ぐだぐだ続いている死神編ですが、ミヤコちゃんの活躍に免じて許してつかあさい(´・ω・`)
都「最後まで応援よろしくお願いします。それではどーぞ」
俺のセリフー‼︎
静まりかえる部屋の中、誰も言葉を発することは無くミナト達を心配し必死に呼びかける殺せんせーの声だけが部屋の中に響いていた。
『ミナト君‼︎また映像が途絶えましたが、一体何が起こっているんですか⁉︎ミナト君‼︎答えなさい‼︎』
ミナトは殺せんせーの言葉に、すぐ応えることは出来なかった。当たり前だ、目の前で義妹であるミヤコに向かって千刀・ツルギが振り下ろされたのだから。
当たり前だ……その千刀・ツルギをミヤコは無意識のまま避けていたのだから。
「ここは……」
ミヤコは目を覚まし辺りを見渡すと、白く靄がかかった世界の中にいた。
「私はさっきまで彩と戦っていて……」
「無様に悪戦苦闘していた」
その言葉にミヤコはバッと振り返る。そこには腰まで伸びた深緑色の髪を先の方でまとめ穏やかであり、ひ弱そうであり、死人のような印象を与える女性が立っていた。
ミヤコは咄嗟に彼女から離れジッと見据える。
(何でこんなところにいるか分からないけど、これだけは分かる…………この人相当強い)
「相手の実力を把握することは出来るのね」
背後から聞こえてきた声にミヤコは恐怖し、振り返ることができず冷や汗をかきながら問いかけた。
「いつの間に背後にまわったのですか?」
「簡単なことよ。この世界に実体は無い……あるのはその人の意識と心なんだから」
彼女の答えにミヤコは一つの疑問を抱いた。
「今ここに意識だけがあると言うなら、彩と戦っている私の身体はどうなっているのですか⁉︎」
「心配はいらないわ。あなたの身体は今、悪刀・鐚の力によって動いているから」
そう言って彼女がミヤコの身体に触れると、脳内に彩と戦っている光景が一気に流れ込んできた。
彩と戦っているミヤコに意識は無く、ただひたすらに攻撃を避けているだけの操り人形のようだった。
「いくつか聞きたいのですが…」
「いいわよ、答えてあげる」
「ここはどこですか?」
「そうね……私もさっき来たばかりだからよく知らないけど、実体が無く心と意識だけが存在する世界……無身の世界(むみのせかい)とでも言っておこうかしら」
彼女が答える間もミヤコはジッと見据えていた。江戸時代の頃のような服装、手足は細く戦いが得意とはとても思えない外面。それでもミヤコは分かりきっていた……彼女と戦っても勝つことは出来ないということを。
「他に質問は?」
彼女の声にミヤコは我に返り、慌てて別の疑問を問いかけた。
「どうして悪刀・鐚のことを知っていたのですか?」
「私も持っていたからよ」
その言葉と共に、彼女はあっけらかんと悪刀・鐚を手に持ち見せてきた。
「どこでそれを……」
「確か…陸奥の死霊山だったかしら」
彼女の答えを機にミヤコは恐る恐る問いかけた。
「あなたの名前は?」
「……………」
ミヤコの問いに彼女は答えること無く、くるりと身体を反転させた。
「人に名前を聞くときは先に自分から名乗るのが礼儀よ?」
「あっ……私は」
「津芽都」
彼女はミヤコの方に身体を向け答える。
「あなたの事はよく理解しているつもりよ?何を思い、何に悩み、何を楽しんでいるのか。何を悔やみ、何を悲しみ、何を欲しているのか。誰を思っているのかもね」
ミヤコはいつの間にか手にしていた悪刀・鐚を目に、はるか昔に耳にした言葉を思い出した。
刀には作った人の魂が宿る。それは作った者が強い思いを持って、その刀を打ったからだ。
刀にはもう一つ魂が宿る。それはその刀を所持した者の魂だ。
ミヤコは伊武鬼からミナトの先祖 津芽正亞記が作った完成形変体刀についての話を聞いていた。そこでミヤコは理解した。自分のことを誰よりも知っている目の前の女性。彼女は悪刀・鐚に宿った、かつての刀所持者の魂なのだと。
「こうして会うのは初めてね。私の名前は鑢 七実(やすり ななみ)昔、悪刀・鐚を所持していた者よ」
「あなたが…鑢七実……」
ミヤコはアニメ『刀語』の話をミナトから聞いていた。作中に登場する完成形変体刀だけで無く、所持者も実際に存在していた人物だということを。
「どうして私を呼んだのですか?」
ミヤコは悪刀・鐚に宿っていた鑢七実が、何らかの理由があり自分を呼んだのだと理解し問いかけた。
「飲み込みが早くて助かるわ。あなたが悪刀・鐚を所持するのに相応しいかどうか見極めてあげる」
その瞬間、白の世界は黒に染まりミヤコの足元には人の形をし、所々から血を流し涙を流す何かが群がり始めた。
「いやっ‼︎なに……なに…これ⁉︎」
「悪刀・鐚によって死んでいった人間の成れの果てよ。あなたが手にしている刀は、人を救う刀なんかじゃない。そもそも刀は人を殺すためにある物よ」
ミヤコの身体には夥しい数の人の形をした何かがまとわりついていた。そんな様子を気にとめること無く、七実は話し続けた。
「何を怖がっているの?あなたにもこの景色は見慣れてるはず。諦めなさい、あなたに誰かを救うという道は存在しない。あるのはただ………目の前に現れる邪魔な者を殺すだけの道よ」
「………ちがう」
ミヤコは身動きが取れない中、七実の言葉を否定した。
「私は……私の意思は………誰かを守ること‼︎」
少しずつミヤコにまとわりついていた者が、崩れ落ちてゆく。
「この刀が人を殺す力しか持っていなかったとしても、私は守るために使う。守りたい人達がいる。一緒に笑って過ごしたい人達がいる。私に1人じゃないことを教えてくれた人がいる‼︎」
全ての者達が崩れ落ち、ミヤコはゆっくりと七実に歩み寄った。
「ずっと悪刀・鐚の中で私を見ていたのなら分かっているはずです。私が……兄様に1人じゃないことを教えてもらったあの日から、何を思うようになったのか」
「……分かっているわ、ずっと見守ってきたんだから。手を出して」
ミヤコは七実の言葉に従い、手を差し出した。七実の手がミヤコの手と重なり、彼女の身体が光り始める。
「いったい何が⁉︎」
「慌てることはないわ。私の力をあなたに与えてるだけだから」
「でも、それじゃあなたが‼︎」
彼女の身を心配するミヤコを目に、七実は笑みを浮かべた。
「元々魂だけの存在よ?今までと何一つ変わらないわ………」
受け取りなさい私の力を……ずっと見守っているから
津芽都、あなたを正式な悪刀・鐚所持者として認めます
「しつこい……しつこい……しつこい‼︎」
ひたすらに攻撃を避け続けるミヤコに対し彩は怒りを露わにし、何らかのスイッチを取り出しボタンを押す。次の瞬間、壁から飛び出してきた千刀・ツルギがミヤコの手足を突き刺した。
その様子を見ていたミナト達は彼女の死を悟り、亜衣は取り返しのつかないことをしてしまったとその場で泣き崩れた。雪乃もミヤコの死を悲しみ、ミナトは何も出来なかった自分に怒り、立ち塞がる千刀・ツルギを殴り続けていた。
「クソッ‼︎また……また俺は…妹を………」
「おい津芽、あれ見てみろよ」
海莉の指差す方向にミナトだけでなく、雪乃と亜衣も目を移す。
そこには手足の傷を完治させ、黒の僧衣に身を包んだミヤコの姿があった。
「ミヤコ姉‼︎良かった…無事だったんだ」
安堵の息を吐く亜衣の隣で、雪乃はミヤコの姿を目に疑問を抱いた。
「ミヤコちゃん少し見た目変わってない?雷の色も黄色から青色に変わってるし」
「言われてみれば髪の色も若干緑っぽくなってるような……」
「そんなことどうでもいいだろ⁉︎とりあえずあいつが無事だったんだ」
ミナトはミヤコに向かって大声で叫んだ。
「おーい‼︎ミヤコー‼︎ちゃんとそいつも救って帰ってこいよー‼︎」
ミナトの叫び声が届き、ミヤコは苦笑を浮かべながらもしっかりと頷いた。
(少し恥ずかしい兄ね)
「そうですね…………でも、私の大切な兄です」
ミヤコは嬉しそうな笑みを浮かべ、七実の声に答えると彩に目を移し言葉を投げかけた。
「彩、一緒に帰ろう?」
「うるさい‼︎」
刀を振り上げ襲ってくる彩を前にミヤコは構えを取ることなくジッと見ていた。
だがその時点でミヤコはすでに構えていたのだ。
「虚刀流・零の構え 『無花果』」
あとがき
真の所持者として覚醒したミヤコ。彼女の救いの刀は彩に届くのか⁉︎