これは私からのクリスマスプレゼントだよ!(投稿が滞った場合の保険)
「嘘・・・だろ・・・・・・」
私は驚きを隠せなかった。
持っていた箒を取り落としそうに成る程だ。
「きゅ~~~」
「こいつ・・・・・・」
三分前にさかのぼる。
夢幻館についた私を出迎えたのは
「あら?ここに来たってことはくるみを倒したの?」
「あんたは誰だぜ?」
「私?私はエリー。この夢幻館の門番よ」
「門番?っていうことはさっきのくるみよりも強いってことか」
「・・・・・えぇ。そうよ」
「ん?なんか間がなかったか?」
「はっ、はぁ?そんなことっ、なっ、なぁ、ないわよ!」
「なんでそんなに慌ててるんだよ・・・」
「へっ、ばっ、バカにしれるの!」
噛んだ。
なんだか、こちらが申し訳なくなるほど緊張している。
「あ~、私が言うのもなんだが・・・・・そんなに緊張しなくていいぜ?」
「きっ!キンチョー!そっ、そんなぁ!ことぅ!してっ、してるっ、わっ、わけないふぁ、じゃっじゃっじゃっ、じゃにゃに!!」
「とりあえず、私はここの主に用があるから通らせてもらうぜ」
「いやぁ!来ないでぇ!」
「・・・・・・・・・ごめん」
『イリュージョンレーザー』
「きゃあ!」
「嘘・・・だろ・・・・・・」
「きゅ~~~」
「こいつ・・・・・・めちゃくちゃ弱い」
幻想郷
魔法の森の近くにその店はある。
店の外見に対して新しい扉を開けるとここらでは見ないような珍しい道具類が所狭しと並び
本来の使い方を忘れ去られたまま立ちすくんでいる。
「おや、また来たのかい。生憎だけど、君が気に入るような新しい商品は入荷してないよ」
「誰と勘違いしてるかわからないけど、ここの店主は顔も出さないんだねぇ」
「おっと。申し訳ない」
道具類の間から声が聞こえると物が崩れる音とともに店主が顔をのぞかせた。
「すみません。普段からお客さんなんて来ないので」
「その割には、誰かが頻繁に来ている口調だったけどねぇ」
「・・・・!」
「ん?どうしたんだい。あたしの顔に何かついてたりしたかねぇ?」
「いや、すみません。そういうことじゃなくて」
「なんとなく予想はできるよ。あんたの名前と能力は知人から聞いてるからねぇ」
「・・・・・・そうですか」
森近霖之助
十年前。両親に勘当された魔理沙を引き取った人物。
いや、人妖か・・・。
「すごい・・・杖ですね」
「そうかい?一応、褒め言葉として受け取っとくよ」
「えぇ、しかし、名前が」
「名前?この杖に名前なんてつけた覚えはないけどねぇ?」
「だと思います。なんせその杖の名前は『三本目』っていう名前ですからね」
「三本目?あぁ、なるほど」
「おそらく、あなた自身は名前をつけた覚えはないと思いますよ」
「確かに、だけどあたしは無意識に杖こいつを三本目って呼んでたな」
「無意識に名付けられたもの。名前を大事にする僕からしたらあまり、いい話ではないですけどね」
店主はそう言うと、微妙な笑顔のまま店の裏へ下がった。
しばらくすると、湯を沸かす音と茶葉の香りがこちらに流れてくる。
「随分と背の高い・・・妖怪?ですか。違っていたら申し訳ない」
「妖怪・・・。近からず、遠からずってところかね」
あたしはこの時、足を出していた。
この霖之助というやつは、どうやら分かるのは物の名前のみであたしの素性を知ることはできずかつ私のことを知ることもできなさそうだった。
まぁ、魔法の森のはずれで店を開いているんだ。知らなくても違和感はない。
「緑茶かい?」
「えぇ。この店の常連が好きでしてね。来るたびに勝手に入れて飲んでいるんですよ」
「そりゃあ、随分と勝手な客だねぇ・・・」
「えぇ、本当に」
「ところでこの店の商品は外の世界のものを多く扱うと聞いたんだが・・・・・・」
「そうですよ。貴方が見ている商品はすべて無縁塚で拾ったものです」
「ふうん。年季ものばかりか」
「外で忘れ去られたものなので」
「流石に千年前のものはないか」
「千年前?」
「聞いた話によるとあんたは魔法道具を作れるそうじゃないか?それで頼みたくてねぇ」
「道具の製作ですか?」
「もちろん、報酬はしっかり出すし、何なら道具の材料も手配しよう」
「随分なものを作らせるつもりですね?」
「ふっ、これを見てくれ」
あたしはポケットから一平方メートルほどの紙を広げる。
「これは・・・・」
「設計図だ。と言っても主に使われたのは千年近く前だけどね」
「・・・・設計図。物の仕組みを詳しく伝えるもの・・・・・・。なるほど、こんなものが」
「ん?設計図は珍しいかい?」
「そりゃあ、いくら幻想郷で紙の価値が大きく落ちたといえどもそれをこんな使い方、初めて見ましたよ」
「そうか。喜んでもらえて何より」
「それで、この道具の名前を教えてもらえますか?」
「名前?あぁ、そうだねぇ」
私は少し、ためらってしまう。
「あまり褒められたもんじゃないが、コイツの名前は『八卦炉』という道具だ」
「八卦炉?初めて聞く道具ですね」
「まぁ、コイツは元々、外の世界の魔法道具だからねぇ」
「外の世界の魔法道具!?」
霖之助は突然、声を荒らげ立ち上がった。
衝撃で棚の商品が少し崩れる。
「何だい?急に」
「あっ、貴方はいったい?」
「私がどうしたっていうんだ?」
「だって、外の世界の魔法道具って!外の世界で魔法が忘れられたからこそ、幻想郷の魔法技術は生まれたというのにそれを知っているということは・・・」
「そんなに興奮しないでくれ。確かに、もう外の世界で魔法が使える奴は誰一人としていないよ」
「じゃあ、何であなたはこの道具のことを知っているんですか!」
「・・・・・はぁ。もう少し静かな男の方があたしは好きなんだけどねぇ」
霖之助はあたしを少し睨んだ。
これだから、物好きで好奇心にあふれた奴は好きになれない。
決して好奇心は悪い感情ではないが、それは時として
命を奪う。
あの日の地下室で私が外をうかがってしまった時のように。
「その八卦炉はねぇ、あたしが設計したんだ」
「貴方が!?」
予想通りの反応だ。
「つまり貴方は、外の・・・・・」
「女性に対して質問攻めとは感心できないねぇ。坊や」
「あっ・・・・・・すみません」
「まぁ、素直なのは良しとしよう」
魔理沙を引き取った人物とはいえ、いや・・・・・
魔理沙を捨てるという身勝手な判断をした親から引き取ったやつだからこそ、こいつは信用しきれない。
だが、今現在、使えるやつがこいつだけというのも皮肉な話だ。
「あんたが予想している通り、あたしが作ってもらいたい魔法道具はこれだ」
「八卦炉・・・・・。何に使うつもりですか?」
「聞かないで作ってもらうわけにはいかないかい?」
「残念ですが。それに」
「それに?」
霖之助はこちらの様子を伺う目で聞く。
「見たところ、この魔法道具は非常に危険な力を持っています。僕の見立てでは」
「・・・・」
「幻想郷を火の海にするつもりですか?」
「ハッ。そんな愉快なことをしてどうするつもりだい?」
「愉快?」
「不愉快だという表情をしないでくれよ。あんたが想像するようなことには使わないはずさ」
「・・・・はず?」
「おっと・・・・口が滑ったな」
もちろん、そんなわけはないが
「先ほど、対価は支払うといいましたよね?」
「あぁ、言ったねぇ」
「この八卦炉、作りましょう」
「本当かい?」
「ただし対価として」
こいつは思いのほか簡単な男だ。
「あなたの正体。八卦炉を作った経緯。そして僕に作らせた八卦炉の使用目的と使用する者を教えてください」
手の上で勝手に踊ってくれる。
「聞かれちまったら、仕方がないねぇ」
「お願いします」
「なんであんたが頭を下げるんだよ?頼んでるのはあたしだよ」
「すみません。先ほど聞くなと言われたのを承知で言います」
「何をさ?」
「僕はこの八卦炉を作りたい。でもそれを悪用されたくない」
「で?」
「だから、知りたいんです。そうじゃないと、また、後悔しそうなんで」
「後悔?」
霖之助は一度、目を伏せた。
次に顔を上げたやつは、覚悟を決めた表情だった。
「あなたの名前は、『魅魔』ですね?」
「知ってたか」
「すみません。知らないふりをしました」
「知らないほうが少ないんじゃないか?この幻想郷で」
「そうですね」
「何で知らないフリをしたんだい?」
「・・・・・十年前。僕はある女の子を知り合いから引き取りました」
「!?」
驚きを隠せなかった。
十年前の女の子。つまりは魔理沙。当時『リサ』と呼ばれていた少女のことだ。
ここでこの話を持ってくるということは霖之助は知っているのだろう。あたしと魔理沙のことを。
どこから知った?どうやって知った?
一杯食わされたな・・・・。
「彼女があなたのところで暮らしていると知ったのは半年前です。うちの常連。靈夢がある日、こんな話をしました」
「魅魔っていう悪霊のところに、魔理沙っていう私と同い年ぐらいの女の子がいるのよねぇ。なんで、人間のくせに悪霊と一緒にいるのかしら?」
「魔理沙・・・・。それが今の彼女の名前ですね?」
「そうだ。あたしが名付けた」
「どうして、リサ・・・・・いえ、魔理沙と暮らしているんですか?」
「・・・・ふっ、こんな堅苦しい会話は嫌だねぇ」
あたしは出された茶を一気に流し込む。
「わかったよ。あたしの話をしてやる。だからそんなに構えないでくれ。難しい話をするつもりはないからな」
「・・・・わかりました」
森近霖之助。こいつと腹を割って話す機会があるとは・・・・
人生、死んでからが本番なのかもしれない。
お久しぶりです。オルナインです。
相変わらず、失踪はしません。インフルエンザが猛威を振るう中、元気に生きてます。
友人と小説サイトの話をしていたのですが
友「『某なろうサイト』は駄作から傑作まで幅が広すぎるが『ハーメルン』は作者の失踪率が高くない?」
と言われました。
セーフだよね?超不定期更新だからセーフだよね?ね?ね?
今回の話ですが本当は魅魔様に最後まで語らせるつもりだったのですが
流石に時間を空けてしまったので一旦続きます。
本編だけではわかりにくいと思いますが
次回の見どころは
「魅魔様から見た魔理沙」「魅魔様が新たに明かす壮絶な過去」「魅魔様と八卦炉の秘密」
の三本となっております。
乞うご期待
最後にエリーは好きなキャラです。尺の都合、あんなことになってしまいましたが・・・・
エリーの曲「Bad Apple!!」はめっちゃ好きだよ(にわか発言)