に考えをもせずに言葉を発する。
「一人じゃ無理だ」
「逃げられたのね」
「すいません。人混みに紛れ込まれて、見失いました」
「仕方がないわ。姫の動きを警戒していなかった私のミスよ。責任は私にあるわ」
「でもどうする?放っとくわけにもいかねぇだろ?」
「だいじょうぶ。行き先は察しがつく。あなた達はアナハイムへに向かって。表から行くとも考えにくいわね。裏口に張っていればそのうち現れるはずよ」
「了解」
「ジンネマンとオータムは私といっしょに。マリーダは有事に備えて待機よ」
「「「了解」」」
そして、亡霊達は動き出した。
「そういえば、名前を聞いてなかった」
アナハイムへと向かう道すがら、一夏は今更なことを彼女に聞いていた。
名前を聞くときはまず自分から名乗る。そう考えた一夏は、先に自己紹介をした。
「俺は織斑一夏だ。一夏って呼んでくれ」
「織斑………一夏」
「まぁ、織斑は有名だよなー。」
「じゃあやっぱり、あの?」
「あぁ、世界最強の弟だよ。それより、君の名前は?」
すると、オードリーは落ち着きなく答える。
「わ、私は………オードリー。オードリー・バーン」
「オードリー。芸能人みたいだな」
そういう一夏の脳裏には、ピンクベストが印象的なお笑い芸人が思い浮かんでいた。
「あ、ありがとう?」
そうとは知らないオードリーだった。
「日本人じゃなさそうだけど、どこ出身?」
「どこといった故郷はないの。いろいろな国を渡り歩いていたから」
「へぇ。よくわかんないけど、なんかすごいな」
「すごい?」
「だって、俺とほとんど歳は変わらなさそうなのに、いろんな国に行って、いろんなものを見てきたんだろう?俺は日本から出たことないから。なんか、すごいなーって」
「そんなことはないわ。あまり外に出してもらえなかったし…………」
「ふーん」
なんとなく、会話が途切れる。
聞きたいことはたくさんあった。
追われていた理由。あの男達の正体。戦争を止めるという意味。だが、どれを聞いてもはぐらかされる気がしていた。名前や出身を聞いたときのように。
その時、オードリーの腹の虫が鳴った。オードリーに視線を向ける。
そのオードリーは頬を染めながら視線をそらしていた。
オードリーが見せた年相応の行いに、一夏は思わず笑ってしまう。
「ぷっ、あっはははは」
「わ、笑わないでよ………」
「いや、ごめん。だって、あっはははは」
謝りながらも笑いを止められない一夏。
そんな一夏を見て拗ねてしまったのか、オードリーは一夏を睨みつけてくる。
しかし、その頬は赤いままなので、どこか可愛らしい雰囲気になってしまう。
それからやっと一夏は落ち着き、また歩き出していた。
その隣を、オードリーは頬を膨らませながら歩いている。
「もう………」
「いや、ごめんてば」
面白かったとはいえ、人のことを笑ってしまったのは事実。気分を害してしまったのだから、お詫びをするのがせめてもの償いだろう。そう考えた一夏は周りを見渡すと、近くに小さなクレープ屋台を発見した。
「ちょっと待ってて」
そう断りを入れてから、一夏はそのクレープ屋台に走っていく。
そして、すぐに一夏は両手にクレープを持って戻ってきた。
「はいこれ、オードリーの分」
「そんな、悪いわ」
「気にすんなよ。さっき笑っちまった詫びってことで」
「でも………」
「いいから食えよ。お腹空いてるんだろ?これなら時間が節約できる」
そう言うと一夏は無理やりオードリーにクレープの片方を押し付けると、歩き出した。オードリーも観念したのかクレープを両手に持ち直す。
「ありがとう。でも、歩きながら食べるなんて……」
そう呟きながら、クレープを口に運ぶ。その瞬間、オードリーの目が見開かれる。
しばらくクレープを凝視したあと、黙々とクレープを食べ始めた。
一夏はそれを横目に見やると満足そうに微笑むと、自らのクレープを口にした。
それからしばらく歩き続け、街から少し離れる。
そこからさらに歩き続けると、大きな建物が見えてくる。
「これが、アナハイムの?」
「そう。スプーンから軍用機までなんでも作ってるマンモス会社。そのアナハイムの各部門の中で、ここはIS関連の研究をメインにしてる工場だよ」
アナハイム。世界で最も幅広くその名を知られる有名企業。
一夏たちは部門のうちの一つ、アナハイム・エレクトロニクスの本社の正門前に来ていた。
「正門には人がいるな。ちょっと頼んでみるか」
言うが早いか、一夏はオードリーの手を取って、警備員に近づいていく。
「すいません。少し、中に入れてもらえませんか?」
「こんな子供が、アナハイムに何の用だ?」
「中入るには許可書が必要なんだが?君たち持ってるか?」
「それは、ないんですけど。それでもお願いです!大事な話があるんです!」
「大事な話って、君が?」
「いや、俺じゃなくて、彼女が」
警備員二人の視線がオードリーに向かう。
オードリーは少し顔を背けていた。まるで何かを隠すように。
「………あれ?君の顔、どこかで………」
「お前もか?俺もなんか見覚えがあるんだ。誰だったかな?」
オードリーはその言葉に肩を跳ねさせる。
警備員たちはしばらく考え込むと、やがてその片方が思い出した!と叫んだ。
「君はもしかして、ミネーーー」
「こっち!」
突然、オードリーが一夏の手を取り走り出す。
いきなり走り出したオードリーに戸惑いつつも、足を動かしてついていく一夏。
一夏としても、彼女の正体は気になっていることだ。できれば、あの警備員の話は聞いていたかったが、仕方がない。
しばらく走り続け、警備員たちが完全に見えなくなると、オードリーは脚を止めた。
「オードリー、きみはーーー」
「ごめんなさい。でも、あそこからは入れなさそうだから。別の方法を探しましょう」
「………他の方法って言ったってなぁ」
わざとらしい言葉の割り込み。一夏はそれに気付きながら、敢えて口を飲み込む。
一夏はしばらく考え込むが、何も思いつかない。
「工場に直接じゃなくても、なんとか社長に会えれば…」
その言葉を聞いた瞬間、一夏の脳裏に一つの噂話が浮かんだ。
「たしか、アナハイムの社長って、ビスト財団の当主だったよな」
「えぇ。そうね」
「たしか、工場の後ろにでっかい屋敷があって、それがビスト財団の本邸だって聞いたことがある」
「それ、本当?」
「あぁ。噂だから確信はないけれど、他に行くあてないし。行ってみる価値はあると思う」
「…………そうね。行ってみましょう」
一夏とオードリーは、新たな目的地を目指して、歩き始めた。
いかがでしたでしょうか。
今回は特に見せ場はなかったですね。
まぁ、仕方ないね。原作尊重すると難しいんだ。戦闘は次回かその次です。お楽しみに。