ラブライブ!DM   作:レモンジュース

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 「ラブライブ!」に半分MAD人格のアテムと超展開をぶち込んだ結果、意味☆不明なことになった。
 非力な私を許してくれ。



第1章 アテム、音ノ木坂に立つ
このアテムはフィクションです。


●光の中に完結しなかった物語

 

 

 

 『戦いの儀』

 

 

 

 ゾークを倒し、現実世界に帰ってきた俺に課せられた最後の試練。

 冥界へと旅立つか、それとも現世を彷徨い続けるかを決定付けるラストデュエルに相棒は応えてくれた。

 

『俺は魔法(マジック)カード、《死者蘇生》を発動! 甦れ! 天空の神、オシリス!』

 

 俺達は互いの持てる全ての力を出し尽くした。それこそ、『戦いの儀』のことなど忘れ、ただ目の前に立つ最高のライバルとのデュエルを楽しむほどに。

 

『僕が黄金櫃に封印していた《死者蘇生》は、君も使用することができない。よってこのターン、オシリスの特殊召喚は、無効となる』

 

 そして相棒は、俺に打ち勝った。三幻神を倒し、それどころか我が最強の下僕(しもべ)《ブラック・マジシャン》を返り討ちにし、最後には誰も予想することのできない、《死者蘇生》の封印までも行って。

 

『お前は泣き虫なんかじゃない。ずっと誰にも負けない強さを持ってたじゃないか。《優しさ》っていう強さを。

 俺はお前から教わったんだぜ、相棒』

 

 もうこれで、思い残すことはない。安心して、冥界へと旅立つことができる。

 

『決して忘れないよ、君のこと!』

 

 俺もだぜ、相棒。遠く離れていても、どんな困難が立ちはだかろうとも、俺達は《友情の輪》で繋がっている。

 

 

 

 冥界の扉をくぐり抜けた瞬間、纏っていた学生服が元の世界の衣服へと変わる。本当に別れの時がやってきたのだ。

 この先に、俺を待つ者たちがいる。ああ、今行くさ。

 

 

 

 ――さらばだ、俺の生涯の相棒(とも)

 

 

 

 眼を開けていられなくなるほどの、光の奔流が俺を包み込む。

 

 やがて光は収まり、再び眼を見開く。その場所は――

 

 

 

 

 

 ――澄み渡る青空。

 

 ――桜舞う公道。

 

 ――行き交う自動車。

 

 

 

 どう見ても冥界ではありません。むしろ、日本?

 

「ゑ?」

 

 いや待て。どうしてこうなった? 確かに俺は『我が名はアテム!』と叫び、冥界への扉をくぐった。服だってちゃんと元の世界の服になっている。近くにあったカーブミラーを見ると、肌の色は変わっていないようだが……。

 それにしても、ここが冥界だというのか? 美しい桜が舞い、自動車が通り抜けるこの場所が。いや、そんなはずはない。

 どういうことだ? まさか、冥界の扉がプレイングミスをしたとでもいうのか? オシリスの召喚を無効にされた後、伏せ無しでエンド宣言したさっきの俺のように。肌の色が変わっていないのも、それが原因か?

 とはいえ、これからどうするか。もしもここが冥界ではなく日本なら、再びエジプトに戻らなければならない。今俺の手元にあるのはデッキのみ。旅費どころか公衆電話を使うための小銭すらない。これでどうやって戦えばいいんだ……!

 

「…………仕方ない。まずはここがどの辺なのか確かめるぜ!」

 

 思い立ったら即行動。俺は自らの足で走り出す! 今まさに俺は《疾風のファラオ・アテム》!

 でもちょっと後悔。サンダルでコンクリート全力ダッシュは痛いぜ。

 

「この階段を登れば、遠くまで見渡せるはずだ! 痛いけど頑張れ、俺の足!」

 

 その油断が命取りだった。階段を駆け上がろうとすることに夢中になっていた俺は、階段の上から駆けて来る存在に気付かなかった。

 

「あ!」

「ゑ?」

 

 その少女は、なんと階段のてっぺんからジャンプしたのです。彼女が跳んだ先にいるのは、この俺、アテム。

 

Q.階段を駆け上がらんとするアテムと、階段から飛び降りた少女。2人が一直線上に並んだ時、どうなりますか?

 

①少女がアテムの上を飛び越える

 

 残念、不正解。翼を持たない人間が2段ジャンプをすることはできません。

 

②アテムが少女の上を飛び越える

 

 残念、これも不正解。いくらファラオでも、数メートルもの大ジャンプはできません。

 

③避ける

 

 一見正解に見えるが、不正解。アテム知ってるよ。避けようとする2人は同じ方向に避けるってこと。

 

 じゃあ、どうすればいいかって? 答えは簡単、王道(ファラオロード)だぜ。

 

 

 

 ――少女が俺に正真正銘の直接攻撃(ダイレクトアタック)(顔面への飛び膝蹴り)をすればいい。

 

 

 

 少女 :LP4000 → LP3500

 アテム:LP4000 → LP1000

 

「ぐはぁ!?」

「痛っ!」

 

 地面へ叩きつけられる俺と、飛び膝蹴りをしたことで着地に成功した少女。

 今ライフポイントが減った音したわ。鼻血出てるし。冗談じゃなくやばいって。

 

「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか!? っ! いたた……」

 

 だが、着地に成功したとは言え、少女の方にもダメージが通ったらしい。飛び膝蹴りを叩き込んだ少女は、右膝を抱えてしゃがみ込んだ。

 

「おい、お前こそ大丈夫か?」

 

 大ダメージを受けたとはいえ、伊達にデュエルで鍛えてないぜ。鼻血噴出しながら俺は少女へと近づく。見た感じ平気そうだが、万が一ということもある。触って確かめて見たほうが良さそうだ。

 

「わっ! ちょっと!」

 

 右膝に触れた瞬間、素っ頓狂な声を上げられたが、この様子なら大した問題じゃなさそう――

 

「穂乃果!」

「穂乃果ちゃん!」

 

 頭上から聞こえる2人の女性の声。『穂乃果』というのはこの少女の名前か。

 

「海未ちゃん、ことりちゃん!」

 

 少女につられて俺は声のした方を向く。3人は同じ学生服を着ている、日本人らしき顔立ち。やはりここは日本ということになるのか。だが、様子がおかしい。なぜ彼女たちの顔はひきつっているのだろうか。

 よし、ここでデュエルキング・アテムはその聡明な頭脳で現在の状況を整理してみるぜ。

 

 ①右膝を抱え座り込む女子高生。最近ではJKと訳すらしいぜ。

 ②鼻血を噴出しながらその少女の膝に触れるアテム。

 ③(ファラオ)としての衣服を纏ったアテム。肌の露出多めだぜ。

 

 …………あ、これ詰んだ。

 

「もしもしお母さん!? 穂乃果ちゃんが不審者に襲われてるの! 今すぐ来て!」

「わ、私も警察に連絡します! ついでに腹パンします!」

「やめろ! そんなことしちゃいけない!」

「そ、そうだよ2人とも! このヒトデさんは……!」

 

 相棒たちとの別れを済ませた直後にゴヨウされるだなんて、冗談じゃないぜ。俺は今までのどのデュエルよりも死力を尽くして2人を止めにかかるのであった。

 

 

 

●ヒトデじゃねぇ、アテムだ!

 

 

 

 園田海未という少女は、今この時ほど頭を抱えたくなったことはない。それこそ、昨日知らされた廃校の知らせだとか、音ノ木坂学院を救うためにスクールアイドルになろうと誘ってきた幼なじみのことよりもだ。

 普通なら自身が通う学校が廃校になること以上の事件など学内で起こるはずない。だが、起こってしまったのだ。

 

 事件のきっかけは、『アイドル部』設立を生徒会に認めてもらおうと赴いたところ、部の結成に必要な人数が足りず、それどころかもっと時間を有意義に使いなさいと、生徒会長に突っぱねられたことから始まった。『思いつきの行動に意味は無い』という生徒会長の言い分もわからないでもない。自分たち3人、特に高坂穂乃果は本気で学院廃校を阻止するためにスクールアイドルになろうと決意した。それはきっと第三者から見ればそれは無謀で浅はかな行為なのだろう。自分だって最初はそう言ったのだから。

 

『あぁ……これからどうすればいいの?』

『どうすれば……』

 

 ことりと海未の悲痛な声が桜並木に消えていく。だが、2人に挟まれた穂乃果はそんな暗い気持ちを掻き消すように、歌い出す。

 呆気にとられる2人の少女。そして、穂乃果は急に走り出し、目の前の階段を飛び降りた。男坂ほどではないがあの急角度の階段を飛び降りて、着地に失敗したら怪我ではすまないだろう。

 

『穂乃果、待って――』

 

 ――ください。言い終える前に事件は起きた。『あ!』という穂乃果の驚く声と、同じく男性の驚く声が聞こえたのだ。続けて響く衝突音と呻き声。隣に立つことりと共に、頭が真っ白になった。考え得る中での最悪の事態が起こったのではないかと海未は不安に駆られた。

 

『穂乃果!』

『穂乃果ちゃん!』

 

 正気に戻った2人は、一目散に走りだす。一緒に頑張ろうと決意した幼なじみが、こんなところで大怪我だなんて冗談じゃない。ぶつかったであろう相手のことも心配だ。

 階段の下に広がっていたのは――

 

 

 

 奇天烈なコスプレをしたヒトデ頭の不審者が、しゃがみ込んだ幼なじみの膝を掴んでいるという、ある意味最悪の事態だった。

 

 

 

 で、現在。場所は変わって理事長室。今この部屋にいるのは、当事者である穂乃果、ヒトデ頭、ことり、海未。部屋の主である理事長。加えて、騒ぎを聞きつけてやってきた生徒会長・絢瀬絵里と副会長・東條希。この2人がやってきた時は先程の件もあってやや気まずくなったが、今ではもう気にならない。自分たちに囲まれている一人の男に集中せざるを得なかったからだ。

 

 彼は言った。自分は古代エジプトのファラオであり、儀式を終えて冥界に帰ろうとしたところ、気が付くと音ノ木坂のすぐ近くに立ち尽くしたのだと。

 

 何なんですか、この人。それが園田海未の率直な感想であった。確かに彼の服装は歴史の教科書で見たことのあるもので、エジプトっぽく思わないでもない。だが、3000年の間現世を彷徨っていた魂だとか、冥界に帰るための儀式にデュエルモンスターズを用いるとか、荒唐無稽にも程がある。

 ちなみにデュエルモンスターズというのは、巷で流行りのカードゲームのことであり、その人気は留まることを知らない。自分も幼い頃からやっているし、スクールアイドルの頂点に立つ『A-RISE』も夢中になっているのだとか。

 

 閑話休題。

 

 理事長は頭を抱えながら手元の端末を操作している。ヒトデ頭の発言の中に出てきた、『童実野町』『海馬コーポレーション』『I2(インダストリアルイリュージョン)社』『バトルシティ』といった単語について調べているのだろう。穂乃果、ことりも同じように検索している。だが――

 

「アテムさん、と言ったかしら。貴方が言っていた地名や社名ですが、そのようなものは存在しません」

「バカな!? そんなはずは……!」

 

 そう、存在しないのだ。町名など知らない場所のほうが多いのだから除外するとしても、デュエルモンスターズを作った企業も違う上、街中を使ったデュエル大会など、聞いたこともない。

 よほどショックだったのか、項垂れ涙を流すヒトデ頭。ホラを吹いていると思っていたが、ここまで泣かれると嘘を言っているようには見えない、ような気がする。

 

「俺は、これからどうすれば……!」

 

 少しだけ可哀想だと思いつつも、彼についての手掛かりが何も無い以上、もうどうすることもできない。早いうちに然るべき施設に引き渡すべきだと誰もが考えた。

 

 ――ただ一人を除いて。

 

「だったらヒトデくん、ウチに来ない?」

「穂乃果ちゃん!?」

 

 そう、高坂穂乃果である。『廃校』を救うためにスクールアイドルを始めようなどという突拍子もないことを考えつく彼女のことだ。目の前で困り果てている人物をなんとかして助けたいと言い出すとしても不思議では無かった。

 穂乃果以外の女性陣は程度の差はあれど、全員が顔を真っ赤にする。見知らぬ男(不審者)を居候させようとしているのだから、この反応は当然と言える。

 

「……高坂穂乃果さん。貴女、自分が何を言っているのかわかっていますか? 身分を証明できるものを一切持っていない、経歴もわからない男性を家に迎え入れるなど、教育者として、何より一人娘を持つ母親として認めるわけにはいきません」

「理事長の言う通りよ、高坂さん。思いつきで行動しても結果は得られないと言ったのをもう忘れたの? こんな不審人物を家に泊めるだなんて、貴女の正気を疑うわよ」

 

 理事長と生徒会長。2人の権力者の厳しい言葉を受け、穂乃果の表情が歪む。「どうして認めてくれないの?」とでも言いたげだ。

 

「穂乃果。理事長も生徒会長も、貴女のためを思って言ってくれているのです。それに、どうやって家族に説得を? 仮に許しを貰ったとしても不審者と同居する生徒が在籍していることが公になれば、音ノ木坂学院の入学希望者がいなくなるという事態に発展しかねません」

「そ、それは……」

 

 『家族』と『音ノ木坂学院』――。今の彼女にとって重要な単語を並べることで勢いを削ぐのは些か卑怯かもしれないが、大切な幼なじみに降りかかる危険な火の粉は払っておくに越したことはない。

 

「……穂乃果といったな。少しいいか?」

 

 と、ここで泣き止んだヒトデ頭が顔を上げ発言した。彼は真剣な表情で穂乃果を見据える。目を直接合わせていない自分が少し威圧されるほどだ。視線の先にいる穂乃果は当然自分以上に気圧される。なるほど、ヒトデ頭の不審者と言えど、人並みの貞操観念は持ち合わせて――

 

 

 

「俺はヒトデじゃない、アテムだ!」

 

 

 

 一同、絶句。……今、なんと言った? この状況で名前の訂正を求めるとは、彼は空気が読めていないのだろうか。

 

「ぷっ! 君、おもろいな~。理事長、うちは問題ないと思います。この状況でボケをかませる人が変なことしないんやないかと」

「希! 貴女なにを……!」

 

 どうやら副会長のツボにハマったらしい。関西弁(京都弁?)を話しているからお笑いが好きなのかな、と偏見かもしれないがついそんなことを思ってしまった。

 

「ヒトデ――」

「アテム!」

「……アテムくん、キミはこれからどないする? 然るべき施設に連れて行かれるのと、高坂さんの家でお世話になるの。あ、ちなみにうちの家は無理やで。一人暮らしやからな」

「そうだな。どちらがいいと聞かれれば、彼女の家だということになるな」

 

 いつの間にか、穂乃果の家に居候という話が成立しつつある。これは流石に止めないといけない。

 

「副会長! そんな勝手に!」

「あ、お母さんから返信来た。ヒトデ――」

「アテム!」

「――くん、私の家に来ても大丈夫だって!」

 

 第一関門、突破。ヒトデ頭がまた泣いているが、無視することにする。

 

「しかし音ノ木坂学院にとっては!」

「そうそう理事長。うち、音ノ木坂学院って共学にしようとする動きがあったってウワサを聞いたことがあるんやけど~」

 

 初耳である。理事長は「やれやれ」と言わんばかりに頭を抱え嘆息する。

 

「……まったく、どこから漏れたのかしら。

 ええ、東條さんの言う通り、共学化への計画は確かにありました。予算などの都合で無かったことになりましたが。

 貴女の言いたいことはわかります。彼をその試験生として編入させるという名目で様子を見るということなのでしょう?」

「そうです、流石は理事長や。今後もしも廃校の話が無くなって、共学化して生徒の募集をする時も便利やと思います」

 

 

 

 考えこむ理事長。どうやら、話は決しつつあるようだ。

 

 

 

●おい、デュエルしろよ

 

 

 

「海未ちゃ~ん、機嫌直してよ~!」

「嫌です。穂乃果の後先考えない行動にはもう着いていけません」

 

 あれから、ヒトデ頭改めアテムは音ノ木坂学院への編入が決定した。生徒会長は最後まで渋い顔をしていた。自分も今でも認められないし、ことりだって発言は少ないものの、内心穏やかではないだろう。

 今、海未たち3人は昇降口の外に出て、アテムを待っている。彼は今頃編入に必要な書類の作成、及び簡易的な学力審査を行っている。国数英の基礎的なものらしく、時間はかからないらしい。また、あくまで学力を見るだけで合否には関係ないのだとか。

 

 

 

 ちなみに、理事長がアテムに対して学力審査をすると伝えた時。

 

『アテムくん、いきなりの試験だけど大丈夫?』

『大丈夫だ高坂、たいした問題じゃないさ。俺はKKAだからな!』

『KKA?』

『かしこいかっこいいアテムのことさ!』

『ぶふぉ!?』

『ちょ、エリち!?』

 

 こんなやり取りがあったのだが、生徒会長はどうしたのだろうか。

 

 

 

「あ、穂乃果ちゃん、海未ちゃん。アテムくん来たよ」

 

 言い争いをしている間も気にしていたのだろう。自分たちの方へ歩いてくるアテムに、ことりはいち早く気付いた。

 だが、当のアテムの様子がおかしい。項垂れ、ふらふらと歩いてくる姿はまるで亡霊。格好が格好なだけに余計不気味である。

 通常の倍以上の時間をかけ、ようやくアテムは3人の元に辿り着いた彼の目元には涙の跡がはっきりと残っていた。そういえば、待っている間も「相棒ー!」という叫び声が聞こえていた。彼のメンタルは相当脆いのだろうか。

 

「アテムさん、どうかしましたか? もしや話が全て白紙になったのでしょうか。そうだとしたら嬉しいのですが」

「う、海未ちゃん。そんなはっきり言わなくても……」

「……いや、大丈夫だ。明日から編入していいらしいぜ」

「死にそうな顔で言われても説得力0ですね」

 

 穂乃果が「ならどうして?」と尋ねると、アテムは大きな茶封筒の中から3枚の紙を取り出し、広げた。赤字で○や×が書かれたそれは紛れも無く学力審査の回答用紙で、その点数は――

 

「お、オール一桁……」

「私、初めて見た……」

「流石の私もこの点数は取らない、はず」

 

 あまりにもひどすぎた。この点数なら絶望的な表情を浮かべていたのも納得できる。

 話を聞くと、彼はここに来る前は『武藤遊戯』という人物と魂を共有していたらしい。普段は遊戯が日常生活を送り、デュエルをする時にアテムに入れ替わっていたのだという。穂乃果は「すごいね!」と目を輝かせていたが、海未にとっては胡散臭さが増しただけである。

 

「相棒は元々成績が悪かったし、ファラオの俺には全く関係ないぜ!」

「それって責任の押し付けなんじゃ……」

 

 やはり彼は信用できない。穂乃果のためにも、音ノ木坂学院のためにも、自分がなんとかしなければ。

 

「穂乃果、ことり。やはり私は――」

 

 

 

「おい、デュエルしろよ」

 

 

 

「――は?」

 

 再度、意味不明なことをアテムは言い出した。なぜこの流れでデュエルをする必要があるのだろうか。

 

「園田。お前が俺のことを信用できないのはよくわかった。だが、冥界に帰るまで共に過ごす仲間になる以上、俺は信頼を勝ち取りたい。そのために、俺はお前にデュエルを申し込むぜ!」

「いえ、意味がわからないのですが……」

「お前も決闘者ならわかるはずだ。デュエルは嘘をつかない。その一挙手一投足が、互いの全てをさらけ出してくれる。俺の全てはデュエルの中にあった。

 このデュエルは、俺達が進むべき未来を指し示してくれる!」

「どういう……ことですか……」

 

 おかしい、デュエルモンスターズはあくまでカードと立体映像を用いたお遊び。そんな大仰なものでは無かったはずだ。

 

「いいね! やってみようよ、海未ちゃん!」

「穂乃果!?」

「そうだね、面白そう。それに海未ちゃん強いのに、私たち以外とデュエルしたことてあまりないし」

「ことりまで……仕方ないですね、その勝負受けましょう。ですが1回限りですよ。それに、デュエルをしたところで私が貴方を信用することなどありえません」

 

 カバンから取り出したデュエルディスクを左腕に装着し、展開する。昔は最初から腕に装着して歩かなければならない大きさで、かつ無骨なデザインだったらしいが、今では軽くて小さく、色や形も様々。ファッション誌でも何度か紹介されている。ちなみに海未が使用するデュエルディスクの色は青。

 

「礼を言うぜ、園田。いいデュエルにしよう。……ところで、高坂、南。どちらかデュエルディスクを貸してくれないか? 冥界に向かう途中でここに飛ばされたから、カードはあるがディスクを持っていないんだ」

「じゃあ私のを使って、アテムくん」

 

 穂乃果は迷いなく即答し、デュエルディスクを手渡した。アテムはそれを不思議そうに眺めると、装着、展開。最後に、自らデッキをシャッフルする。

 

「アテムさん、シャッフルはディスクが自動でやってくれるので、自分でする必要はありませんよ」

 

 デッキをディスクに差し込み、オートシャッフル機能が動作することをアテムに見せてやる。彼は「随分と便利じゃないか」と感心しつつ、デッキを差し込んだ。

 

「カードは剣、デュエルディスクは盾。右手のカードにプライドを! 左手のディスクに魂を宿せ! かかって来な!」

「望むところです! 貴方は言いました、デュエルは嘘をつかないと! ならばこのデュエルで、貴方の化けの皮を剥がしてみせます!」

 

 

 

『デュエル!!』

 

アテム:LP4000

海未 :LP4000

 

 

 

 

 

●次回予告という名のネタバレ

 

 

 

 海未のマジックコンボとロックの前に、次第に追い詰められていくアテム。しかも、何あの召喚方法! あんなの見たことないわよ!

 負けないでアテム! 海未の信頼を勝ち取るために!

 絶体絶命のピンチに現れる新たなカード! これがアテムの新しい力なのね!

 

 次回、『エクシーズ始動』

 

 デュエルスタンバイ!

 




 デュエルパート含めたら20000字を超えたので分割します。
 続きは今日中に投稿。

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