僕と優子さんが手を繋いだ日から
土日を挟んで5日が経ったのに今日も姫路さんがいない。
それは姫路さんが学校に来なくなって5日という意味でもあった。
「今日も瑞希来てないの?」
島田さんが心配そうに声を出した。
「流石に心配じゃな。島田は連絡はとっておらんのか?」
それに返事をする秀吉。
「それが、いくらメールを送っても返事がこないのよ。電話しようにも繋がらないし…。」
「……………家にいけばいい」
「それが家がどこにあるのかわからないのよ」
みんな心配してる。
友達が急に来なくなっちゃったんだもんね。
そりゃあ心配するよね。
「それにしても…何があったのかのぉ…」
「そうよね…。急に学校に来なくなるなんて…。それに先生達も来なくなった理由わからないんだよね?」
「そのようね」
ごめん。きっとその原因は僕にあるんだ。
「………………おい。明久」
それまでずっと黙っていた雄二が声を出した。
「お前、理由がわかってるんじゃねぇのか?」
「ほ、本当なの!?吉井!」
「な、…ななな、なんでそう思うの?」
雄二の質問に平静に答えようとしても声が上手く出ない。
「お前の性格ならこんな時は誰よりも先頭に立って行動するだろ。でも今はそれどころか言葉を話さえもしない。普通に考えりゃ、お前が絡んでるとしか言えないだろ」
流石だ。
やっぱり雄二には敵わない…。
「どうなのよ!吉井!」
出来れば…言いたくなかったけど…
やっぱり…言わないと駄目だよね…。
僕は重い口を開く。
「…………雄二の言う通りだよ」
「姫路さんが学校に来なくなった理由は"きっと"僕にある」
「どういうことよ!吉井!」
島田さんが僕の胸ぐらを掴んだ。
その華奢な腕のどこから湧き出るのかわからない…けど、今までで一番の力がその腕に込められていた。
そのままの体制で睨む島田さんの顔は今まで僕が怒らせた時の顔よりも比べ物にならないくらいに怖かった。
「ま、待つのじゃ。島田!争っても解決せぬぞ!」
「………………ここは、話を聞くべき。」
秀吉とムッツリーニが島田さんを説得する。
それに納得したのかはわからないけど…島田さんの手は緩んだ。
「それで、何があったのか話せるな?明久」
静かに問いかけてくる雄二。
格好は壁にもたれて腕を組むといういつものやる気のなさそうな格好だけど…
いつもと違う真剣な顔と落ち着いた声から、雄二は本当に姫路さんを心配していることがわかった。
周りを見渡すと、優子さんも島田さんも秀吉もムッツリーニもみんな真剣そのものだった。
だから僕が、自分の都合とか気にして"言わない"なんて選択は出来るわけなかった。