──── 数ヵ月後
「なんで俺が絡まれなきゃいけないんでしょう!?」
「ついてこないでください!」
「それはあんた達が、私を軽くあしらおうとするからでしょうが!!!」
はい。
私、柚姫(と幸の薄そうな冴えない男性一名)は絶賛逃走中です。
追ってきているのは、私と同じ中学かつ、私の同級生、御坂美琴さん。
彼女は学園都市に7人しかいない
能力は
私の少し後ろを走る彼は彼女の電撃を打ち消したあたり、大能力者以上と考えていいのでしょうか・・・?
まぁ、とにかく私は寮まで逃げ切らなければならない。
と、いうわけで。
「すみません、私の知らないお方!ここはお任せします!」
「ちょっと待っ!!」
ふっ・・・。
という音と共に私の身体はその場から消え、電柱の上に現れる。
スカートだけどこの際気にしない。
誰も見てないだろうし。
何度かそれを繰り返し寮まで退避した。
え?
入り口から入らないのかって?
そんなことしようものなら、寮監にしばき倒されてしまうこと間違いなしだろう。
門限はとうに過ぎているのだから。
って言ってる今は夏休み中。
とは言っても、もう8月26日だから終わるんだけどね。
あ、明日は
私今までいろんな理由を駆使してパスしてきたけど、能力何使って測定すればいいんだろう・・・。
空間跳躍は却下。
まず測定できないでしょあんなもの・・・。
空気装甲と劫火絢爛も却下。
前者は判断基準が曖昧すぎるし、後者は出力ミスったら学園都市が火の海になりかねない・・・。
となると覇王気質かとなるが、アレはアレで人にトラウマを植え付けかねない。
・・・・攻性気体・・・ねぇ。
攻性気体は、周囲に存在する気体の形状を自由に変化させ、攻撃や防御に使用できる能力だ。
まぁ、気体に限定されてしまうが・・・。
しかし、それは私が去年までの話。
気付いたらなぜか周囲に存在する物質全てをいじれるようになっていた。
というわけで能力名も変化し、
そうそう、今までは形状を変化させられるだけだったんだけど、状態まで変化させられるようになりました。
つまり、水があったならそれを水蒸気にするも氷にするも自由ってことで。
・・・まぁ、それだけに脳への負担も今までより地味に強くなっちゃったんだけど。
とはいえ、いくつも能力を所有している私にはあまり関係のない話だけどね。
まあ、身体検査はこれでいこうかな。
他の能力よりは確実に済むだろうしね。
水なら私の周りに巻き上げて一気に氷結、そこから一気に昇華させて水蒸気にしてやれば文句は言われないでしょう。
ちなみに今、柚木は考えながら、公園の土を強引に半液体にして、砂の城を形成、そして元の固体に戻して、固めていた。
なんてことを考えていたら眠ってしまったみたい。
眼が覚めると、5時ちょっと過ぎだった。
・・・うん。
早起きしすぎたね。
まぁ、能力の調子を確かめがてら、軽く運動しますか。
───── 約二時間後
私は常盤台中学の制服に身を包み自校の門をくぐっていた。
「柚ちゃんおはよ~。」
「あ、
私を『柚ちゃん』と呼ぶ彼女は東堂風実ちゃん。
私の同級生で、同じクラスの子。
彼女の能力は
なにも圏外の場所から携帯が通じる能力というわけでもないことはないが、本元は『聞かれないように話している』会話を『聞き取る』ことが出来る能力。
なんともえげつない能力だと私は思ってる。
私が言うのもアレだけど。
・・いや、本当にアレだと思うけど・・・。
教室に着いた私たちは体操服に着替える。
ここ常盤台中学は、いわずと知れた名門お嬢様学校。
もちろん女子しか在籍していないので、皆着替えに躊躇いがない。
私は少し躊躇うよ・・・。
皆着替え終わって少しすると、担任の先生がやってきた。
「みなさん、今日は知っての通り
わかってますよ先生。
初めてですもんね、私がこうして身体検査を受けるのは。
どんな能力かさえ分かってないですよね先生は・・・。
しばらくすると一人の女性が入って来た。
「あ。あなたが小鳥遊柚姫さんね?」
「はい。」
「私は養護教諭の
「蓼川先生ですね。」
「はい。」
「あなたは自分の能力を知っていますか?」
「はい。私の能力は物質変化系です。」
嘘は言ってない・・・と思う。
状態変化も形質変化も物質変化に入れてしまっていいと思うから。
「物質変化・・・ねぇ。何があれば測定できるかしら?」
「大容量の水さえあれば、力を示すことは出来ます。」
「そう。じゃあ、プールに行って頂戴。」
「はい。」
「あ、そうだ。あなたの能力に名前をつけるとしたら?」
「
「いいわ。行って頂戴。」
──── プール
プールに行くと先客が測定をしていた。
「げ・・・・。」
例の御坂さんが・・・。
『記録。砲弾初速、秒速1030m。連発能力、毎分8発。着弾分布、18.9mm。総合評価、Level5。』
お、おぉ・・・・。
コインを
プールを緩衝材にしなきゃいけないとかドンだけですか・・・。
あ、目が合った。
御坂さんの顔がめちゃくちゃ引きつってる。
「お、おつかれさまです・・・。」
「あ、あんたなんでここに・・・?」
「私も測定場所がプールなんで・・・。」
「前回いなかったわよね・・?」
「サボりましたから・・・。」
御坂さんがすごく呆れた顔をしている。
そんな顔をしなくてもいいじゃないですか・・・。
「あんたの能力気になるから見て行ってもいいかしら?」
「どうぞ。」
「私、小鳥遊柚姫です。測定要請、来てますか?」
「あ、はい。小鳥遊さんですね。」
「早速はじめても?」
「はい。どうぞ。」
私はプールに向き直る。
眼を閉じて精神を統一する。
もうこれは一種の癖だね・・・。
「・・・いきます。」
~三人称side~
柚姫は眼を開くと同時、プールの水を一気に回転させ始める。
そして一気に上に持ち上げる。
さながら、空中に出来た渦潮のような感じだろう。
そして。
ピキッ・・・・・
その渦を保ったまま、一瞬でその水を凍結させる。
これで、プールの底から空中数メートルまで続く、氷像が出来上がった。
雰囲気的に周囲の人々がが唖然としているのが柚姫には分かった。
『温度変化、水温22℃より零下15℃。したがって、マイナス37℃。変化所要時間、0.008秒。総合評価・・・L・・・・』
審査員が結果を発表しようとする。
しかし。
まだだ。
柚姫は思う。
ピキ・・・・ピキッ・・・・・・
パリッ・・・・!!
その瞬間、小規模な爆発が起きた。
すると氷は砕けた。
砕けたことにより温度が上昇し、氷は水に戻るであろうがそれが存在しない。
しかし、まわりの審査員や、御坂御琴は気付いていた。
───周囲の湿度が急激に上昇したことに。
さらに柚姫は続ける。
水蒸気となり霧散した水分をプール上に集め、一つの巨大な水球を生成した。
そしてそれをプールの中に戻し、審査員側を振り返った。
「以上です。」
『二次温度変化、温度摂氏マイナス15℃より摂氏220℃。したがってプラス235℃。所要時間0.0078秒。・・・・・・総合評価・・・・・Level5。』
~side out~
『総合評価・・・・・Level5。』
「ありがとうございました。」
私は速やかに立ち去ろうとする。
・・・・・だが。
「ちょっと待てや、コラァァァア!!」
予想通り御坂さんに絡まれました。
「あんたいきなりなんて記録叩き出してんのよ!!?」
「・・と、言われましても・・・。」
「あんたこれがどういうことか分かってるの!?Level5が新しく誕生したのよ?」
「正直あまり評価には興味がないので、序列は最下位の第八位にしておいていただければ。」
言った途端に周りの空気の質が一変した。
・・・・電気分解か。
酸素が分解されてるな・・・。
無意識だろうけど・・・。
「いいから話を・・・・聞かせろぉぉぉおお!!」
「ってえぇ!?ここで能力使うんですか!?」
私は咄嗟にプールサイドのアスファルトを隆起させ、雷撃の槍を防いだ。
・・・危なッ!!
アスファルトが半分ぐらい削られちゃってるし・・・!
これ私が防ぎきらなかったらどうするつもりだったんだろう・・・。
「・・・分かりましたよ・・・。とりあえずシャワー浴びてからでいいですか?」
「うん。逃げんじゃないわよ?」
逃げ切れる自信がないので逃げません。とは言えない柚姫であった。
人物紹介
常盤台中学に通う、正真正銘のエリートお嬢様。
のはずだが、なぜかバンクでも能力は不明となっていた。
それが、今回の
小柄で、身長は147.5cmしかなく、本人も若干コンプレックスに感じている。
日本人らしい恐ろしいほどに美しい黒髪を肩甲骨の辺りで切りそろえてあり、左側にサイドテールを作っている。
瞳は何があったかは知らないが非常に深い藍色。
黒ではない、断じて違う。
胸だけはなぜかそこそこ(バランスが崩れるほど大きいわけではないが、それでもそれなりに大きい)あり、それもコンプレックスとなっている。
能力
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他数個。
柚姫の同級生。
非常におっとりとした性格で、のほほん系お嬢様の地位を確立している。
能力は『聞かれないように話している』会話を『聞き取る』ことが出来る、