今回は少し長めになってしまいました。文字数は6000オーバー。そのため少しグダッてしまったかもしれませんが温かい目で読んでいただけたら幸いです。
それではどーぞ!
殺せんせーによるヨイツブレタケ騒動があったがE組生徒達は何とか準備を終え、第11回 椚ヶ丘学園祭当日を迎えていた。
「このどんぐりつけ麺めっちゃうめー‼︎」
「なーリュウキ君、モンブランも頼んでいい⁉︎」
「俺も魚のくんせい喰ってみてぇ‼︎」
「はしゃぐな‼︎バカがバレんだろうが‼︎ったく、こんなもん中坊の思いつき……………うめぇ‼︎」
修学旅行で渚達を襲った高校生達がギャーギャー叫びながらも3年E組のどんぐりつけ麺に絶賛しているのを目に、ラジコンコントローラーを操作するイトナが呟いた。
「奇跡の味だ。これじゃマズさが売りの村松のキャラが崩れる」
「うるせーイトナ、てめーも働け‼︎」
そんなイトナの隣にいた竹林がどんぐりつけ麺を食べに来たお客を目にメガネをクイと上げ言った。
「山のふもとで矢田が客引き、頂上でビッチ先生が客の相手……本当に恐ろしい師弟コンビだ。立地のわりにはよくやっていると思うけど、それでも客足はなかなか伸びないね」
「イトナ、A組のほうはどうよ?」
ミナトがイトナのコントローラーを覗き込むと、イトナは難しそうな顔をして答えた。
「偵察してるが客の興味を引くのならあっちが上手だ」
「まぁ、そりゃそうだよな。浅野の友人のアイドルやお笑い芸人が無償で出演してんだもん」
「ヌルフフフ、学園祭もまだ1日目、勝負はこれからですよ」
「……殺せんせーその姿何?」
キメ顔で話す殺せんせーにミナトは苦笑を浮かべながら問いかける。
「しゃちほこです。少しでも豪華な感じを出そうと」
「「無理があるだろ‼︎」」
「タコがしゃちほこになっても客足に変化はないな」
「にゅやっ‼︎イトナ君さらっとひどいこと言わないでください‼︎」
イトナがいつも通りの平常運転で毒を吐く姿にミナトものっかろうとした時、元気な子ども達の声が聞こえ目を向けるとわかばパークの子ども達や従業員と共に彩、亜衣2人の姿があった。
「来てやったぞ渚!」
「わざわざ遠いのにありがとう桜ちゃん」
「ま、私専属のカテキョにお願いされたら来てやるしかないよねー」
「昨日、明日が楽しみで夜も眠れな〜いって言ってたのはどこの誰だっけ?」
「う、うるさいな!そう言う亜衣も楽しそうにパンフレット見てたじゃん!」
「それはそれ!これはこれ!」
「はぁ?わけわかんない‼︎」
激しく言い争う桜と亜衣を前に渚が混乱していると、ミヤコがそっと近づき助け舟を出した。
「彩と亜衣は今防衛省の監視下にいます。日常的な生活を送れるようにと、わかばパークのお手伝いをしつつ遅れていた勉強も進めているんです」
「なるほど……」
「そう言うこと………はい、ミヤコお姉ちゃん差し入れ持ってきたよ……」
「ありがとう彩」
「うん…」
あの時と変わらない静かで大人しい声だが、彩の表情が生き生きと明るいものになっていたのを2人のやりとりを見ていた渚は感じ取っていた。
ミヤコはわかばパークの子ども達や従業員がどんぐりつけ麺を美味しそうに食べているのを見ていると、落ち着かない様子でチラチラと視線を移す亜衣が気になり声をかけた。
「どうしたの亜衣?さっきから落ち着かない様子だけど」
「ほえっ⁉︎な、何でもないよ…あはははは」
明らかに不自然な亜衣にミヤコが疑問を抱いていると、松方が笑みを浮かべ言った。
「わかばパークをリフォームしてくれた時、建築作業をしていた前髪の長い男子がいたじゃろ。どうやらそいつが気になるようでな」
「ち、違う‼︎松方さんも余計なこと言わないで‼︎」
「ほー♪」
ミヤコは珍しくニヤニヤと悪い笑みを浮かべると、しゃちほこの姿をした殺せんせーの元に駆け寄りひそひそ話をしたり互いにニヤニヤと笑みを浮かべ、しばらく経つとニッコリ笑顔で亜衣の元に帰ってきた。
「時間的に私達も休憩に入ろうとしていたところです。呼んできてあげましょうか?千葉龍之介君を」
「べ、別に余計な御世話だし……」
「呼んだか?」
「ち、ちちち…千葉⁉︎」
慌てふためく亜衣を目にミヤコも松方はため息をつき小声で話し始めた。
「わかりやすいにもほどがありますね」
「彼がわかばパークの強度確認に来るたびあの調子じゃよ」
松方の言葉に苦笑を浮かべ亜衣の方に目を向けると、千葉に一緒に学園祭見て回るかと誘われたのか嬉しそうな笑みを浮かべる彼女を目にミヤコも幸せそうな表情を浮かべた。
「ミヤコちゃん、私達も休憩だから本校舎の方に行ってみよーよ!」
こちらに向かって手を振る茅野、そして奥田と神崎に対しミヤコははい!と答え、彼女達の元へ駆け寄って行った。
茅野、奥田、神崎の3人は初めて見る学園祭に目を輝かせるミヤコと、同じように目を輝かせ様々な屋台を瞬時に見て回る彩を微笑ましく眺めていた。
「せっかく来たんだし楽しまないとね♪」
「はい!」
「ミヤコお姉ちゃん、たこ焼き食べる……?」
「ぜひ!」
(((いつのまに⁉︎)))
彩は手にしていたたこ焼きをミヤコに一つ渡すと、茅野達にもたこ焼きを差し出した。
「はい…」
「いいの?」
「うん…ミヤコお姉ちゃんの友達だから…」
「ありがとう彩ちゃん」
神崎に礼を言われ彩は恥ずかしくなり、顔を赤く染めそっぽを向きつつもどういたしましてといつもより小さな声で言った。
「それでは行きましょう!この学園祭に出店してる屋台のメニューを全部制覇してやります‼︎」
「さ、さすがにそれは無理かと…」
初めての学園祭にテンションが上がるミヤコを抑えるよう奥田はびくびくしながら答えるが、彼女に手を取られミヤコと共に猛ダッシュで走り去ってしまった。
「ミ、ミヤコさん!は、速いです〜‼︎」
あまりの速さに悲鳴のようなものをあげる奥田を気の毒に思いつつも、茅野達は2人の後を追い本校舎の中へ足を運んだ。
奥田はミヤコに振り回されたが、しばらくして茅野達と合流し1年教室付近を歩いていた。
「つ、疲れました…」
「すいません奥田さん!そ、その初めての学園祭で舞い上がってしまって」
「だ、大丈夫ですよ!ミヤコさんの気持ち私も分かりますから」
「ほ、本当ですか?」
「それでもミヤコお姉ちゃん騒ぎすぎ……」
「な⁉︎そ、そんなことはありません‼︎」
やれやれといった表情を浮かべる彩にミヤコが否定しようと声をあげると、目の前から歩いてきた浅野と鉢合わせになり彼はミヤコの前で立ち止まった。
「勝負は諦めたのか?」
「勝負?表立って勝負することになってはいなかったと思いますが?」
「フン、それにしても元生徒会副会長がE組の生徒と歩いているとはな」
「何か問題でも?」
微かに殺気を放つミヤコに浅野は一瞬怯むが負けじと言い返そうとした時、教室の中から女子生徒の悲鳴が聞こえてきた。
「や、やめてください‼︎」
「おいおい、ちゃんとサービスしてくれよ〜」
「何事だ‼︎」
浅野が教室のドアをガラリとあげると、1人の女子生徒がガラの悪い高校生達に囲まれていた。
「あ、浅野せんぱい…」
「何事だだぁ?ここはメイドカフェだろ?可愛いメイドちゃんにちょ〜っとサービスしてもらおうとしただけだぜ?」
「彼女を解放しろ」
そう言って浅野が近づくと、リーダーと思われる坊主の男が少女の手を取り人質に取った。
「中坊がいきがってんじゃねーよ!」
「オラ!見せものじゃねーぞ!」
「怪我したくなかったら早くどっか行け!」
周りにいた客達も男達の脅しに怖気付き次から次へと教室を後にして行く。
「低俗レベルのクズが…」
浅野は手を出せない状況の中、拳を強く握り苛立ちを露わにしていた。
(さてどうしましょう。敵の数は7人…悪刀・鐚の力を使えば簡単に倒せますがこの場で使うわけには)
「きゃっ!」
ミヤコが現状整理しこの場をどう乗り切ろうか考えていると、奥田が高校生の1人に手を取られ少女と同じように人質に取られていた。
「メガネっ子、メガネっ子、メガネっ子サイコー‼︎」
「や、やめてください…」
「奥田さん‼︎」
「んー?俺はメガネ女子以外には興味ねーんだよ。お前は他の奴が相手してくれるだろうぜ」
男はそう言ってゲスな笑みを浮かべると、奥田の頬を舌でペロリと舐めた。
「うっ…」
「ひょーたまんねー‼︎」
奥田はすでに涙を流しており、そんな彼女に容赦することなく男がもうひと舐めしようとした時、彼の顎下に青髪の少女が掌底を打ちかました。
「きもい…」
男が倒れ奥田が解放されると彩は急いで彼女の元に歩み寄り落ち着かせると、茅野と神崎に奥田を任せミヤコの隣に立ち男達に目を向け言い放った。
「何1人で悩んでるの?私がいる……2人なら刀使わなくても余裕でしょ……?」
「彩……そうですね、2人なら楽勝です!」
そう言って2人が構えると浅野が無謀だと注意するが、ミヤコは男達に目を向けたまま平然と答えた。
「浅野さんはお客さん達を安全なところへ誘導してください。言ってませんでしたが、私あなたより強い自信があるので心配は無用です」
浅野はミヤコの言葉を疑うことなく黙って頷くと、お客を誘導するために動き始めた。
「茅野さん達も奥田さんを連れてここから離れていてください」
「でも7人相手に2人はキツいんじゃ…」
「問題ないよ、私とミヤコお姉ちゃんなら負けることはないから……」
「茅野さん、ここは取り敢えずミヤコさん達の言うとおりにしましょう?」
「……分かった。無茶しないでね2人とも!」
ミヤコと彩は教室の中に自分自身と高校生、そして囚われた少女だけになったことを確認すると安心した表情を浮かべた。
「言わせておけば……お前らやっちまえ‼︎」
「ぐへへ、可愛いからって手加減しねーぞ⁉︎」
「泣いて謝っても許してやらないよー?」
拳を振り上げこちらに向かって来る高校生達を前に、ミヤコと彩はため息をつき殺気を放ち呟いた。
「面白いこと言うね…」
「それはこっちのセリフです」
「う、嘘だろ…」
少女を人質に取った高校生は2人の少女を相手に、気を失いその場で倒れている仲間達を前に驚愕していた。
3対1の状況でありながらもミヤコは高校生達の攻撃を全てかわし、無駄のない動きで鳩尾に拳を一発ずつ放ち彼らを無力化させた。
彩もまたミヤコと同じく3人の高校生を相手にしながらも素早い動きで撹乱させ顎を蹴り、首筋に手刀を当て、顔面に蹴りを放ち高校生を撃退した。
「さすがミヤコお姉ちゃん、無駄のない動きだね…」
「そう言う彩こそ、昔より動きが速くなってますね」
ミヤコに褒められ彩が嬉しそうな表情を浮かべると、残ったリーダー格の男は血管を浮かび上がらせ怒りを露わにしポケットからナイフを取り出し少女の首元に刃先を突きつけた。
「てめーらいい加減にしろよ‼︎こいつがどうなってもいいのか‼︎分かったらおとなしくしてろ‼︎くそ、どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがってふざけんのも大概にしろよ‼︎」
血走った目で叫ぶ高校生を前に、ミヤコと彩は危機を感じ思わず後ずさってしまう。しかしそれと同時に2人の間を一個の氷が通り過ぎ高校生の片目に直撃すると、ナイスヒット!という掛け声と共に1人の男子生徒が教室に入り高校生の顔面を殴りつけ壁に叩きつけた。
「あ、あの人…」
「相変わらず容赦無いですね…」
「ったく、うちの学園祭で問題起こすんじゃねーよ。学園祭はみんなが楽しむもんだろーが」
オレンジジュースを片手にカップの中の氷を口に運ぶ海莉は、気を失う高校生を前にため息まじりに口にした。
その後、高校生達は本校舎の教師達に連れて行かれミヤコと彩は人質に取られていた少女を助けた礼として、メイドカフェの特別メニューデラックスチョコレートパフェを堪能していた。
「美味しい…」
「ああ、幸せです。茅野さん達もどうぞ」
「ありがとう!私も食べてみたかったんだ!」
「あ、彩さん助けてくれてありがとうございました!」
「ちゃんでいいよ。奥田さんの方が先輩だから…」
「みんな無事でよかった」
「まったくだな。すいませんチョコレートパフェおかわりもらえますかー?」
「それでこれはどういった状況だ?」
海莉も高校生を撃退した礼としてチョコレートパフェを頬張り、浅野もそんな海莉に呼び止められミヤコ達と同じテーブルで飲み物を飲んでいた。
「どうもこうもお前もあの子を助けたのに貢献したんだろ?礼ぐらいちゃんと…ほはっへひへほ」
「食べながら喋るな。それに僕は何もしていない、奴らを撃退し1年生を助けたのは彼女達だ」
浅野はそう言って神崎と談笑するミヤコに目を向けた。そんな視線に気づいたのかミヤコも浅野の方に目を向け先ほどのことを思い出して答える。
「先ほどあなたは元生徒会副会長の私がE組生徒と歩いているなんてなと言いましたね」
ミヤコの言葉に浅野は何も答えず、ミヤコが再び話し続けるのを待ち視線を逸らすことなく真っ直ぐと目を向けていた。
「私は自分がE組であることに誇りを感じています。恵まれた環境、素晴らしい仲間達、そしてあなた達の様な強敵との戦い、たくさんが縁に恵まれ私自身成長しているのを実感します。だからこそ、あの教室の生徒でいることが私は嬉しいのです」
ミヤコが口にした恵まれた環境という言葉に疑問を抱きながらも浅野は自分の手に目を向け、今までの勝利や敗北を思い出す。
しばらくして浅野は席を立ち上がるとミヤコに目を向けることなく言い放った。
「君が、君達がどれほど成長し強くなろうが最後の戦いで勝つのは僕だ」
そう言って教室を後にする浅野に海莉は笑みを浮かべ呟いた。
「お前も否定はしないんだな」
「何か言った?」
「いや、何でもない」
神崎の問いに対し海莉は誤魔化すと逆に問いかけた。
「そういや陽菜乃は?」
「倉橋さんなら今、E組で接客してるよ」
「サンキュー♪ちょっと顔出してくるかな」
そう言って教室を後にする海莉を彩は見送るとミヤコに問いかけた。
「ミヤコお姉ちゃんは好きな人いないの?」
突然の問いかけにミヤコは思わずチョコを口からこぼしてしまいそうになるが、なんとか抑え込み一息ついてから聞き返した。
「え?」
「亜衣は千葉さんに、さっきの人は倉橋さん…だっけ?そしてミヤコお姉ちゃんのお兄さんのミナトさんは速水さんに好意を抱いてる。ミヤコお姉ちゃんも好きな人いないのかなーっと思って…」
「あれ?亜衣ちゃん津芽君が速水さんと付き合ってるの知ってるの?」
「死神さんから聞いた……ミナトさんに何かあったら速水さんを人質に取れって言われてたから……」
その言葉に問いかけた茅野だけでなく、奥田、神崎、そしてミヤコも死神の凶悪さを感じ取っていた。
そんな緊迫した雰囲気の中で亜衣はチョコレートパフェを口に運び平然と口にした。
「でもそのつもりは無かった、大事な人を失う辛さは分かってるつもりだから…」
「亜衣…」
「で、好きな人いないの?」
「うぐっ…………」
顔を近づけ圧迫感を放つ亜衣から逃れようと、茅野達に目を向けるが奥田や神崎も期待の眼差しを向けていた。
「ふぅー」
ミヤコはため息をつきE組に来てからのことを一通り思い出してみることにした。
転入前にE組の生徒達と見て回って夏祭り。E組の生徒達と一緒に観戦した体育祭。2度目の殺せんせー暗殺。自身の過去を受け入れてくれた生徒達。死神の襲来。彩、亜衣との再会。殺せんせーが元凶のヨイツブレタケ大騒動。そして椚ヶ丘学園祭。
(E組の皆さんが私を受け入れてくれたから幸せな日々を送ってこれた。それもこれもあの人のおかげかもしれない……)
ーー当たり前だろ?お前は1人じゃない、俺もみんなもお前のそばにいるよーー
思い出したのは触手に支配されていた自分に投げかけられた言葉。ミヤコはその言葉を投げかけてくれた相手のことを思い浮かべるとほんの少し悲しげな表情を浮かべる。
(……今気づいた。私はいつのまにかあの人に好意を抱いていたんだ)
「ミヤコお姉ちゃん?」
亜衣に呼ばれミヤコは笑顔を浮かべ答えた。
「好きな人はいませんよ。だから、これから見つけます」
「ふーん…」
「それじゃその時は教えてね?」
「私達全力でサポートするから」
「わ、私もです‼︎」
心強い友人に囲まれミヤコは幸せを感じていた。自分の恋心に気づいたミヤコは悲しげな表情を浮かべることなく満面な笑みを浮かべ答えた。
「はい!ありがとうございます!」
ミヤコちゃんの初恋。思いが届くことはありませんでしたが、彼女を助けようとする彼の姿に惹かれていたのかもしれません。少し切ない感じになりましたが、今後のミヤコちゃんのご活躍にご期待ください!
そして次回は学園祭デートの予定です。ヨイツブレタケ大騒動でもイチャイチャさせましたが、こちらでもイチャイチャさせる予定です‼︎
感想、評価お待ちしてます!
読んでいただきありがとうございました!