津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:お薬二錠

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お久しぶりです!
今後は最低でも週一のペースで投稿できればと考えています。そしてうまくまとめられず気づけば文字数が1万を超えていました(ll゚ω゚)

かなり長いですが最後まで読んでいただけたら幸いです!

それではどーぞー♪


体育祭の時間 2時間目

「そんじゃ行ってくるね〜」

 

「おう!頑張ってこいよ♪」

 

次の競技 借り物競争に出るためにスタート地点へと向かう中村達を見送った後、磯貝は先ほど自分達の前に現れた生徒のことを考えていた。

 

「月山……月山…どっかで聞いたことあるんだよな…」

 

「止めてくれよ磯貝、あいつの名前口にされるとさっきの光景思い出して………あいつ絶対ぶっ飛ばしてやる」

 

不機嫌そうに言うミナトに謝りつつも、磯貝が月山亘のことを考えていると突如原が言ってきた。

 

「月山亘君ってさ、あの人の息子じゃない?」

 

「あの人?」

 

「あの人って誰だよ?」

 

磯貝とミナトは原の方へ振り返り問いかける。

 

「多分なんだけど……月山習士(つきやましゅうじ)…たまにテレビにも出たりしてるグルメレポーターの息子だと思うんだよねー」

 

「なるほど!月山習士の息子か、確かに独特的な雰囲気とか似てるし髪の色も同じ紫だったな」

 

「だれの息子だろうと凛香に手出したんだ……容赦はしないぜ」

 

ゆびを鳴らしながら答えるミナトを目に、磯貝と原は苦笑を浮かべながら言った。

 

「やりすぎるなよって言いたいけど、ちゃんと勝てよミナト」

 

「磯貝君の言う通り、津芽君は速水さんを守る剣士なんだから♪」

 

「2人してからかうなよ…」

 

2人の言葉にミナトは恥ずかしそうに答えていた。

 

 

 

 

 

 

 

月山亘について話終えると、ミナトは渚が浮かない表情をしていることに気づいた。

 

「どうしたんだ渚?」

 

「あ、ミナト君…その…カルマ君、中村さん、イトナ君が集まると悪意の塊にしか見えなくて…」

 

渚の言葉にミナトはスタート地点に立つ中村に目線を移すと、こちらに気づいたのか中村も目を合わせてくると、先ほどのことを思い出しているのかニヤニヤと笑みを浮かべていた。

 

「俺も悪意の塊にしか見えなくなったわ…」

 

ミナトが浮かない表情でそう言うと…

 

「けっ、あそこにお前が入れば悪意四天王の完成じゃねぇかw」

 

寺坂が笑いながら小バカに言ってきたので、ミナトは関節を決め寺坂を黙らせた。

 

 

 

 

 

そんな光景を苦笑しつつ眺めていた真琴は、スタート地点に立つ中村へ目線を移した。

 

 

(観察対象であるのは津芽君だが、念のためほかの生徒達の実力も把握しておく必要があるな……)

 

 

その時真琴は気付いた。中村の隣に整列する見覚えのある少女に………

 

真琴は彼女の姿を目にするとわずかに笑みを浮かべ、隣でカメラを構える殺せんせーに言った。

 

「殺せんせー、中村さんの隣を見てください。この借り物競争なかなか興味深い戦いになりそうですよ?」

 

「にゅっ?」

 

真琴の言葉に従い、殺せんせーはスタート地点に立つ中村のほうを見た。他の生徒達も、殺せんせーと同じようにスタート地点のほうへ目線を移す。そして中村の隣に立つ少女に気づくと、殺せんせーと生徒達は驚きの表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかミヤコちゃんも同じ競技に出てるとはね…」

 

「こういった行事は初めてなので少しワクワクしています。負けませんよ中村さん?」

 

「はは…私も負けないよミヤコちゃん」

 

微笑みながら言うミヤコに、中村は強く決心し答えるのだった。

 

(最近この子は笑うようになったな…)

 

 

そして先生のピストル音と共に生徒達は一斉に走り出す。その中でも中村とミヤコは誰よりも早く課題の書かれた紙が置かれている机まで辿り着き、課題を確認すると2人は一斉にE組の応援席のほうへ走り出した。

 

 

「渚ちゃ〜ん♪来なさい♪」

 

「な、なんで僕?」

 

中村がオヤジっぽく言う隣で、ミヤコはE組生徒達を見渡し1人の男子生徒の手を取った。

 

「協力してください、ゲス島さん」

 

「お、俺⁈ぜひ喜んで‼︎」

 

浮かない表情で中村に連れられた渚とは逆に、岡島はゲスな笑みを浮かべミヤコと共に走り出した。

 

 

「岡島の奴ゲス島って呼ばれたことに気づいてなかったな…」

 

「彼女に呼ばれたことがよっぽど嬉しかったみたいだね…」

 

ゴールへ向かうミヤコと岡島を遠目に眺めつつ、ミナトと竹林が話していると伊武鬼がミナトに歩み寄り声をかけた。

 

「ミナト、さっきの子が…」

 

「ん?ああ、そうだよじいちゃん。あいつが津芽都、親父が養子にした子で……殺せんせーを殺すために親父が送った暗殺者だ」

 

ミナトの暗殺者という言葉に伊武鬼は驚きを隠せず問いかけた。

 

「あの子も暗殺者だと言うのか⁈」

 

「じいちゃんなら見てわかるんじゃないの?あいつの強さ…」

 

伊武鬼はミナトの言う通り、先ほどミヤコを目にした時から何かを感じ取っていた。

 

(先ほどの嫌な気配…まさかとは思うが…)

 

「でも心配することないよ♪」

 

陽気に話すミナトに、伊武鬼はどういうことかと問いかける。

 

「あいつの暗殺者としての実力は確かだよ……でも俺は、あいつのことを普通に妹だと思ってる。一緒に祭りも見たし、さっきだって普通に話してたでしょ?」

 

「……確かにそうじゃが…」

 

ミナトの言葉に未だ半信半疑でいる伊武鬼に、八重野は歩み寄った。

 

「心配しすぎですよおじいさん。不安なのはあの子も同じ、暖かく迎え入れましょう」

 

八重野の言葉と笑みに伊武鬼は悩むことをやめ、ゴールへと向かうミヤコに目をやった。

 

「そうじゃな…今わしらに出来るのは孫の応援をすることじゃ!」

 

伊武鬼はそう言うと、ミヤコに声援を送った。

 

「もう少しでゴールじゃぞ‼︎頑張れミヤコ‼︎」

 

そんな様子を八重野は微笑みながら眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてミヤコが1着、次に中村がゴールし第一走者の番が終わり2人はE組の元へ戻ってきた。

 

「莉桜ちゃんお疲れ〜」

 

「お疲れ〜い♪」

 

2着でありながらも倉橋の言葉にご機嫌で答えた中村の姿に、菅谷は疑問を抱き問いかけた。

 

「中村2位だったんだろ?なんでそんなご機嫌なんだよ?」

 

「ふっふっふっ……ざんね〜ん♪私は1位だったのだ‼︎」

 

その言葉に生徒達はますます疑問を抱き、中村の隣でがっくりと肩を落とすミヤコに目線を移した。

 

「1着でゴールしたのはミヤコさんだったのにどういうことですか?」

 

奥田の問いにミヤコは残念そうにうなだれながらも課題の書かれた紙を見せた。

 

 

[ハゲ]

 

 

「「「ハゲ⁈‼︎‼︎」」」

 

ミヤコの差し出した紙に生徒達は驚愕の声を上げていた。

 

「知り合いにハゲの方はいるかと考えたら岡島さんが浮かんだので協力してもらったのですが……審査員にこれはボウズだと言われてしまいました…」

 

「ハゲで協力をお願いされた岡島もドンマイだな…」

 

同情しつつ三村はそう言うが、岡島本人はゲスな笑みを浮かべていた。

 

「いやーなかなか良かったぜ♪矢田程ではないが、ミヤコちゃんもかなりハイレベ」

 

岡島が鼻元を抑えながら話すのを、ミヤコは顔面に拳をめり込ませることでやめさせた。

 

「ゴールへ向かっている間、あなたの目線が私の上半身の一部分に集中していることは知っていました………当然の報いです」

 

「ちょっ‼︎待っ……」

 

「……自業自得です」

 

ミヤコの言葉と共に女子達は一斉に立ち上がると、それぞれ椅子や水筒を岡島めがけ叩きつけていた。

 

「ところで中村さんのお題は何だったんですか?」

 

「んー?私はこれ〜」

 

[男の娘]

 

「なるほどそれで渚さんを選んだんですね」

 

岡島が制裁を与えられてる隣で何事も無いかのように話す2人を見て、渚は反論する気も起きず、男子達は女子を敵に回すのは恐ろしいと改めて実感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奥田さ〜んって何コレ?」

 

気づけば第二走者が走り始めていたらしく、カルマはお題の紙を手に目の前の光景に疑問を抱いていた。

 

「いつものことだよ。それでどうしたのカルマ君?」

 

一瞬冷たい表情を見せる茅野に、カルマは冷や汗をかきながらも岡島を気にしてはいけないと自分に言い聞かせて言った。

 

「奥田さん、一緒に来てもらってもいいかな?」

 

「えっ⁉︎は…はい‼︎」

 

そのままカルマは奥田の手を取りゴールへと向かった。

 

 

「岡島って確か次の二人三脚に出てたよね?それまでに復活するの?」

 

「こういう話は不破さんが詳しいと思いますが、多分作者さんがなんとかしてくれるはずですよ」

 

 

そんなことを話しながらも3着でゴールしたカルマは、審査員に課題の書かれた紙を見せた。

 

[メガネ女子・手を繋いでゴールすること]

 

「まさか手を繋ぐことまで要求されるとはね…」

 

「ごめんなさいカルマ君…」

 

しょんぼりする奥田に、カルマはいつもとは違う悪意の無い爽やかな笑顔で答えた。

 

「謝ること無いよ。ありがとう奥田さん」

 

「こ、こちらこそありがとうございます‼︎」

 

2人がE組の元へ戻ると、最後のイトナがスタートラインへ並んだ。

 

「イトナの奴大丈夫かよ?」

 

「ま、俺等は団体戦ほとんど出る権利ねーから順位とかあまりかんけー無いんだけどよ」

 

吉田と村松がそう言うと、その隣にいた狭間が笑顔を浮かべて言った。

 

「まぁ、寺坂よりは安心できるけどね」

 

「おい⁉︎どういうことだよ⁉︎」

 

そんな寺坂の叫び声と共にピストルの音が鳴り響き、イトナは課題の書かれた紙の元へ走り出した。

 

紙を手に取ったイトナはしばらく考える素振りを見せると、E組の方へ走ってきた。

 

「だいぶ悩んでたみたいだけど、何を持って来いって?」

 

「かなり悩んだんだが決めた。俺が持っていくものはこいつだ」

 

前原の問いにイトナはイリーナを指差しながら答えた。

 

「な、なんで私なのよ?」

 

「この題に合うのはお前しかいない」

 

珍しく見せるイトナの真剣な表情に、イリーナは仕方ないわねーと言いつつ内心頼られていることに喜びを抱きながら、イトナと共にゴールへ向かって走り出した。

 

「ビッチ先生頼られて嬉しそうにしてたけど、相手はあのイトナだからな〜」

 

「うん、あまり期待しない方がいいと思う…」

 

ミナトと速水が先ほどのイリーナを思い出しつつ話していると、審査員のいる方から大声が聞こえてきた。

 

「このガキィ‼︎賞味期限が近い物でなんで私なのよ‼︎」

 

声のする方に目を向けると、イリーナが鬼の形相でイトナを追いかけていた。そんな様子を目にした烏間はため息を吐き、真琴は苦笑を浮かべイリーナをE組の元へ引っ張ってきた。

 

「時と場所を考えろ‼︎」

 

「イ、イリーナはまだまだイケる!私はそう思っているぞ⁉︎」

 

「マコト〜(;д;)」

 

 

「精神年齢の方はまだまだ大丈夫だな」

 

「イトナお前いつの間に…」

 

ミナトの隣には、先ほどまでイリーナに追いかけられていたイトナが何食わぬ顔で座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

借り物競争を終え、次の競技二人三脚に出場する前原・岡野、渚・茅野、ミナト・速水、倉橋達はスタート地点の方へ向かっていった。

 

「あそこ見てみなよミナト」

 

途中カルマに呼び止められ彼の指差す方を見ると、スタート地点付近には先ほど目の前に現れた月山亘の姿があった。

 

「あいつも二人三脚に出るのか…」

 

「こりゃ負けられないね♪」

 

「当たり前だろ?バッキバキにぶっ倒してやる」

 

 

ミナトが準備体操をしつつ意気込んでいると、隣にいた速水が見上げながら言った。

 

「私もいるの忘れないでよね」

 

「忘れるわけないじゃん♪一緒に頑張ろうぜ凛香‼︎」

 

「う…うん‼︎」

 

 

そんな様子を見ていた前原は苦笑しつつ呟いた。

 

「まったく…イチャつくなら時と場所をわきまえてほしいぜ」

 

「あんたが言うか…女たらしクソやろう…」

 

「おい⁉︎」

 

反論する前原に対し岡野はつーんと顔を背けると、倉橋が羨ましそうな表情でミナトと速水を見ていることに気づいた。

 

「どうしたの?倉橋っち」

 

「う…ううん‼︎なんでもないよ」

 

そう答えつつ笑顔を浮かべる倉橋に岡野は疑問を抱いたが、普段のふんわりした表情に気のせいかと自分に言い聞かせそれ以上追求しなかった。

 

「そういえば倉橋さんのペアって…」

 

渚が思い出したかのようにそう言うと、倉橋は苦笑を浮かべつつE組の方を目にし言った。

 

「…うん、岡島君なんだけど…」

 

倉橋の言葉と共に渚はE組の方へ目を向けると、先ほどミヤコと女子達から制裁を喰らった岡島がダウンしていた。

 

「あれは自業自得だから仕方ない。他の人にペア変えてもらったら?」

 

茅野の案に倉橋が頭を悩ませていると、本校舎の教師から早くスタートラインに立つよう言われたので、一同はひとまずスタート地点へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか岡島さんが選手だったとは…」

 

その頃E組応援席では、ミヤコが選手である岡島をボコボコにしてしまったことを反省していた。

 

「気にしないでいいよミヤコちゃん」

 

「そうそう♪あれは岡島君の自業自得だしw」

 

片岡と中村がそう言うが、ミヤコは納得出来なかった。

 

「ですが私の行動のせいで皆さんにご迷惑を…」

 

 

「過ぎてしまったことを悔やむより、どのように挽回するか考えることが大事じゃぞ?」

 

落ち込むミヤコが顔を上げると、そこには伊武鬼の姿があった。

 

「あなたは…」

 

「裕翔から聞いているかの?初めましてじゃな、わしは津芽伊武鬼…お主のおじいちゃんということになるかの」

 

伊武鬼が笑みを浮かべ話すと、八重野もミヤコの元へ歩み寄って言った。

 

「私は津芽八重野、あなたのおばあちゃんね。初めまして津芽都さん、とても可愛らしい子で嬉しいわ」

 

祖父と祖母である2人を前に、ミヤコは何とも言えない表情を浮かべていた。

 

「……初めまして…津芽都といいます…私は…私は!殺せんせーを暗殺するためにやってきました……人を殺した経験もあります………そんな私があなた方と家族のように接することなど…」

 

ミヤコは次第に俯き、声も暗くなっていった。

 

「「それでも」」

 

伊武鬼と八重野の声に反応しミヤコは顔を上げる。

 

「それでも、お主がわしの孫だということに変わりない」

 

「あなたがどんな過去を過ごしてきたかなんて関係無い、あなたは私達の孫、そして裕翔と美月の子、湊の妹で都のお姉さん」

 

「わしらの」

 

「私達の」

 

「「大切な家族じゃ(なのよ)」

 

 

2人の言葉を聞き、ミヤコはこぼれ落ちそうになる涙をこらえながら笑顔を浮かべた。

 

「初めましておじいさま、おばあさま。

津芽ミヤコといいます…これからよろしくお願いします」

 

 

そんな光景を目にE組の生徒達と先生達は笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃ!気合い入れていこうぜ!」

 

「うん!」

 

 

借り物競争第一走者である前原・岡野ペアはスタート地点に立ち、先に出す足を確認しながら競技に備えていた。

 

 

「いちについてー」

 

教師がピストルを構えつつ言うと共に、2人は構える。

 

「よーい……ドン!」

 

そしてパン!とピストルが鳴ると同時に前原と岡野は一気に前へ出た。

 

 

E組内で上位の機動力を持つ2人は、他のペアとの差を大きく開け、最後のコーナーを曲がり次のペアである渚と茅野を目にしつつラストスパートをかけた。

 

「いくぜ‼︎」

 

前原はそう言うと速度を上げるため勢いよく、岡野の腰に手を回した。

 

「セクハラ‼︎」

 

「あァ⁉︎」

 

岡野がパンッ!と前原の手を払いのけたせいで2人はスピードを落とし、次々に追い抜かされてしまった。

 

何とか4着で第二走者にバトンを渡そうとした時、岡野は気づいた。

 

「茅野っち‼︎」

 

「巨乳なんて、巨乳なんてー‼︎」

 

 

先に第二走者へとバトンを渡していた生徒達の胸を目に、茅野は怒りを爆発させていた。

 

 

その後何とか落ち着きを取り戻した茅野であったが、渚と走り始めた時にはすでにビリだった。

 

「うう…ごめんね渚…」

 

「気にしないで茅野、これから追いつければいいよ♪」

 

「渚……うん‼︎」

 

そして渚と茅野は息をぴったりと合わせ次々と他の生徒達を追い越し、第三走者であるミナト・速水ペアに2着という高順位でバトンを渡した。

 

「あとはお願い!ミナト君!」

 

「任せとけ‼︎」

 

渚からバトンを受け取ったミナトは速水へと視線を移す。そんなミナトの視線に気づいた速水は笑顔で頷くと2人は阿吽の呼吸で走り出した。

 

しかしそんな2人の後ろから猛スピードで走ってくる生徒が………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちたまえ津芽君‼︎my princessとペアなんて聞いてないぞ‼︎」

 

 

そう叫びながら猛スピードで走ってきたのは月山亘だった。ちなみにペアの女子生徒はぜぇぜぇ言いながらも、何とか月山のペースに合わせていた。

 

 

「聞いてないも何も、言う必要が無いだろ」

 

「Ms.速水と二人三脚でペア……?互いの腰に手を当て阿吽の呼吸で走る……?ノン…ノン…ノンノンノンノン‼︎そんなこと、この僕が‼︎許可しなーーーい‼︎」

 

 

ものすごい形相で月山はそう叫ぶと、さらにスピードを上げようと勢いをつけるが足に結ばれた紐が切れ、ペア共々その場で大きく転んだ。

 

あまりの衝撃にミナトと速水は心配し、月山の元へ歩み寄る。

 

「お、おい大丈夫かよ?」

 

「大丈夫ですか?」

 

ミナトと速水が声をかけると月山は涙を流していた。

 

「津芽ミナト…何故君なんだ…Ms.速水、どうして君は彼を選んだんだい?」

 

月山の問いに速水は頬を染めつつも笑顔で答えた。

 

「一緒にいて楽しい、一緒にいることが嬉しいって、初めて思えた人だから」

 

「そ、それなら彼と同じ長さの時間を僕と過ごせば」

 

月山の言葉を速水は首を振って否定した。

 

「ごめんなさい…ミナトを好きになった理由はそれだけじゃ無いの……あなたは私を殺そうしてる人の目の前に立てる?」

 

「…………」

 

速水の言葉に月山は何も返せなかった。

 

「例え話じゃないの…実際にミナトは私を殺そうとした人から守ってくれた…それも一度や二度じゃ無い……だからごめんなさい…あなたの思いには答えられない……」

 

速水が申し訳なさそうにそう言うと月山は俯いていたが、しばらくして高々と笑った。

 

「わかったよMs.速水。君のことは諦めよう……その変わり」

 

月山はそう言うとミナトへと視線を移した。

 

「Mr.津芽、ひとつお願いがある」

 

「何だよ?」

 

「彼女を……Ms.速水をこれからも守り続けると誓ってくれるか?」

 

月山の言葉を聞いたミナトはため息を吐くと、笑顔を見せ言った。

 

「言われなくても!最初からそのつもりだ♪」

 

「ありがとうMr.津芽、1人の女性をかけて君と戦ったこと誇りに思うよ」

 

ミナトと月山の間に奇妙な友情のようなものが芽生えた。

2人の姿を見ていた速水はそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい何やってんだよ‼︎」

 

 

E組応援席から聞こえた寺坂の声にミナトと速水は我に返った。気づけば他のペア達はアンカーへバトンを渡していた。

 

「「しまった‼︎」」

 

2人は急いで走り出そうとするが…

 

 

「いかないではくれまいか?この気持ちを君達ともうしばらく共感していたいんだ…」

 

「「許可しない‼︎」」

 

 

2人は月山に強く言い放つと、アンカーへバトンを渡すため猛スピードで走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう……凛香ちゃん達どうしてあそこで立ち止まったんだろう……」

 

ミナトと速水を待つ倉橋は戸惑いながらも、E組の応援席へ目を移した。

 

(岡ちんもまだダウンしてるし……もしペアがいないことを本校舎の先生に指摘されたら…)

 

 

「君、ペアの生徒はどうした?」

 

「えっ⁉︎えっと…」

(どうしよう‼︎本当に指摘されちゃったよ‼︎)

 

「ん?お前はE組の生徒か、ペアがいなければ失格とするぞ?」

 

(⁉︎みんながバトンを繋いでくれたのに、ここで失格になったら申し訳なさすぎるよ…)

 

倉橋は必死に本校舎の教師に言った。

 

「も、もう少しできますから!」

 

「ダメだ!現時点で自分が参加する競技を放棄するなんて、さすがはエンドのE組だな!残念だがお前達はここで失格」

 

E組を失格にしようと本校舎の教師が本部に連絡しようと振り返った時だった。

 

「……………」

 

「な…なんだお前は⁉︎」

 

教師の目の前には、鮫の顔が付いた目出し帽を被った椚ヶ丘中学の男子生徒と思われる人物がそこにいた。

 

教師の問いに答えることなく、目出し帽の少年は倉橋を指差した。倉橋も目の前の光景にキョトンとしていたが、何かを察したのか教師は目出し帽の少年の手を掴みつつ言った。

 

「自分の参加する競技に遅れてくるとは何事だ‼︎ペアの生徒にまで迷惑をかけて」

 

そのまま倉橋も強引に連れられ、目出し帽の少年と共にスタート地点へ立たされた。

 

(ふぇ〜⁉︎なんなんだろうこの人…失格にならずにすんだけど、岡ちんはまだダウンしてるし一体誰なの?)

 

そんなことを思いながら目出し帽の少年を見上げると少年はこちらに向かって走るミナトと速水を目にため息を吐いていた。

 

「ったく、何やってんだよあいつら」

 

「え?」

 

そんな倉橋の声に気づき、目出し帽の少年は言った。

 

「勝つぞ陽菜乃♪」

 

 

4着で最後のコーナーを曲がったミナトと速水は、倉橋の隣に立つ鮫の顔が付いた目出し帽を被る異様な少年の姿が目に入った。

 

「あれ誰?」

 

「岡島はまだダウンしてるし…………」

(てかなんだあの目出し帽、見てて少しイラッとするっていうか……鮫のチョイスはなかなか良いと思うけど…………鮫?)

 

「あいつちゃっかし自己主張してんじゃんw」

 

「誰か分かったの?」

 

「大丈夫!あいつは俺等の味方だよ♪さあ!ラストスパート一気に行こうぜ凛香!」

 

 

 

 

最後の直線でミナトと速水は1人のペアを抜かし、3着で倉橋達にバトンを渡した。

 

「ごめん陽菜乃、あとお願い」

 

「任せといて凛香ちゃん!」

 

「…………イチャついてたのかよ?」

 

「うっせーなw後は頼んだぜ!」

 

「あいよ♪」

 

 

バトンを渡された倉橋と目出し帽の少年のペアは息をぴったりと合わせ、次々と他のペア達を抜かしていった。

 

 

 

 

「すげー、めっちゃ息ぴったりじゃんあの2人」

 

「でも一体誰なんだろ?あの目出し帽の人…」

 

磯貝と片岡がそう言うと、ミヤコはE組の応援席から2人を眺め笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

倉橋と目出し帽の少年は安定した走りで1位を走るA組ペアの隣に並んだ。

 

「E組の分際で生意気なんだよ‼︎」

 

そう言うとA組の男子はわざと倉橋にぶつかってきた。その衝撃で倉橋はよろけてしまうが、目出し帽の少年が渾身の力で支えた。

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「………気にすんな陽菜乃、もっと加速しても大丈夫か?」

 

「う、うん…」

(本当に誰だろうこの人…)

 

その時、目出し帽の少年が着ていた体操服の袖が少しめくれ、あるものが倉橋の目に入った。

 

(あの傷痕…)

 

それはとても痛々しい楽譜のような傷痕だった。目出し帽の少年が誰かようやく理解した倉橋は、嬉し涙を目に浮かべ少年に言った。

 

「一緒に走ってくれてありがとう♪」

 

「俺も一緒に走りたかったからさ♪そんじゃ行きますか‼︎」

 

「うん‼︎」

 

2人は互いに腰に手を当て、先ほどよりもスピードを増して一気に駆け出し、他のペアとの差を大きく開け1着でゴールした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

応援席から戻り、二人三脚に生徒達は歓声が上がった。

 

「すごいよ陽菜乃ちゃん!1位おめでとう!」

 

「最後の追い上げ、あれには驚かされたぜ‼︎」

 

最後で逆転劇を見せた倉橋はその中でも多くの歓声を浴びていた。

 

「ありがとう皆♪でも、私1人の力じゃないよ?」

 

そう言って倉橋が目出し帽の少年方へ視線を向けると、他の生徒達もつられて視線を少年へ移した。

 

「そういえば一体誰なの?」

 

「そんなヘンテコな目出し帽被って恥ずかしくねぇのかよ?」

 

狭間と寺坂がそう言うと、ミナトは笑いながら目出し帽の少年に言った。

 

「ヘンテコな目出し帽だってよw俺もそのデザイン結構好きだけど…………残念だったな鮫ちゃんw」

 

 

「「「鮫島⁉︎」」」

 

ミナトの言葉に生徒達が驚きを隠せずにいると、少年は目出し帽を取った。

 

「まぁ寺坂じゃこのデザインの良さはわからねぇよなwてか鮫ちゃんって呼ぶなよ」

 

目出し帽子を取った海莉は、若干イラつきながらも笑みを浮かべていた。

 

「そりゃ倉橋さんのペアが鮫島ならあんなに息がぴったりなのも納得だね〜」

 

「ベストカップルだもんね〜w」

 

「うがー!またしても鮫島に美味しいところ持ってかれたー‼︎」

 

カルマと中村がニヤニヤしながらそう言う隣で、ようやく目を覚ました岡島は嘆いていた。

 

 

「本当にありがとう鮫ちゃん♪嬉しかったよ♪」

 

「そりゃよかった♪俺も楽しかったよ♪」

 

海莉と嬉しそうに話す倉橋を目に、岡野は先ほど倉橋が見せた羨ましそうな表情の意味を理解した。

 

(そっか…同じクラスで行事も一緒にできる津芽と速水が羨ましかったんだ)

 

海莉と楽しそうに話す倉橋を目に、女子達は笑みを浮かべていた。

 

 

そんな雰囲気の中、午前の部最後の競技である綱引きが行われようとしていた。

 

 

『A組とD組の生徒は入場門に整列してください』

 

 

「鮫島行かなくていいの?」

 

「別に俺がいなくてもD組が相手なら余裕だろ」

 

その時はまだ、ミナトの問いに答える鮫島の言葉を生徒達は理解できなかった。しかし、A組とD組の生徒達が整列すると、E組の生徒達の表情は青ざめた。

 

「な、なんだよあれ…」

 

岡島がそう言うと鮫島が呆れながらも答えた。

 

「浅野が呼んだ4人の外人助っ人だよ。研修留学って理由で呼んだんだと」

 

鮫島の言葉に生徒達はあんな化け物達を相手にするのかと驚いていたが、その時神崎は異変に気付いた。

 

「さっき4人って言ったけど、あそこには3人しかいないよ?」

 

そんな神崎の問いに鮫島は笑顔で答えた。

 

「あー1人ならまだ治療中じゃないかな〜。棒倒しに専念するためにね」

 

「治療中ってまさか……」

 

岡島が震えながらもそう言うと、鮫島はほんの少し邪気のこもった笑みを浮かべた。

 

 

「俺に生意気な口聞くからちょっとねw

もっと仲良くなろうとスキンシップ取っただけだよ♪」

 

 

その言葉に生徒達は察した、A組一の化け物は目の前にいる鮫島だと。

 

 

そんな緊迫した雰囲気の中でE組一の化け物は言った。

 

 

「まぁ、あんな見掛け倒しの外人相手にするよりお前と戦った方が楽しそうだわなw」

 

「期待してるぜ津芽?南の島の時のようにはいかないからなw」

 

鮫島はそう言うとA組の応援席の方へ戻っていった。

 

 

その後綱引きはA組が圧勝し、E組の生徒達はA組との戦いにむけ作戦会議を始めるのであった。

 




読んでいただきありがとうございます‼︎
ちなみに海莉が被っていた鮫の顔が付いた目出し帽は、デュラララに登場するカラーギャング ブルースクウェアが被っているものをイメージしています。

次回はいよいよ棒倒し‼︎ミナトと海莉の戦いにお楽しみにv(`ゝω・´)

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