烏野高校排球部員の中身が入れ替わったそうですよ 作:月原夕飛
「おっしゃぁ、もう一本!!」
元気な声をあげるのは烏野高校一年日向翔陽。
その日向の打つ場所ぴったりにボールが運ばれる。
バシーンと強く叩きつけられたボールを見て小さくよしっと呟くのは同じく一年影山飛雄。
「いったん休憩すっぞ。」
「えー、休憩してたらみんな来ちゃうぞー。」
今は朝練よりも前の時間。二人は早く来ると速攻の練習をする。約一時間ほどするとチームメイトがやってくる時間になる。その時間まであと10分ほどしかなかった日向は一秒も無駄にしたくないのだ。
「さては、お前もう疲れたのか?」
「疲れてねぇわボゲェ!!」
影山が舌打ちをするとボールを手に持った。
「早くやるぞ、グズグズするな。」
嫌な言い方に眉間にシワを寄せる日向だったが、スパイクが打てるとすぐ笑顔になってまた練習を始めた。
15分後
「みんな今日は遅いなぁ。」
いつも来る時間は過ぎているのにまだ一人も来ない。二人も結局休憩をしようと座って壁にもたれかかった。
「それなら練習できる時間が増えるからいいじゃねぇか。」
「そうだけど、やっぱり全員でやりたいじゃん!!」
日向は汗を拭いていたタオルを投げるように自分の置いた。
「お前はまだ足引っ張るだろ。ヘッタクソだからな。」
影山は隣で淡々と答える。
「な、なにぉー!少しは上手くなったじゃんか!!」
「どこがだどこが!!まともにレシーブもできんやつが!!」
二人とも立ち上がり、いつものことながら喧嘩が始まる。
「だいたいお前は…!!」
「それはお前が…!!」
言い合いにさらに火がついたのか、影山は日向の胸ぐらを掴み
「いい加減にしやがれ、このボケがぁ!!」
と言うと、日向の額めがけて思いっきり頭突きをした。
その当たりどころが相当悪かったらしく……
「いっ…!!」
日向はそのまま床に倒れ込み気絶状態になってしまった。さらに、頭突きをした当の本人である影山も目を虚ろにしながら倒れ込んだ。
「やばいやばい、ちょい遅れてるよね?」
「まぁ、まだ5分くらいじゃんか。」
「旭さん!!今日もよろしくお願いしますね!!」
「おぉ、相変わらず元気でいいな〜。」
部室前、三年生の澤村大地、菅原孝支、東峰旭と二年生の西谷夕は小走りで体育館に向かっていた。
「日向達はもういるよな?」
「あぁ、さっきカバンがあったからな。」
体育館の扉を開け、いるはずの二人に挨拶しようとした時
「うわぁぁーー!?」
と東峰の叫び声が響いた。驚かないはずがない。実際、三人も声は出さなかったものも思わず目を丸くした。いると思っていた二人が体育館の端に倒れているのだから。
「お、おいどうした!!」
四人はすぐ駆け込んだ。西谷は日向の身体を掴んだ。
「翔陽!!おい、翔陽!!」
「に、西谷…あんまり動かさないほうが……。」
東峰の心配をよそになお呼び続けている。
「影山!!しっかりしろ!!」
澤村と菅原も影山の肩をゆする。
「う…うーん…。」
すると影山の目がうっすらと開き始めた。
「か、影山!!大丈夫か!?何があった!?」
「大地さん…菅原さん…?」
額を押さえながらゆっくりと目を開けた。
「大丈夫か影山?おでこ痛いのか?」
菅原が影山の額にあざが出来てるのを見て心配する。
「あの…菅原さんたち…」
「なんだ、どうした影山?」
なにか冷やすものでも言うかと待ち構えていた澤村と菅原に、影山は思いも寄らないことを言った。
「なんで影山なんですか?俺、日向ですよ?」
一瞬の沈黙が体育館を襲う。そして見事なまでに四人同時に
「はぁ?」
と言った。その声に目覚めたかのように日向も目を開ける。
「あれ…俺なにして…。」
そして日向と影山の目が合う。再び沈黙。そして
「えええええぇぇぇぇーーーー!?!?」
とこれまた見事に二人同時に奇声を発した。