「あ、ここ間違ってるわよ?」
「え?そうなの?」
「うん。ここはほらXに12を代入して─────────」
僕は今、優子さんと勉強をしている。
クラスには僕と優子さん以外は誰もいない。
それもそうだ、まだ学校が始まる時間より45分は早い。
このクラスでそんな早くに学校に来る人は優子さんと姫路さんくらいだし…………。
あれ?姫路さんは?僕は周りを見てみる。
あれ?いない………。
さっき確かに姫路さんらしき人を見たはずなんだけど………。
トントン
そんな事を考えながら周りを見ていたら優子さんに肩を軽く叩かれた。
「あ!ごめんね優子さん!折角、勉強教えてくれてるのに────────」
ムニッ
振り向いた僕の頬に微かに痛い感触がした。
直ぐにその感触が何かがわかった。
優子さんの人差し指が僕の頬に当てられていたからだ。
「明久君。聞いてた?」
「……………ごめんなさい。」
ムスッとした顔をする優子さん。
ああ、可愛い………。流石だね木下姉妹!
「ちゃんと聞かないと駄目じゃない。悪い子にはお仕置きよ?」
え?ええっ!?
一体僕は何をされるの!?
関節が増えるの!?背骨が折れるの!?
こんな考えしか出来ない僕って………辛いね。
ムニムニムニムニ
「いっ、いひゃっ!いひゃいよ〜〜!!!」
頬を外に引っ張ったり上下させたりする優子さん。
うん。美波と違ってやる事がソフトだよね。
「ふふっ、明久君。変な顔してるわよ?」
「誰がそんな顔にしたと思ってるの?」
「アタシ」
「じゃぁ!僕も優子さんにやろっかな〜♪」
「明久君は女の子にそんなことするの?」
ギクッ!!!
それを言われると辛いです。
「………………ごめんなさい」
「あはは!アタシの勝ちね♪」
むぅ…なんか納得いかないな〜。
僕だけやられるのは不公平だよ!
でもまぁ…いっか。
優子さんのこんな笑顔が見れるなら。
もし、僕の願いが叶えられるなら。
僕がこの手で、優子さんを幸せにしてあげたいな。
だから今、僕がやるべきことは……
「よーーーし!まだまだ時間あるから、勉強教えてね。優子さん♪」
「任せて!」
変わらない平和を大切にしよう。
─────────その頃の姫路さんは
「…………吉井君。あんなに楽しそう」
やっぱり私じゃ駄目なのでしょうか……。
吉井君に見向きもされないのでしょうか……。
私って…そんなに魅力が………ううん。卑屈になっちゃだめですよね!
私は私ですよね!
それより吉井君…下駄箱に入れたラブレター。
下駄箱に入れるの…勇気を出したんですよ?
なんで………読んでくれないのでしょうか…
「……………………………吉井君のバカ」