あの日から数日。
今日はクラス発表の日。
勿論、僕はFクラス。
分かりきっていた。
「おはようございます。鉄…西村先生。」
軽く頭を下げ挨拶をする僕。
うん。僕は生徒の鏡だな。
「…俺の気の所為で無ければ、鉄人と言いかけなかったか?」
「ははっ、まさか」
危ない危ない。
危うく"鉄人"と呼ぶ所だった。
「それより本題だ。ほら、受け取れ」
鉄人は箱から封筒を取り出し、
僕に差し出してくる。
「ありがとうございます。」
結果は分かっているため、正直必要なかった。
「なぁ吉井」
「はい。なんですか?」
「俺は…勘違いしてたよ」
「薮から棒にどうしたんです?」
突然語り出す鉄人に少し驚きながら返事を返す。
「俺はお前の事をテストの結果だけで評価していたんだ。教師失格だな。」
何を言い出すかと思ったら…
全く、無敵の鉄人も人間だったってことかな?
「西村先生。自分を卑下するものじゃありませんよ。僕が駄目人間に変わりはありません。西村先生の目は間違ってませんよ」
「…………ったく、お前も自分を卑下してるじゃないか…。それにしても…吉井に励まされるとは…」
ボソボソと話し出す鉄人。
全く聞き取れない。
あーーー!気になるよーーーー!
「聞こえませんよ?鉄人?」
「バカはバカらしくFクラスに行ってこい!といったんだ!」
こうして僕のFクラス生活が始まった。
───────────────
───────────
───────
「あれは………優子さん?」
バカでかい教室を羨む様に見ている優子さんを僕は見つけた。
もしかして、悔しいのかな…。
話しかけるか、話しかけないか迷った末、
僕は話しかける方を選んだ。
「優子さん」
慌てて振り向く優子さん。
何も見ていない。そう言いたそうだった。
「どっ、どうしたの?明久君」
「その…やっぱり悔しい?」
「……………悔しくないと言えば嘘になるわ」
やっぱりそうだよね。
悔しくない訳がないよね。
「けど………割り切っているつもりよ」
そんな訳ない…割り切っているなら
あんな目でこの教室を覗く訳が無い。
僕にはわかる。
優子さんは悔やんでる。
そんな優子さんを見てると手に力が入る。
身体が熱くなる。頭が痛くなる。胸も痛い。
向けることの出来ない苛立ちをわかせ、
身体全体が震えてくる。
そんな時だった。
僕の手に優しくて暖かい感触がした。
優子さんが僕の手を握っている。
直ぐにそう理解した。
「明久君。ありがとう」
「ちょっ!?優子さん!?」
慌てて離そうとする僕の手を
優子さんは離さない。
「アタシは大丈夫だから。そんな顔しないで?」
優子さんの優しい笑顔と優しい温もりに
触れたこの瞬間は本当に幸せだった。