都「どうしたのですか兄様?」
湊「また俺の出番が少ない…………」
鮫「まぁ、前半は俺と陽菜乃がメインみたいなもんだからな」
湊「納得いかねー‼︎」
都「ワガママ言わないでください…ほんと恥ずかしい。お待たせしました読者の皆様、それではどーぞ!」
少女は花瓶の花を持ってきた物と変え、手際よく水を変えるとベットに横になっている女性に声をかけた。
「お花新しいのに変えておきますね七海さん」
「ありがとうね。陽菜ちゃんがお見舞いに来てくれるようになってから、ここも少し華やかになったわね」
この日、倉橋陽菜乃は自分の彼氏の母親である鮫島七海の見舞いに来ていた。
「まったく海莉にも困ったものね。自分がお見舞いに来れないからって陽菜ちゃんにお願いするなんて」
「鮫ちゃ…いや鮫島君、生徒会の仕事で最近忙しいみたいですから」
「ふふっ、鮫ちゃんって昔と同じように呼んでいるのね」
七海の言葉に倉橋が顔を俯かせ赤くしていると、慌ただしく病院内を走る音が聞こえ2人がドアの方に目を向けると息を切らせた海莉が現れた。
その後、海莉は七海と病院の医師達に注意され不貞腐れながらも倉橋の隣に座った。
「仕方ないじゃんかよこっちは急いでたんだから…」
「さ、鮫ちゃん元気出して?」
「そうよ、怒られたぐらいで情けないわね」
「自分の息子を少しでも大切にしろ!あと陽菜乃は母さんの前で鮫ちゃんはやめってくれって言ったろ?」
「えー、いいじゃない」
「母さんは黙ってろ!」
ベットの上で上半身だけ起き上がる七海と言い争う海莉。そんな2人の姿を倉橋は微笑ましく見ていたが、何かを思い出し少し寂しげな表情を浮かべていた。
そんな倉橋に気づいた海莉は場の雰囲気を変えるため彼女に問いかけた。
「そういえば陽菜乃達は学園祭何やんの?」
「ほぇ?」
「ほぇ?じゃなくて学園祭だよ学園祭」
「学園祭かーすっかり忘れてた」
「おいおい…」
寂しげな表情から打って変わって天真爛漫な笑みを見せる倉橋を目に海莉は苦笑を浮かべるが、明るい表情の彼女を見て内心ホッとしていた。
「海莉が最近忙しいのも学園祭の準備があるからなの?」
「そーゆこと、こう見えても忙しいんだよ」
「でも鮫ちゃん、学園祭ってまだまだ先じゃ」
倉橋の言うとおり椚ヶ丘学園祭はまだまだ先の話だった。
「俺らのクラスにあいつがいること忘れたのか?今回もお前達を潰す気で行くらしいぞ」
そこで倉橋はようやく思い出した。彼と同じクラスに学園支配者の遺伝子を持つ生徒がいたことを。
「………あいつには口止めされてるけど、俺は榊原達みたいに味方ってわけじゃないし教えてやるよ。あいつが何をやろうとしてるのか」
「海莉…そんな口が軽いと友達無くすわよ?」
「余計なお世話だよ‼︎」
ーそして椚ヶ丘学園祭まで残り2週間
椚ヶ丘中学校舎では体育祭に続き、学園祭でも行われるA組とE組の対決の話で盛り上がっていた。
「面倒な話だ。浅野のやろーもいい加減負けを認めればいいのによ」
「まぁ、浅野らしいっちゃらしいけどな」
「で、私達はどうするの?普通にやるか、勝ちにいくか」
寺坂と吉田の言葉を聞いた狭間がクラスみんなに問いかけるように言うと、生徒達よりも早く担任が反応した。
「そりゃ勝ちにいくしかないでしょう」
「「「その振り向きカッコよくねーからな‼︎」」」
くるりと振り返る3年E組の担任である殺せんせーは、口にだけでなく目にも団子をさしていた。
「今までもA組をライバルに勝負することで君達はより成長してきた。この対決は暗殺と勉強以外のひとつの集大成になりそうですしね」
「……集大成?」
「そう、君達がここでやってきた事が正しければ…必ず勝機は見えてきます」
殺せんせーはそう言うが、生徒達の表情は暗かった。海莉が教えてくれた浅野の戦略を倉橋から聞いたからである。
「学園祭でスポンサー契約結ぶとか中学生がやることじゃねーよ」
「おまけに浅野の集客力と運営力……」
「相変わらず強敵だね、浅野君は」
「浅野君は正しい。自分が持つ武器を最大限に活かしてくるでしょう。でも私達に武器がないわけではありません」
殺せんせーの言葉に生徒達がハテナを浮かべる中、原が「どんな武器があるの?」と問いかけると殺せんせーはどんぐりを差し出して見せた。
「裏山にいくらでも落ちています。実が大きくアクの少ないマテバシイなんか最適です」
「それをどうするっていうのさ?」
中村が問いかけると殺せんせーは事前に集めておいたマテバシイを水が入ったバケツに入れ、浮いたものを捨て残った方の皮を割り渋皮を除いてからミキサーで荒めに砕き始めた。
「これを布袋に入れ川の水にさらし一週間ほどアクを抜きます」
「「「……………」」」
「そうしてアクを抜いたものがこちらです」
「「「料理番組でよく見るパターンだ‼︎」」」
「ちなみに3日ほど校庭で天日干しさせました。そしてこれをさらに細かくひいてどんぐり粉の完成、これが小麦粉の代わりに使えます。客を呼べる食べ物と言えばラーメンです‼︎これを使ってラーメンを作りませんか?」
「ラーメン…だと?」
殺せんせーの言葉に誰よりも反応したE組男子料理代表村松は、どんぐり粉をペロッと舐め険しい顔つきを見せた。
「確かに味も香りも面白ぇけど粘りが足りねー。つなぎに使う卵を使うとなると…ちょい厳しいかもな」
「ご心配なく、皆さん先生についてきてください」
そう促され後をついていくと殺せんせーはスコップを使い、小さなジャガイモみたいなものがついたツルの根元をマッハで慎重に掘っていった。
「これを見てください!」
そう言って殺せんせーが生徒達に見せてきたのは、とろろ芋だった。杉野や竹林が驚きを隠せない表情でとろろ芋を眺めている間、殺せんせーはこれがつなぎとしてどれだけ優秀か村松に熱弁していた。
そして生徒達1人1人にスコップを手渡すと、何故か軍服に着替ええらそーに指示を出した。
「とろろ芋、正しくは自然薯と言いますが天然のものは店で買えば数千円する代物です。さぁ生徒達よ!普段から養っている標的を捕らえる時の観察眼を使いこのツルを探し出しなさい‼︎」
「「「おうっ‼︎」」」
生徒達は目を金に変え自然薯を掘り始めた。あの磯貝ですら中学を出たら自然薯掘りになろうかと少しおかしくなっていたくらいである。
生徒達がみな自分の指示通りに動くことを楽しみニヤニヤと笑みを浮かべていた殺せんせーは、後ろから聞こえる荒い息づかいに気づきバッと振り返った。
「大丈夫ですかミナト君?」
「………」
「ミナト君⁉︎」
「……あ、ごめん殺せんせー。少しぼーっとしてただけ。ここ最近ゲームのために徹夜して疲れちゃってさ」
そう言うとミナトはスコップを持ち、ふらふらとした足取りで皆の元へ向かっていった。
「……………」
その後、生徒達はある程度自然薯を集め終え、村松の提案によりラーメンではなくつけ麺を主な武器として戦うことが決定した。
さらにプールに住みついていたヤマメ、イワナ、オイカワ、テナガエビ達や裏山から取ってきたヤマブドウやアケビもサイドメニューとして使用することも決まった。
さらにさらにカルマが持ってきたたくさんのキノコから現れたマツタケ。
「この山奥では当たり前に手に入る食材ばかりです。君達と同じ山奥に隠れて誰もその威力に気づいていない」
「隠し武器で客を攻撃か」
「私達らしいお店だね」
千葉と速水がそう言うと、殺せんせーはニヤリと笑みを浮かべる。
「殺すつもりで売りましょう。山の幸と君達の数々の刃を‼︎」
それぞれが自分の武器をどのように活かし、どのようにして勝利を掴むかプランを立てる中、1人の生徒が申し訳なさそうに手を挙げた。
「あの〜……」
「にゅ?どうしました?」
「そのとても言いにくいことなんですけど……………学園祭って何ですか?」
申し訳なさそうな表情浮かべるミヤコの言葉を耳に、生徒達と殺せんせーは瞬きすることなく固まっていた。
「「「「「………………………」」」」」
「「「「「えーーーーーーー‼︎」」」」」
周りの雰囲気に流され学園祭が何かわからずただついてきた妹を目に、兄であるミナトは自身の身体起こっている原因不明の怠さを忘れ苦笑を浮かべていた。
学園祭編突入です!
懐かしいですね、私は高校生の学園祭でお化け屋敷をやりました!
ありきたりかもしれませんが学校内でお化け屋敷をやったのが私たちのクラスだけだったので、たくさんのお客さんが来てくれて大賑わいでした。
しかし部活の発表と重なっていたため、クラスの方にあまり顔は出せませんでしたが…………ああ、学生に戻って学園祭またやりたいなぁ。
学生の皆さんは学園祭で楽しい思い出をぜひ作ってください!
感想お待ちしてますv(`ゝω・´)