もう誰も覚えてないよね?
ほんとすみませんでした。
いや、普通にさぼってました。
久々に評価を付けて頂いたんですが、そこに一言「打ち切りなのでしょうか」と書かれていまして・・・。
評価をくださった方、本当にありがとうございました。
ひっさしぶりに執筆して、文章ボロボロかもしれませんが一応最新話です。
太平洋上空。
日本の領海から出たガランシェールのブリッヂで、スコールは詳細を報告するために本部と連絡をとっていた。
「失態だな、スコール・ミューゼル」
モニター越しにこちらを睨む男性が糾弾する。
「『ラプラスの箱』を手に入れるどころか、姫様の身もお助けできなかったとは」
「すべては不慮の事態でした。この上は静観し、ことが動くのを待つほかないかと」
「何もせずにいるというのか...!」
「アンジェロ大尉」
その男性、アンジェロ・ザウパーの顔が怒りにゆがんだ瞬間、画面の外から別の声が聞こえた。
その声が聞こえると、アンジェロは恭しく後ろに下がり、モニターの正面を開ける。
空いた場所に立ったのは赤い服に覆面をつけた人物だった。
「マリーダ中尉を退けた敵、かなり強力だったそうだな。消耗していたとはいえ、中尉のキュベレイがパワー負けするほどの性能...私が出るしかないかもしれん」
「大佐ご自身が...!?」
「ともかく、ガランシェール隊は帰島してくれたまえ。しばらくは情報収集に専念するしかないだろう」
「はっ!この失態、一命を賭けて償う所存であります」
「過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、今を生きている人間の特権だ」
IS委員会の外郭部隊『ロンド・ベル』の極東支部。
一般人には秘匿されているその施設の中には、ISを格納、整備できる格納庫が存在する。
その格納庫の中には先日の戦闘で損害を受けたISが複数搬送され、徹夜で修理が行われている。
その殆どのISは蛍光グリーンで塗装されたラファールだが、ハンガーに固定されているISの中に一つ、異質な機体があった。
純白の装甲に全身を覆われているIS。ユニコーンである。
その周囲で作業する人間も、ほかの機体の作業員とは制服が違う。
その作業員たちは、周囲のIS委員会所属の者達ではなく、アナハイム工場から保護された作業員。その中でもユニコーンの開発に関わっていた人物達だった。
そのうちの1人に、ロンド・ベルの制服を着た男、ダグザ・マックール中佐が近づき、話しかける。
「開かないのか?」
「あ、はい。こんなに外部からの干渉を拒むようになってるとは……」
「担当以外のことは、何も知らされていなかったんだな?」
「はい。開発がビスト財団主導になってからは、"UC計画"の全体像は誰も知らされていなかったと言います」
「"UC計画"とはなんだ?」
その質問を受けた瞬間、その作業員アーロンは顔をこわばらせた。
「それは……」
「我々だけで尋問しきれるか分からん。IS委員会とて一枚岩ではない。アナハイムも、身の恥を放置はしないだろうからな」
アーロンは周囲を確認し、近くに人がいないことを確認したあと、作業を続けながら、声を小さくして喋り始める。
「……"UC計画"。IS委員会直属の特務部隊『レビル艦隊』設立の枠内で極秘裏に進められてきたプロジェクトです。このユニコーンはそのフラッグシップ機で、全身にサイコミュが採用されており、感応波がダイレクトに駆動系に送り込まれる……」
「つまり、思考だけでISをコントロールできるということか」
アーロンは首を縦に降る。
「だが、それではパイロットの体がもたないだろう」
「その通りです。NT-D発動後の限界稼働時間は、五分と言われています」
「そのNT-Dというのはーー」
ダグザが聞きなれない単語を質問しようとした時、ほかの整備員が大声を上げる。
その声は、システムのハッキングが終了したことを示していた。
外部からの強制命令により、ユニコーンの登場部分が開く。その中から現れた人物に、その場にいた全員が唖然とする。
そこには、頬を血に濡らした小さな子供が気を失っていた。
夢を見ていた。
様々な夢を。
昔の記憶を見ていた。
貴婦人と一角獣。
父親。
母親。
姉を入れた4人で過ごす幸せな生活。
だが次の瞬間、幸せな家庭は炎に包まれる。
そして、燃えゆく中で満足そうに笑う父の姿。
「う……あ?」
目が覚めた。
いや、気絶していたのだから、気がついたの方が正しいか。
ともかく、一夏はゆっくりと目を開く。
覚醒した五感を使って状況を確認する。
視界には真っ白な天井が見える。知らない天井だ、というセリフが頭に浮かぶ。実際知らない天井だった。
室内に満ちているのは薬品の匂い。病院だろうか?
ベットに寝ているようだし、まず間違いないだろう。
起き上がろうとして気づく。
身体がひどく重かった。疲労が溜まっているようだ。
その時、ドアの開く音が聞こえた。
「おお、気がついたたかね。大丈夫か?」
入室してきたのは白衣を着た男性。医者のようだった。
「声は聞こえるか?言葉は分かるか?分かるなら返事をしてくれ」
「……はい。あの、ここは?」
「ここは軍施設の救護室だよ。君は気を失って、運び込まれたんだ」
「気を失って……」
そこでやっと、一夏は自分が気絶する前まで何をしていたか思い出した。
燃える空。崩れる建物。オードリー。あの人。白いIS。
そこまで思考が追いつくと、途端に体が震えだした。
忘れていた様々な感情が、心身を満たした。
悲しみも、恐怖も、安堵も、後悔も。
無我夢中だった。何かを考える余裕もなく、ただ体を急かす衝動のままに。今こうして落ち着いて考えれば、なんと無謀で危険なこと。生きているのが奇跡なほど、無鉄砲なことをやらかしていた。
一夏はしばらくの間、自らの感情の処理に集中した。
そうして落ち着くと、次に浮かんだのは疑問だった。
「落ち着いたかね?」
「はい。あの、あれからどうなったんです?」
「私も詳しくは聞いてないが、ひとまず戦闘は終わったよ。いまは復興や救助の最中だろう。」
「……街の被害は、どれくらいなんですか?」
「工場を中心に結構な被害が出ているよ。全壊した建物が沢山ある。行方不明者もまだまだ増えるだろうね」
「そう……ですか」
みんなは無事だろうか。そして、オードリーは。
聞きたいけれど、オードリーの事は口にしない方がいいだろう。彼女は普通の世界の人間ではないのだろうから。
「うん、意識もしっかりしているし、バイタルも安定している。とりあえずは大丈夫そうだな。ではーーー」
医者の男が何かを言おうとした時、ドアが開き人が数人入ってきた。
その中には、見覚えのある顔もあった。
「「一夏!」」
「鈴!?それに弾まで!」
駆け込んできた二人の親友に驚きを隠せない一夏。
「何で、二人がここに……」
「お前を追いかけてきたんだよ。そんで、軍の人に保護された」
「追ってきたって、ケガはないのか?」
「怪我してんのはアンタでしょうが!この……バカァ……」
途中までは怒鳴っていた鈴の声が萎んでいく。その目には涙が浮かび、やがて一夏の足元にしゃがみこんでしまった。
何も語らず、こちらを見る弾の表情も安心したような顔になっていて、2人にどれだけの心配をかけたか、一夏ここにきてようやく理解した。
「………ごめん。心配かけたよな……」
「当たり前よ!私がどれだけ………心配したと……思ってるのよ……」
鈴の声は涙混じりで、顔を見なくても泣いていることが分かる。
「弾も、ごめん」
「こういうことはもう勘弁な。約束してくれれば、許してやるよ。」
「…………ありがとな」
少しおどけた口調で言う弾に、一夏は礼だけを言う。
約束など出来るわけがなかった。また似たようなことがあれば、同じ行動をする予感があった。それを間違ってるとは思えないし、誰かを助けたいというのは自分の本心だ。
弾が一夏の心の内を察していたかは分からない。
ただ彼は「おう」とだけ答えた。
2人で未だ泣き止まない鈴に目をやって、揃って顔を緩める。
ようやく、日常に戻ってきた気分だった。
だがその直後、新たな人物が会話に入ってきた。
「すまない。友人同士の再開を邪魔したくはないのだが、そろそろいいかな?」
それは、親友ふたりと共に部屋に来ていた軍服の男性だった。
「ロンド・ベル所属のブライト・ノアだ。再開を邪魔して申し訳ないが、少し話を聞きたい」
「そんな、一夏はまだ起きたばかりなんですよ!」
鈴が即座に噛み付く。
「それは確かに申し訳ないと思うが、こちらにも時間が無いんだ。状況分析のためにも、そして彼の身の安全のためにも、明確にしなければいけないことがたくさんある。」
「……それは、尋問ってことですか?」
弾が会話に割って入る。その顔には警戒の色が浮かんでいる。
「そうではない。言葉通り、話を聞くだけだよ。手荒な真似はしないと約束しよう」
「………鈴、行こう」
「え、なんで……」
抵抗する鈴を、男は無理やり引っ張って行く。
やがて部屋から2人が出ていき、一夏と医師、ブライトの3人が残った。
「話をするのは構わんが、最低限の身体検査はさせてくれ」
医師のその言葉をブライトが受け入れ、一夏の健康チェックが行われる。
健康に問題なしと判断されると、医師はそのまま退室し、ブライトによる事情聴取が行われた。
「にわかには信じ難いな」
ブライトは一夏から事情を聴き、疑問の表情を浮かべていた。
「AE社をここまで支え続けたカーディアス・ビストが、居合わせただけの君に軍用ISを預けるとは思えん。そもそも君は男性だろう?あの織斑千冬の弟とは言え、君がISに乗れる特異体質であることを彼が知っていたとも考えにくい」
「嘘は言っていません!あの白いISを使って、みんなを助けろって。そう言って託されたんです」
「君がその場に居合わせたことも不自然だ。関係者でもない君が、燃え盛る工場内の格納庫にいたこと。君はなぜアナハイムにいたんだ?」
ブライトのその疑問も当然だった。その当然の問いに対して、一夏は答えに窮した。あの彼女のことは秘密にしておきたかったからだ。
「それは………友人を助けようとして………」
「その友人の名前を聞かせてもらってもいいかな」
「………オードリー。オードリー・バーンって女の子です」
「オードリー、日本人では無いようだが?」
「姉を通して知り合ったんです。その子がアナハイムの近くに住んでて。助けに行こうとして、戦闘を避けてたら敷地内に入っちゃって」
「そこでカーディアス・ビストに会ったのか。ふむ………」
一夏の態度にブライトは違和感を覚えていた。
彼が何かを隠しているらしいことは分かる。だが、非人道的な尋問する権利はこちらには無い。上層部からも慎重に取り扱うよう指示を受けている。
いちおう説明に筋は通っているし、これ以上問い詰めても事件に関わる情報は手に入らないだろう。
「うん。気になる点はまだあるが、ひとまずここまでにしよう。」
ブライトが尋問を終えようと立ち上がった時、
「父親だって言えば、納得するんですか………」
一夏は、そう呟いた。
ブライトはそれを耳に入れながら、しかし反応すること無く部屋を後にした。
その後、一夏とユニコーンに対して、様々な調査及び検査が行われた。
その結果分かったことといえば、一夏が他のISに触れても反応が無かったこと。
一夏の生体データがユニコーンに登録されているので、他のパイロットはユニコーンに搭乗できないこと。
ユニコーンのスペックは、現行の第二世代機を大幅に凌駕する超スペックな機体であること。
つまり、一夏はユニコーンという現行最高スペックの機体を唯一操れる人間になったということになる。
ブライトは一夏達三人に緘口令を敷き、一時的に帰宅させた後、一夏とユニコーンの扱い等についてIS委員会に判断を仰いだ。
数日後に返信が届いたが、その決定内容にブライトは驚愕した。
『ユニコーンはデータ収集のため、武装解除及び機能制限をかけた上で織斑一夏に譲渡する』
後日、一夏は再び日本支部に呼び出され、様々な契約を結んだ上でユニコーンの専用パイロットとなった。
織斑一夏の姉であり、
こうして、一夏は世界で唯一の男性ISパイロットとなった。
もっとも、その事を知っているのは事件に居合わせた人物と一部政府の高官のみであり、厳しい情報規制がされていた為に世間に情報が知られることはなかった。
それから二年後。
一夏のIS学園入学が決まった。
はい、というわけで。
ガンダムUC EP1の内容を基準にお送りしましたepisode1 ユニコーンの日。
これにて終了です。
ここからはIS学園に入学した後のお話。
つまり、インフィニット・ストラトス第一巻の内容に入っていきます。
IS学園入学までの空白の2年間はこの後の本編で明かされることでしょう。未来の私に任せます。
全体の構成は何年も前に完成していて、私の気力次第で続きは書けます。
ただ時間の経過と共に、環境や立場が変わりました。
一応更新停止にはしませんが、更新頻度がどうなるかは分かりません。
厳しい言葉でも、催促してくれればそれだけモチベーションが上がります。
こんな作者ですが、どうか応援よろしくお願いします。