津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:お薬二錠

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転校生の時間

修学旅行も終わり、E組の通常授業が再び始まろうとしていた。

 

通学路を歩く、渚、杉野、岡島の3人は、昨晩烏間から送られた一斉送信メールの話をしていた。

 

『明日から転校生が1人加わる。多少外見で驚くだろうが…あまり騒がず接してほしい』

 

「うーんこの文面だとどう考えても殺し屋だよな…」

 

「ついに来たか転校生暗殺者」

 

杉野と岡島がそう言うと杉野は疑問を抱く。

 

「転校生って事は、ビッチ先生と違って俺らと同年齢なのか?」

 

「そこだよ!」

 

急に大声を出す岡島に2人は驚いた。

 

「気になって顔写真とかないですかってメールしたんだよ。そしたらこれが返ってきてさ」

 

そう言いながら岡島は携帯の画面を2人に見せる。そこには、可愛らしい女子の写真が表示されていた。

 

「なんだよ、普通にかわいーじゃん!」

 

「仲良くなれっかなー」

 

彼らは殺し屋であろうとなかろうと転校生がどんな人か、どんな暗殺をするのかすごく興味があった。

 

「あれ、岡島君メール来たよ?」

 

「あぁ、ミナトからだ」

 

『ポケモン厳選してたら朝になって、少し寝ようと思って寝たけど寝坊した。だから遅れていくから殺せんせーに連絡よろしくーw』

 

「津芽君、修学旅行の時も散々ゲームやってたのに…」

 

渚がそう言うと、メールの内容に3人は呆れつつも教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー、なかなか6Vって出ないんだよなー」

 

ミナトは遅れながらも、学校に向かっていた。そんな時電柱の下でダンボールに向かって声をかけている少女を見つけた。

 

(ダンボールと会話できるのかな?)

 

ミナトはありえない事を考えながらも不思議に思い少女に近づき問いかけた。

 

「何してるんですか?」

 

ミナトが声をかけると少女は一度振り向いたが、何も答える事無く再びダンボールの中に目をやった。

 

(あれ?俺これ無視されてんの?)

 

しばらくして少女は振り返る事無くミナトに問いかけた。

 

「何か食べ物はありますか?」

 

「は?」

 

「この子が食べれるものを何か持っていますか⁉︎」

 

少し強く言ってきた少女の後ろには、捨てられたのであろう子猫の姿があった。

 

「その子にあげるの?」

 

ミナトの質問に少女は頷いた。

 

「これ食べられるよね?」

 

ミナトはそう言ってカバンの中身から煮干しを取り出した。するとものすごい速さで煮干しを分捕られ、少女は猫に煮干しを与えていた。

 

(ものスゴイ速さで分捕られたな…)

 

「にゃー」

 

煮干しを与えられた猫は嬉しそうに声を上げ、それを見ていた少女も笑顔になっていた。

 

(てか、俺遅刻してんだ!)

 

「その煮干し全部あげちゃっていいよ!俺そろそろ学校行かなきゃいけないから!」

 

ミナトはそう言って駆け出し、少女は走り去るミナトをしばらく見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございまー……」

 

ミナトはようやく学校につき、勢いよく教室に入るが何かを踏みそのまま滑って頭を打ち付けた。

 

「………いってー」

 

「大丈夫か津芽?」

 

木村の手を借り起き上がったミナトは、教室の現状に驚いていた。

 

「……みんな授業中暗殺しすぎじゃない?」

 

「原因はあれだよ…」

 

木村が指差す方を見ると、原の席の後ろに大きな箱があった。箱の前まで歩み寄り様子を探ると、モニターには容姿の整った少女の顔が表示された。

 

「おはようございます、今日から転校してきた自立思考固定砲台と申します。よろしくお願いします」

 

「………」

 

バタン‼︎

 

「おい!津芽がツッコミどころありすぎな転校生見て倒れたぞ!」

 

木村の一言に、E組の生徒たちは掃除を一時中断し、ミナトのもとへ駆け寄った。

 

「とりあえず保健室運んだほうがいいよな?」

 

磯貝と前原で倒れたミナトを保健室まで運ぶことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

眼が覚めると、目の前には保健室の天井が広がっていた。

 

「目が覚めたかい?とりあえず体に異常はないみたいだけど安静にしてたほうがいい」

 

「竹林…何なの?あの転校生は」

 

竹林の説明を聞きミナトは再びツッコミきれずに気を失いそうになったが、なんとか持ちこたえた。

 

「つまり思考能力と顔を持っていることで、れっきとした生徒として登録されてるのか…」

 

「そういうことだね。だが、彼女の実力は本物だよ」

 

「何かあったの?」

 

「彼女は殺せんせーの指を破壊したんだ」

 

竹林の話によると、転校生は暗殺対象の防御パターンを学習し、武装とプログラムに改良を繰り返し少しずつ逃げ道を無くしていく。殺せんせーの指も1回目の射撃で防御パターンを分析し、2回目の射撃でブラインドを使って破壊したらしい。

 

「彼女ならひょっとして殺せんせーを殺れるかもしれない…」

 

竹林の話を聞きながら、ミナトも同じことを思っていた。だが、どこか納得できない部分があった。

 

「それでいいのかな…」

 

 

 

 

 

5時限目からミナトは授業に戻ったが、転校生の暗殺は迷惑行為そのものだった。授業が終わる度に対せんせー用BB弾が床に散乱し、それをE組の生徒達が片付けていた。彼らの不満は少しずつ積もっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

自律思考固定砲台は全てのシステムを起動する。

 

「今日の予定、6時限目までに215通りの射撃を実行。引き続き殺せんせーの回避パターンを分析………⁉︎」

 

自律思考固定砲台は自分に起こっている異変に気付いた。ガムテープで拘束されていて銃を展開することができなかった。

 

「殺せんせーこれでは銃を展開出来ません。これは生徒に対する加害であり、契約で禁じられているはずですが?」

 

「違げーよ俺だよ」

 

その声の主は、拘束に使用したと思われるガムテープを持っていた寺坂だった。

 

「どー考えたって邪魔だろーが、常識ぐらい身につけてから殺しにこいよポンコツ」

 

「…まわかんないよ機械に常識はさ」

 

「授業終わったらちゃんと解いてあげるから」

 

菅谷と原がそう言い、自律思考固定砲台の1日は、殺せんせーに銃口を向けることなく放課後を迎えようとしていた。

 

 

 

 

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