津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:お薬二錠

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終戦の時間

操作室にたどり着いた死神は、水を流す前に捕らえた生徒達の様子を確認しようと部屋の様子を端末で見たが、そこには誰の姿も無かった。

 

 

(一体なにをした?こんなわずかな時間であの檻を破壊する事なく逃げられるわけが………)

 

 

次に死神はミナト達を監禁した部屋を見たが、先ほどの爆発で非常用照明に切り替わっていたため画面越しでは部屋の様子をハッキリと見ることは出来なかった。

 

 

(……まぁいい。それならば首輪の爆弾を起動し、2・3人殺してアナウンスで脅せば否が応でも大人しくなるはずだ)

 

 

ピッと首輪の爆弾の起爆スイッチを押すが、首輪だけが檻の中で爆発した。

 

 

(…チッ、標的も人質もいない檻に水を流しても意味がない‼︎もう一度人質を取って振り出しに戻す‼︎)

 

 

死神は生徒達を再び人質として取るため急いで操作室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

その頃檻の中では………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……首輪を爆破した」

 

「…ってことはここの映像見たようだな」

 

「焦った死神は烏間先生の所へ戻ってくるはず。今は結果がわかるまでこのまま我慢だ」

 

「にゅやぁ…それにしてもよくこんな手を考えましたねぇ三村君」

 

 

生徒達は三村、イトナ、岡島、菅谷、主にラジコン盗撮の主犯達の活躍により、保護色となり壁と同化することで死神を欺いたのだ。

 

首輪の爆弾を解析したイトナ、設置された監視カメラの正確に映されない場所を見つけ出した岡島、生徒達全員の超体育着に暗殺迷彩を施した菅谷、そしてそれをまとめ指示を出した三村。ラジコン盗撮に呆れていた女子達も、彼等の活躍に皆さすがだと感心していた。

 

「そういや殺せんせーは?」

 

「先生はフツーに保護色になれるから、俺等の隙間を自然に埋めてもらってるよ」

 

三村の答えを聞いた中村はゲスな顔を浮かべ殺せんせーに言った。

 

「ってことは殺せんせー今素っ裸なんだ〜」

 

「ギクゥ‼︎」

 

途端に殺せんせーは顔を触手で隠し、赤くなりながら恥ずかしがっていた。

 

「はずかしいはずかしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、烏間はイリーナを瓦礫の下から救い出し、上着を破りイリーナの腕に添え木を当て治療を行っていた。

 

「イリーナ、お前に対する思いやりが欠けていた……すまない」

 

「……え?」

 

突然の言葉にイリーナが呆気にとられていると、烏間は背後から死神の気配を感じ取り立ち上がった。

 

「お前が育った世界とは違うかもしれん。だが、俺と生徒がいる教室(せかい)にはお前が必要だ」

 

 

 

 

 

ドゴッ‼︎

 

 

 

 

 

死神は瓦礫を吹き飛ばすと、壁に寄り掛かるイリーナに歩み寄り問いかけた。

 

 

「烏間はどこに行った?」

 

 

「……別の道を探しに行ったわ。ひどいじゃない私ごと爆破するなんて」

 

 

イリーナの言葉に、死神は笑顔で答える。

 

 

「いやあごめんよ‼︎ああでもしないと目的が達成できなくてね。それに僕らの世界は騙し騙されの世界だ……文句あるなら今度は確実に殺してやるよ?」

 

 

「別にいいわ」

 

 

そう言ってイリーナは烏間に応急処置を施された左腕を見せつつ言った。

 

 

「私もね、すぐオトコを乗り替えるビッチだから」

 

 

「え……」

 

 

死神が気づいた時には、烏間によって羽交い絞めにされていた。

 

「自分の技術を過信せずに、信頼できる仲間を作るべきだったな。こんな場所じゃどんな小細工されるかわからない。スッキリした場所へ移ろう」

 

そう言って烏間は死神と共に真下に広がる空間へ落ちていった。

 

「思ったんだが……お前、そんなに大した殺し屋か?」

 

 

 

 

 

ドパァン‼︎と激しく水に打ち付ける音は、壁の一部に擬態していた生徒達のフロアまで聞こえてきた。

 

「な、何⁉︎」

 

「向こうで何か水に落ちたぞ‼︎」

 

原と吉田がそう言うと、殺せんせーは目をズームさせ音が聞こえてきた方の様子を確認した。

 

「上からの立坑ですねぇ。そして……烏間先生と死神‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「受身の技術はさすがだな。1つ1つの技術の凄さで強引に結果は出せるだろうが、生徒達には踊らされイリーナにも騙された。ツメも脇も甘すぎるブランクでもあったのか…」

 

烏間がそう言うと、死神は自分の顔をグシャッと手に取り水面に投げつけた。

 

「黙って聞いてりゃ言ってくれるね。全てを犠牲に磨き上げた死神の技術‼︎お前も殺して顔の皮を頂こうか‼︎」

 

 

襲いかかる死神に対し烏間が迎え撃とうと構えると、死神は突然笑い始めた。

 

「そう言えば烏間先生、信頼できる仲間を作るべきだったな……とか言ってたよね?」

 

「……それがどうした?」

 

「僕の仲間に信頼関係なんか無いんだよ」

 

そう言って死神が手にしたスイッチを押すと壁からモニターが現れ、そこには檻の中にいる生徒達と死神の技術によって洗脳された兵士達が映し出されていた。

 

「なんだと‼︎」

 

「精神力の低い奴らは僕の洗脳だけで十分だ。あの双子は機械を使って殺意を増幅した上で洗脳したけどね♪」

 

再び生徒達が人質となったことで烏間が悔しそうな表情を浮かべるのに対し、死神は上機嫌に笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

檻の中に捕らわれた生徒達は殺せんせーの背後に隠れ、殺せんせーもまた生徒達を守るために洗脳兵士達をじっと見据えていた。

 

(…少なくとも1人1つは武器を所持している。マッハで対処すれば何てこと無いが、それでは生徒達に被害が……)

 

そんなことを考えていると、兵士の1人がナイフを片手に襲いかかってきた。殺せんせーは触手を使い何とかその攻撃を防ぐが、ナイフに触れた触手の先端はドロリと溶けていた。

 

(まさか対先生用物質で作られたナイフを所持しているとは……)

 

殺せんせーが振り返ると、心配そうに見つめる生徒達の姿があった。

 

(この子達は私が守る‼︎それがあなたとの約束です‼︎)

 

 

兵士内の3人は一斉に飛び上がり殺せんせーに襲いかかる。殺せんせーも覚悟を決め生徒達を守ろうとした時、突然床が粉砕されそのまま兵士3人を打ちのめした。

 

 

「けほっ…けほっ……あっ‼︎黄色いタコのせんせーじゃん‼︎ほらほらちゃんと合流できたでしょ♪」

 

床に空いた大穴から出てきたのは、眼鏡を掛けた赤髪の少女だった。

 

「散々迷った挙句、えらそーに言うんじゃねー‼︎」

 

「でも生きてたどり着くことができて本当によかった〜」

 

次に出てきたのは怒りを露わにする海莉と、安堵した表情を浮かべる雪乃だった。

 

「ミヤコお姉ちゃん大丈夫…?」

 

「ありがとう彩。それにしても亜衣の怪力には本当に驚かされます…」

 

次に出てきたのは青髪の大人しそうな印象の少女と、その少女に引っ張られるミヤコだった。

 

「さぁ、無事に着きましたよ。兄様」

 

「もう無理……流石に疲れた〜」

 

そして最後に引っ張り出されたのは、疲れ切ったミナトだった。

 

「皆さん‼︎」

 

「やっほ〜殺せんせー♪何とか合流出来たな」

 

「鮫島君……ミナト君もミヤコさんもよくぞご無事で…」

 

「まぁ感動の再会に喜んでる様子じゃ無いみたいだけどね…」

 

そう言ってミナト達はゆっくりと歩み寄る洗脳兵士達に目を向けた。

 

「鮫島、どっちが多くぶっとばせるか競争な?」

 

「その勝負のった♪負けたら俺にジャンボパフェ奢れよ?」

 

ミナトと海莉は準備運動をしながらも先ほどまでの戦いの疲れを見せることなく、余裕の表情を浮かべていた。

 

「本当に喧嘩バカですね……あの2人は」

 

「そう言うミヤコ姉も準備万端じゃん♪」

 

「ヤル気満々……」

 

ミヤコ達もそれぞれ武器を手に取り洗脳兵士達の前に立ちはだかっていた。

 

 

「姉ちゃんは俺達が処理できなかった奴らお願いね♪」

 

「はいはい」

 

「そんじゃ………サクッと殺りますかw」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モニターの画面を目に烏間は笑みを浮かべ、死神は驚きを隠せずにいた。

 

「やはり信頼できる仲間を作るべきだったな」

 

その言葉と共に放たれる拳を死神は間一髪でかわし、袖口からナイフを出し烏間との戦闘に臨んだ。

 

ワイヤーや多彩な技術を使っても烏間には通用せず、水とコンクリだけのシンプルな舞台の上で通常戦闘に持ち込まれていた。

 

そんな不利な状況の中でも、死神は余裕の笑みを浮かべ自身の過去を語り始める。

 

大金持ちの何不自由無い家庭で育ったこと。イリーナを引き入れるために悲惨な境遇で育ったと嘘をついたこと。自分の親が殺し屋に殺されたこと。

 

「暗殺とは殺傷法、知識、対人術、美しい技術の集合体だ。そうして極めた技術の極致をご覧に入れよう」

 

そう言って死神は一輪のバラを懐から取り出すと宙に投げた。それに一瞬だけ気を取られてしまった烏間めがけ、死神は人差し指を向けた。

 

ピシュッ‼︎とわずか10口径の仕込み銃から放たれた弾丸は、筋肉と骨の隙間を通し大動脈に裂け目を入れる。一か所が裂けた大動脈は自らの血流厚手裂け目を広げ、血が噴き出し大量出血で死に至る。

 

「これが死神の見えない鎌の正体……僕にしかできない総合芸術さ」

 

そう言って血が噴き出しその場でうずくまる烏間に歩み寄ると、死神はある一点に疑問を抱いた。

 

(…なんだこれは皮膚と同じ色のチューブが…血を噴いている)

 

チューブの先を目で辿ってみると檻の中から触手を一本外に出し、トマトジュースを飲む殺せんせーの姿があった。

 

(そうか…これはタコの触手‼︎)

 

「そういうことだ」

 

うずくまっていた烏間はそう言うと、躊躇なく死神の股間を殴りつけた。

 

「うぐおおおおおおおおおおお‼︎⁉︎」

 

「ようやく決定的な証拠を見せたか。死神でも急所は同じでホッとしたぞ。あのタコはお前の技術の正体を瞬時に見抜いていた。殺すべき標的に守られるのは癪だがな」

 

烏間はやれやれと溜息をつくと、怒りを露わにし言った。

 

「……覚悟はいいな死神。俺の大事な生徒と同僚に手を出したんだ」

 

その言葉を耳にしたイリーナは嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

 

「待てッ…僕以外に誰が奴を殺れると…」

 

「技術ならE組に全て揃ってる」

 

烏間は勢いよく顔面を殴りつけ、その衝撃で死神は半回転しそのまま壁に激突し気を失った。

 

「殺し屋なんて辞めたらどうだ?職安に行けば役立つ技術が沢山あるぞ」

 

 

 

 

一方ミナト達も洗脳兵士達を一掃し、生徒達と共に死神に勝利した喜びを分かち合っていた。

 

「全生徒と全先生、そして家族。E組に関わる者みんなでつかんだ勝利ですねぇ」

 

その言葉にミヤコは彩、亜衣の2人と笑顔を浮かべ、ミナトは雪乃の方に目を向けた後、余裕と言わんばかりの笑みを浮かべる海莉と拳をぶつけ合った。

 

「「お疲れちゃんでした‼︎」」

 

 

 

 




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