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LOOGY 3話
おーおー相変わらず喧嘩っ早いこって。
河合基博は苦笑した。
1ストライク1ボールからの3球目。
渡瀬のインハイへの投球に甲子園がどよめいた。
常に表情を変えないマシーンと呼ばれる軽井沢。
その表情が一瞬歪んだのを、河合は見逃さなかった。
遊撃手の籾岡に目線だけで合図を送る。
次の投球が一番重要になってくると、36歳―――ベテランの内野手である彼は熟知している。
強肩の籾岡の前に速いゴロが転がれば楽に併殺打をとれるだろう。
だが、緩いゴロが転がった時―――自分の肩では難しい場合がある。
若い頃は強肩遊撃手として鳴らした時代は既に遠い昔に思える。
河合はベンチからの指示を無視し、一歩だけ前に守備位置を取った。
松永秀樹はマウンドの渡瀬を見つめていた。
バッターボックスに入っている軽井沢の姿が去年までの自分と重なってしまう。
球界を代表する4番打者と言われた所で、渡瀬には子供扱いされていた。
そのシュートはファウル狙いなんだよ。
心境的には軽井沢の味方をしたくなる。
今の彼の心境がわかりすぎる程松永にはわかっていた。
甘いシュートも直前のブラッシュ気味のボールで一瞬踏み込みが遅れる。
狙い通りにファウルを打たせ、2-2の投手有利のカウント。
これでほぼ、勝負は決まってしまったようなものだ。
嫌になるね。全く、敵でなくてよかったというべきなのか
松永の背後のバックスクリーンが、やけに遠く見えた。
「ピッチャー渡瀬振りかぶって第5球投げました――空振りさーんしんー!
最後はアウトコースのスライダーに軽井沢のバットが空を切りましたー!
ツーアウトです!」