将英の演習中止命令で、こんごう達は部屋へ戻ろうとしていた。
あしがら「演習。中止になっちゃったわね」
いずも「仕方がありませんよ。それに、これ以上一方的な攻撃を続けては、横須賀にいる艦娘達の士気に影響を及ぼします」
マイケル「いずもは優しいわね」
いずもの問いにそう言うマイケル。
「あの、ちょっとよろしいかな」
こんごうらに突然声をかけられたので、マイケルら振り向くとそこに暗めの青のツインテールの女の子がいた。
こんごう「どなたデスか?」
「私は―――」
その子が自己紹介しようとした時。
加賀「誰かと思ったら、ゴミ溜め基地の五十鈴じゃない」
そこに、加賀、陸奥、瑞鶴、比叡、伊168がやってきて、加賀がそう言う。
陸奥「本当だわ。ゴミ溜め基地の五十鈴だわ」
比叡「ゴミ溜め基地の五十鈴がなんでここにいるのよ!」
伊168「そうよそうよ」
陸奥と比叡、伊168が五十鈴に対してひどいことを言う。
五十鈴「私、このたび岩川基地から横須賀鎮守府に転属になったのよ」
五十鈴がそう言う。
瑞鶴「転属!?由緒正しき横須賀鎮守府に、ゴミ溜め基地の艦娘が転属なんて!上は、何を考えているのよ!」
比叡「そうよ。ゴミ溜め基地の艦娘が、厳選な横須賀に転属なんて、信じられないわ」
瑞鶴や比叡がそう言う。
五十鈴「ふん。その厳選で、由緒正しき横須賀鎮守府の艦娘が、こちらの艦娘にボロボロにされたじゃない」
瑞鶴「なんですって!」
陸奥「もう一度、言ってみなさい!ゴミ溜め基地の艦娘のくせに!」
非常に悪い雰囲気になってくる。
ごんごう「ストーーップデース!」
さみだれ「ケンカは、ダメですよ」
ステニス「冷静になりましょう」
こんごうとさみだれ、ステニスが間に入って止めに入ろうとする。
加賀「そろそろ、ドックに入らないといけないからね、そろそろ失礼するわ」
瑞鶴「けれどね、これだけは、覚えておきなさい。例え横須賀鎮守府へ転属しても、ゴミ溜め基地の艦娘と仲良くする子なんて誰もいないからね」
そう言うと加賀達が入渠へ行くためその場を去っていく。
五十鈴「それじゃあ、私。提督のところへ行かないといけないので失礼します」
そう言うと五十鈴もその場を去る。
しまかぜ「なんだったのかしら?」
レーガン「わからないが、何で、あんなに悪いのかしら?」
ひゅうが「それに、ゴミ溜め基地って、何なんだ?」
「それは、岩川基地のことですよ」
あしがら「青葉?!」
そこに、青葉がやってきてそう言う。
いずも「それより、さっきの言葉は、どういう意味ですか?」
青葉「岩川基地は、使えない艦娘達の溜まり所なんです。でも、使えないというレベルではなく、他の鎮守府、泊地に比べて、戦力が低いという意味です」
マイケル「そんなに、戦力が低い艦娘ばかりの基地なの?」
青葉「そんなことありません!磨けばダイヤモンドにもなれるほどの戦力がある子達は大勢います。けれど、それを育てて扱える提督があまりいなくって・・・」
青葉がそう言う。
あしがら「要するに、戦力があるのに、扱いきれなかったり、自分の思うような者にならなかったり、重圧で実力が発揮できない子を戦力にならないから、そう言うところに左遷したのね」
さみだれ「可愛そうすぎます!」
ステニス「スポーツでもあるわね。プレッシャーや重圧で、潰されたり。監督(ボス)やコーチとの意見との対立で、思うようにならなかったりと、金の卵をむざむざと潰す人が」
ステニスがそう言う。
青葉「おかげで、岩川基地は、そう言う子たちばかりが集まり、海軍の総本部の本拠地であり、由緒正しき厳格な横須賀鎮守府の艦娘や提督は、岩川基地を一方的にゴミ溜め基地と呼んでいるのです。ですが、他の鎮守府や泊地との仲はそんなに悪くないのです。しかし、あまり仲が良すぎると横須賀鎮守府からにらまれるので、そのせいで、冷たい視線を向けてくる鎮守府や泊地が少なくないのです。また岩川基地に飛ばされたら出世もできないと呼ばれるので、ほとんど岩川基地へ志願する提督はほとんどいません。けれど、将英提督は、岩川基地をバカにはしていませんし、ゴミ扱いなども思っていません」
青葉がそう言う。
そうりゅう「なるほどね。それにしても、酷いわ」
アンティータム「思うようにならないものは、捨てるだけでなく、それをゴミ扱いにするなんて、この基地はバカばかりね。将英提督以外は」
さみだれ「でも、それなら、どうして岩川基地に所属していた艦娘が横須賀鎮守府に転属になったんだろう?ゴミ扱いするような人がそこから転属させるなんて、今の話を聞いてそこが謎だわ」
さみだれがそう言う。
レーガン「確かに。例えるならセレブがゴミ捨てから何かを拾ってくるようなマネはしないからな」
レーガンがそう言うと青葉が何か心当たりがあるように話し始める。
青葉「恐らく、横須賀鎮守府司令副長官の虎藤愛之助(とらふじあいのすけ)中将ではないかと?」
こんごう「司令副長官がデスか?」
青葉「はい。あの人は、他の提督と違い、ウチの提督と同じく岩川基地をゴミ扱いのようなマネごとはしませんし、艦娘を見る目のある人なんです。けど、何故呼んだのかはわかりませんが」
青葉がそう言う。
しまかぜ「その辺は仕方がないとして、青葉は、五十鈴とは仲がいいのね」
青葉「はい。前にとある任務の帰り道に、深海棲艦に襲われたところを五十鈴に助けられたのです。それ以降、五十鈴とは、友達なんです。それに、この鎮守府へ転属になると聞いて、三日前にカメラをプレゼントしたのです」
こんごう「それは、いいことデース!青葉は、とても優しい子デース!」
こんごうがそう言う。
青葉「それじゃあ、私。五十鈴のところへ行ってきますので、失礼します」
青葉がそう言うとその場を去っていった。
その姿は、とても嬉しそうな顔をしていた。
レーガン「さて、私達も部屋でゆっくり休むか」
レーガンの言葉を聞いて、全員が頷いて、部屋へ戻っていく日米艦隊なのであった。
■
某時刻 横須賀鎮守府司令副長官室
虎藤「・・・と言うわけで、君は大本営の特命を受けて、この鎮守府に転属になった。しかと、頼んだぞ。それから、これは個人的だが、働きが良ければ、岩川基地と我が鎮守府との関係が良くなるだろう」
虎藤が五十鈴にそう言う。
五十鈴「大本営の命に応えるべく、きちりと働きます!」
虎藤「いい返事だ。まあ、これが私だからよかったが、横須賀鎮守府司令長官だったら、いろいろと愚痴やパラハラも言われていただろうが、司令長官は、こういうことは私ばかりに押し付けるからな」
虎藤が笑いながらそう言う。
五十鈴「それで、私の配属先は・・・」
虎藤「ああ。そのことなら、心配するな。君の配属先は、内田将英中佐のところだ。あの子は、若いが、私と同じで岩川基地のことはバカにしない子だ。だから、安心しなさい」
虎藤がそう言う。
五十鈴「(青葉と同じ所属先だわ。なんだか、とてもうれしいわ)」
心の中でそう言う五十鈴。
虎藤「内田中佐には、連絡をしてある。挨拶に行ってくるといい」
五十鈴「はい!では、失礼しました!」
そう言うと五十鈴は、横須賀鎮守府司令副長官室を後にしたのであった。
1人になった虎藤は、イスから立ち上がると窓辺の方に進み立ち止まった。
虎藤「あの子なら、きっと岩川基地と横須賀鎮守府との関係を本当に良くてくれると思う。そうなれば・・・・・」
心の中でそう願う虎藤。
果たして、彼の思いはかなうのか?そして、五十鈴に下された大本営の特命とは一体なんだろうか?
それは、いつかわかることだろう。