演習から数日経ったある日のこと。
あしがら、しまかぜ、いずもは、外を散歩していた。
しまかぜ「今日も快晴だね~」
いずも「そういえば、五十鈴ちゃんの様子どうですか?」
あしがら「相変わらず、差別されているわよ。まったく、何処に所属していたとかでいじめるなんて」
あしがらがそう言う。
しまかぜ「こうなったら、私達だけでも五十鈴と仲良くなろう!」
いずも「それいいですね。きっと、五十鈴も喜んでくれますよ」
いずもが笑顔でそう言った時、正面玄関に1台の車が止まった。
あしがら「なんだろうか?」
あしがらが疑問に思った時、車から太った男性が出て来た。制服は、あの将英提督と同じものだが、かなりの勲章がついていた。
しまかぜ「誰だろうあれ?」
あしがら「わからない。だが、あの姿と勲章の量からしてみれば、恐らく階級は、大佐か少将ぐらい・・・」
あしがらがそう言う。
「翔鶴姉!あれ、ゲス長官よ!」
「瑞鶴!そんなこと言っちゃあ、ダメですよ。階級は、副長官より上なのよ」
「ふん。いくら、階級が上でもゲスは、ゲスよ!あのゲス野郎、最近来ないから、いい気分だったのに・・・」
声が聞こえる方角をあしがら、いずも、しまかぜが向くと、そこには、翔鶴と瑞鶴がいた。
しまかぜ「おーい、翔鶴、瑞鶴」
あしがら、いずも、しまかぜが2人に近寄る。
翔鶴「あ、あしがらさん、いずもさん、しまかぜさん。おはようございます」
翔鶴は、挨拶するが、瑞鶴は、例の演習の件でしこりが残っているのか、挨拶しようとしなかった。
いずも「あの翔鶴さん。今のお人誰なんですか?」
いずもがそう言う。
瑞鶴「あの男は、島田京極(しまだきょうごく)。階級は、大将で、ここの長官なのよ」
瑞鶴がそう言う。
いずも「大将で、横須賀鎮守府の長官ですか。道理で、えらいお方だったのですね」
瑞鶴「偉い?ふん、偉いってレベルじゃないわよあのゲス長官!」
瑞鶴が怒りをあらわにしながらそう言う。
あしがら「瑞鶴、なんで、あそこまで怒っているのかしら?」
翔鶴「実は、ここだけの話なんですけれど。島田長官は、偉いと言うだけで、どうしようもない人なんです」
しまかぜ「どうしようもない人?」
瑞鶴「立場を利用して、いろいろと愚痴や偉そうに威張っている。人の手柄を横取りしたり、式典とか華やかな行事には積極的に出て、雑用とかそう言うものは、部下に押し付ける。無理難題をやらせる。艦娘を地位を利用して、あんなことやこんなことさせる。だから、ゲス長官なのよ!!」
瑞鶴が怒りながらそう言う。
あしがら「だったら、何処かへ訴えるなりすればいいじゃないかしら?」
翔鶴「それがそうもいかないのよ。島田長官には、息がかかった人達かなり多くいて、その訴えを握りつぶし、訴えた人は、左遷、軍からの追放、最悪は殺されたり、艦娘にいたっては、慰安婦以上の仕打ちが待っているという噂があります」
翔鶴がそう言う。
しまかぜ「でも、それって、ただの噂でしょう。そんなことを頻繁にしていたら上の人達が不信にに思うけれど・・・」
あしがら「まあ、確かにそうだけど。でも、軍は、機密主義。あってはならない情報は、簡単に消し去ることはあるわよ。ミグ25事件がいい例よ」
あしがらがそう言う。
瑞鶴「ミグ25事件?何よそれ?」
しまかぜ「前に、いなづまから聞いた話だけれど。ソ連軍のパイロットが函館空港に強制着陸したのよ。その機体は、ソ連軍の当時最新鋭のミグ25だったからもミグ25事件っていうのよ」
しまかぜがそう言うと話を続ける。
しまかぜ「ソ連軍のパイロットの目的は、アメリカへの亡命よ。それでも、ソ連は身柄引き渡しを要求したけれど、結局アメリカへ亡命したわ。けど、そのあとからアメリカからミグ25を奪還するためソ連がやって来るという情報が入り、陸海空の自衛隊がいつでもソ連軍と防衛戦闘を行えるよう準備したわ」
瑞鶴「なんで、戦闘機1機のためにそんなことが起こったの?」
あしがら「私も聞いた話だと、ミグ25は存在しても、その実態も能力については全く不明だったのよ。それで、機密を守るためにやって来ると言われたわ」
あしがらが瑞鶴にそう答える。
いずも「けれど、本格的には、防衛出動命令が必要です。陸海空は、防衛出動が下される命令を待っていました」
翔鶴「防衛出動命令、なんですかそれは?」
あしがら「防衛出動命令は、私達自衛隊の最高司令官、内閣総理大臣が我が国に攻めて来る敵から防衛するための最高レベルの命令よ。それが下れば、全ての武器が解禁出来て、攻撃ができるわ」
あしがらがそう言う。
しまかぜ「ところが、その頃の政府は、派閥争いをしていて、ソ連軍が攻めて来ると言う危機感が全くなかったわ。それで、当時の幕僚長は、政府の命令を待たず攻撃を視野に入れていたわ」
あしがら「まあ、結局ミグ25を解体し、送り返すことで決着がついたわ。その時の教訓をご時世に残すため、記録も制作した。けれど、政府や防衛庁は、この事件を記録の上から抹殺したのよ」
いずも「理由は「自衛隊が奇襲に際し超法規的行動をとることなどあり得ない。それを認めれば、わが国のシビリアンコントロールは危機に陥る」というので、抹消されたました」
しまかぜ「確かに、幹部達の行動は、下手をすると旧日本軍の暴走する可能性もある。けれど、危機感を持っていない政府や役人達が行動をためらってたら、向こうの思う壺。ある程度の行動が必要不可欠だと、私は思うわよ!」
しまかぜがそう言う。
瑞鶴「あんたたちの世界も大変なのね~」
瑞鶴がそう言うのであった。
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横須賀鎮守府 司令長官室
ここに、虎藤、英将の2人が島田大将の前にいた。
島田「虎藤。私が留守の間、仕事をこなしたこと褒めてやる。まあ、私も戻りたかったが、上の連中につき合わされて、なかなか戻れなかったんだよ。ブアハハハハハ」
島田がそう言う。
虎藤「それは、ご苦労様です。それで、私と英将くんを呼んだのは、御用があってのことでしょうか?」
島田「そうだ。実は、この度ショートランドへ出動することを決定した。その海域を英将にやらせることにした」
島田がそう言うと虎藤と英将が驚く。
虎藤「正気ですか!?あの海域には、他の艦隊が何十回も出撃しました。ですが・・・」
島田「返り討ち遭い、失敗した。そう言いたいんだな虎藤?」
虎藤「そうです!それに、英将君は、優秀な提督です。しかし、そのようなところへいかせるのは、時期早々・・・」
島田「黙れ虎藤!長官に向かって、異を問える気か!」
島田が机を叩き激怒する。
島田「私は、大将で、この鎮守府の長官だ!貴様の意見など聞く必要性はない!私の命令に従えばいいんだ!」
島田がそう言うと虎藤を殴り飛ばした。
そして、彼は、英将の方へ向く。
島田「英将。この度の作戦、必ず成功させるんだ。艦隊が大破しようが、引き上げずに進むのだ!もし命令違反したら、わかっているだろうな!」
島田が威圧する。
英将「は、はい・・・」
島田「わかればよろしい。では、よろしく頼んだぞ」
そう言うと英将と虎藤が出ていく。
島田「これでよし。あの小僧では、決して成功することはないだろう。失敗したら、軍から追放するとするか。そうすれば、虎藤の息かかかったやつはいなくなる。そして、奴をその責任を取らせて、左遷させる。この鎮守府は、私の意に沿うものだけになる。ウフフフフ、アハハハハハハハアハハハハ」
島田がそう笑い出す。
島田のよからぬ企み、果たして一体どうなるのか?
GW前にもう1本出す予定です。お楽しみに