僕達を纏う沈黙のオーラを取り払ったのは
僕でも姫路さんでも優子さんでもなかった。
「あれ?吉井?」
島田さんが僕に声をかけてきたのだ。
正直、助かったと思った。
「し、島田さん!?」
「何を慌ててるのよ。それより帰らないの?吉井と瑞希と木下さんは」
「あ、うん!優子さんに勉強教えて貰ってるからね」
姫路さんには悪いけど…
島田さんの助け船に乗らせて貰うことにした。
「わ、私は、もう帰りますね」
ごめん。姫路さん…
「あ、あの!吉井君!」
「な、何かな?姫路さん」
「返事…待ってますから!」
「あ、瑞希待ってー!」
そう言い残して走って行く姫路さんとその後をついていく島田さん。
姫路さんの背中を見ると罪悪感で押し潰されそうだった。
問題はそこだけでは無かった。
空気がまた重くなって来た。
「………………えと、優子さん…続きやる?」
「………帰ろっか。明久君」
「………うん」
やっぱり……勉強どころじゃないよね……。
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「ただいま」
誰もいない家に挨拶をする。
勿論、返事は返ってこない。
だからいつもは、そんな挨拶なんてしないのに
今日は何故か自然と口からこぼれた。
コップを手に取り水道水を入れ、少しだけ口に運ぶ。
いつもの水道水のはずなのにいつもより不味く感じた。
「………マズ」
残りの水を流してコップを軽くゆすいでから
僕はラブレターを読むことにした。
『吉井明久君へ。
吉井君は突然の手紙で驚いているかもしれませんね。ごめんなさい。でも、どうしても伝えたい気持ちが───────────』
読み始めてから10分程経っただろうか。
僕はラブレターを読み終えた。
正直、僕は自分にビックリしていた。
だって………前の僕ならラブレターを貰ったなんて事があったら絶対に嬉しくて奇声すらあげてたと思うのに今の僕はそこまで嬉しいという気持ちがない。
むしろ、苦痛でしかなかった。
「………どうしたのかな。僕…」
プルルルル プルルルル
そんな時に僕の携帯が鳴った。
出ないどこうかななんて思ったけど…
『木下 秀吉』と名前が表示されてたから
僕は電話に出ることにした。
「秀吉?どうしたの?」
『おお、明久!ちと話があるのじゃが、ええかの?』
「うん。大丈夫だよ」
『実はの…………姉上のことなんじゃが』
優子さんの名前が出た瞬間、僕の胸が痛くなってきた。
「優子さんが…どうしたの?」
『うむ。それが、帰って来てから様子がおかしいのじゃ』
様子が?やっぱり…僕のせいなのかな…。
『"別に私は嫉妬なんてしていないわよ!"とか言っておったかの?』
流石秀吉。
優子さんの声真似上手いね〜。
って嫉妬?何に嫉妬したんだろ?
『それだけではないぞ!"明久君"とか"ラブレター"とか呟いておった!』
あ、それはわかる。
「それは僕、わかるかも」
『教えてくれぬか?』
「あ、うん。大したことじゃないけど…僕が姫路さんにラブレターを貰ったんだ」
『へ?……………なんじゃとぉぉぉぉぉ!!!!!やっとわかったのじゃ!そう言う事だったのか!』
え?何がわかったの?気になる。
『なるほどのぉ…姉上が…まさか』
秀吉の声がどんどん上機嫌になってきた。
なんかいいことでもあったのかな?
『明久よ。お主は姫路をどうする気かの?』
「どうするも何も…僕もわからないんだ。」
僕は秀吉に気持ちを打ち明けることにした。