自律思考固定砲台は誰もいない教室の中で1人考えていた。
(想定外のトラブルです。これでは卒業までに暗殺できる確率が極めて下がる恐れがあります)
その時教室のドアが開き1人の生徒が入ってきた。自律思考固定砲台は彼が今日、保健室に運ばれた津芽湊だと知っていた。
「ゲーム忘れたー、帰ってからやることなくなっちゃうよw」
「ゲームですか?」
「うわっ‼︎びっくりした…そうそうこれ教室に忘れてたの思い出してさ」
そう言ってミナトはゲームを差し出しながら言った。
「一度でいいから、お前とも対戦してみたいねー♪」
「それはなぜですか?」
「俺がお前に勝てば俺は機械よりも優れたゲーマーってことになる‼︎」
ミナトの言葉に自律思考固定砲台は少し黙り込んでしまった。
「あ、悪い機械なんて言って…」
「いえ、そのことではなく……なぜあなたは私と関わろうとするのですか?」
ミナトは少し悩み自分の過去を少し話した。
「俺も前までは1人だったんだけど、ここに来てから変わったんだ。ここの奴らみんないいやつでさ、お前もいつか分かると思うよ?」
そう言ってミナトは「またな〜♪」と言って手を振りながら教室を出て行った。それと同時に、今度は暗殺対象である殺せんせーが入ってきた。
「どうですか?自律思考固定砲台さん。E組にはなれましたか?」
「なぜあんなことになったのかわかりません…マスターに対策をお願いしようとしていました」
「ダメですよ、保護者に頼っては」
なぜですかと問う自律思考固定砲台に殺せんせーは答える。
「あなたはこのクラスの生徒です。皆と協調する方法はまず自分で考えなくては 」
「…協調?」
「さっきミナト君とゲームの話をしてましたね?あなたに少しでも周りと関わろうとする気持ちがあったからではないですか?」
「わかりません…ですが少し話したことで嬉しかったのは事実です。協調とは暗殺に必要不可欠なものでしょうか?」
「これを受け取ってください。」
そう言うと殺せんせーは自作のアプリケーションと追加メモリを自律思考固定砲台に与えた。
それは、クラスメイトと協調して射撃した場合の演算ソフトだった。
「どうです?暗殺成功率が格段に上がるのがわかるでしょう?」
「…異論ありません。ですが、協調するための方法がわかりません。」
「そのために私がいるのです。」
そう言いながら殺せんせーは協調に必要なソフト一式と追加メモリを自律思考固定砲台に与えた。
「…何故暗殺対象であるあなたの命を、縮めるような改造をするのですか?」
「当然です暗殺対象である前に先生ですから。君の才能は君を作った保護者のおかげ、そして君の才能を伸ばすのは、生徒を預かる先生の仕事です。皆との協調力も身につけて…どんどん才能を伸ばして下さい。」
「なぁ…今日もいるのかなアイツ。」
「多分…。」
杉野と渚は、自律思考固定砲台の暗殺に不満を抱いていた。
「烏間先生に苦情言おうぜ、アイツと一緒じゃクラスが成り立たないって。」
そう言って杉野が教室のドアを開けると、そこには体積が増えた自律思考固定砲台の姿があった。
「おっはよーん!」
ミナトが元気に教室に入ると、皆自律思考固定砲台の周りに集まっていた。
昨日より明らかに大きくなったモニターがつき、そこには全身表示された自律思考固定砲台がいた。
「おはようございます‼︎みなさん‼︎」
彼女の変わりように誰もが驚きを隠せなかった。
「親近感を出すための全身表示液晶と体・制服のモデリングソフト、全て自作で8万円‼︎」
殺せんせーは、笑顔で自信満々に応えていた。
「今日は素晴らしい天気ですね‼︎
こんな日を皆さんと過ごせて嬉しいです‼︎」
「豊かな表情と明るい会話術、それらを操る膨大なソフトと追加メモリ
同じく12万円‼︎」
その時、数名を除くE組の生徒達は思った、
(転校生がおかしな方向へ進化してきた)
「先生の財布の残高…5円‼︎」
彼女の変わりように、先生の財布の残高など誰も気にしなかった。
「殺せんせー‼︎」
殺せんせーの肩に手が置かれる。
その手はミナトのものだった。
「ありがとう殺せんせー‼︎今度なんか奢らせてくれ‼︎」
(こいつも急に何を言いだす⁉︎)
ミナトの発言にE組の生徒達はより混乱した。
「庭の草木も緑が深くなってますね、春も終わり近づく初夏の香りがします!」
ムード音楽が流れる中自律思考固定砲台はご機嫌だった。
「いやーたった一晩でえらくキュートになっちゃって…」
「岡島、顔がやばいぞ…」
千葉に言われ岡島は慌てふためく。
「何ダマされてんだよおまえら、全部あのタコが作ったプログラムだろ。愛想良くても機械は機械、どーせまた空気読まずに射撃すんだろポンコツ。」
「…昨日までの私はそうでした。ポンコツ…そう言われても返す言葉がありません。」
寺坂にポンコツと言われた自律思考固定砲台は思わず泣き出してしまう。
「あーあ泣かせた。」
「寺坂君が二次元の女の子泣かせちゃった。」
「なんか誤解される言い方やめろ‼︎」
片岡と原が自律思考固定砲台のフォローをし、
「寺坂お前何泣かせてんだよ!」
「なんでお前はマジギレなんだよ‼︎」
ミナトは寺坂の胸ぐらを掴んでいた。
「いいじゃないか2D…Dを一つ失うところから女は始まる。」
「「「竹林それお前の初ゼリフだぞいいのか⁉︎」」」
「いや、これは僕の初ゼリフではないよ。」
作者 「初ゼリフ他のにしちゃってごめんね…」
「なんか聞こえたぞ?」
「あー作者が竹林君の初ゼリフを他のにしちゃったこと、申し訳なく思ってるみたいだよ。」
「へぇー…」
菅谷は不破が何を言っているのかさっぱりだった。
「でも皆さんご安心を、私は協調の大切さを学習しました。皆さんの合意を得られるようになるまで…私単独での暗殺は控えることにいたしました。」
「そういうわけで仲良くしてあげてください。ああもちろん先生は彼女の殺意には一切手をつけてはいません。」
殺せんせーがそう言うと、自律思考固定砲台は笑顔で銃を展開した。
「先生を殺したいなら彼女はきっと心強い仲間になるはずですよ。」