6月15日
2人目の「転校生」を投入決定。
満を持して投入する「本命」である。
事前の細かい打ち合わせは不要。
全て付添人の意向に従うべし。
烏間は特務本部からの通達に目を通し、了解と返した。
雨が降る中、暗殺教室に2人目の転校生が来ようとしていた。
「みなさんおはようございます。烏間先生から転校生が来ると、聞いてますね?」
「あーうん、まぁぶっちゃけ殺し屋だろうね。」
「律さんの時は痛い目を見ましたからね、先生も今回は油断しませんよ。いずれにせよ、皆さんになかまが増えるのは嬉しいことです。」
殺せんせーは、E組に新しい生徒が増えることを喜んでいた。
「そーいや律は何か聞いてないの?」
原が後ろの席の律に問いかけた。
「はい、少しだけ。初期命令では…私と彼は同時投入の予定でした。ですが…その命令は2つの理由でキャンセルされました。」
「へぇーどんな理由?」
ミナトの問いに律は応えた。
「ひとつは彼の調整に時間がかかったから、もうひとつは私が彼より暗殺者として、圧倒的に劣っていたので、各自単独で暗殺を開始することになりました。」
殺せんせーの指を飛ばした律が、力不足と判断されるほどの力を持つ暗殺者。いったいどんな怪物がやって来るのか、E組の生徒達は緊張していた。
突如E組のドアが開き、生徒達は振り返りドアの方に注目した。
そこから入ってきた人物は、白装束に身をまとっていた。
そしてその人物が手を差し出し、なぜか鳩を出した。
「顔がメタナイトみたいだな…」
ミナトの発言に少しずつ緊張が解け始める。
「ごめんごめん驚かせたね、私は転校生ではなく保護者、…まぁ白いしシロとでも呼んでくれ。」
シロと名乗った人物は自己紹介を始める。
その時、殺せんせーは奥の手の液状化を使い、天井の隅に避難していた。
「ビビってんじゃねーよ殺せんせー‼︎」
「いいや…律さんがおっかない話するもので…」
「初めましてシロさん。それで肝心の転校生は?」
「初めまして殺せんせー。色々特殊な子でね、私が直に紹介させてもらおうと思いまして。」
そう言うとシロはE組の生徒達を見渡す。
「みんないい子そうですなぁ、これならあの子も馴染めやすそうだ。おーいイトナ‼︎入っておいで‼︎」
シロが転校生の名を呼ぶと、再び生徒達の視線はドアへ向けられた。
ゴッ‼︎
そしてなぜか転校生はドアからではなく、壁をぶち壊しE組に入ってきた。
「「「ドアから入れ‼︎」」」
E組の生徒誰もがそう心の中で突っ込んだ。
殺せんせーも笑顔でもなく真顔でもなく中途半端な顔になっていた。
「堀部イトナだ。名前で呼んであげて下さい。」
白ずくめの保護者と話が読めない転校生、今まで以上にひと波乱ありそうだと渚が思った時だった。
「あーもう‼︎我慢の限界だ‼︎」
そう言うとミナトはイトナの元へ歩み寄る。
「ちゃんとドアから入れよ‼︎」
「「「直接突っ込んだ⁉︎」」」
心の中では抑えきれずミナトは、直接イトナに突っ込んでいた。
そんなミナトに続いてカルマは、イトナに問いかけた。
「ねぇイトナ君、外から入ってきたじゃん。外どしゃ降りなのにどうして一滴たりとも濡れてないの?」
それからイトナは教室を見渡し席を立ち、カルマの元へ歩み寄る。
「…お前は多分このクラスで一番強い。けど安心しろ、俺より弱いから…俺はお前を殺さない。それから…」
すると今度はミナトの元へやってきた。
「…お前も俺より弱いから、殺さない。」
「なら戦ってみるか?俺がお前より弱いかどうか、はっきりわかるんじゃない?」
ミナトが少しだけ苛立っていることに周りは気付いていた。
「止めておけ、俺とお前じゃ対等に戦うことすらできない。」
そう言うと、イトナは殺せんせーの元へ向かった。
「俺が殺したいのは俺よりも強いかもしれない奴、この教室では殺せんせー、あんただけだ。」
「ヌルフフフ、力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ。」
殺せんせーは、シロが持ってきたようかんのおくりものを食べながら応えた。
「立てるさ。だって俺たち血を分けた兄弟なんだから。」
「「「兄弟ィ⁉︎」」」
イトナの言葉に誰もが驚きを隠せず、E組の生徒全員が叫んだ。
「兄弟っていうと、悟空とラデイッツ、フリーザとクウラ、悟飯と悟天あとは…あとは…。」
「何で全部ドラゴンボール何だよ⁉︎」
ミナトの発言に寺坂が突っ込んだ。
それからイトナは、放課後教室で勝負すると宣言し、保護者のシロと共に教室を後にした。
昼休み、E組の生徒達は兄弟と言ったイトナと殺せんせーの行動を、比較していた。
甘党なところ、表情が読みづらいところ、巨乳好きなところまで同じだった。
「俄然信憑性が増してきたぞ、巨乳好きは皆兄弟だ‼︎」
「岡島、お前も兄弟だったか…」
岡島の発言に呆れながらも対応するミナトは考えていた。
(堀部イトナ、律よりも強い暗殺者か……いったいどんな暗殺を見せてくれんのかな。)
そして時間が過ぎ
放課後を迎え、机に囲まれたリングの中、イトナと殺せんせーは勝負の準備をしていた。
そんな中シロは殺せんせーに提案した。
「ただの暗殺は飽きてるでしょ殺せんせー、ひとつルールを決めないかい?リングの外に足がついたら死刑、どうかな?」
「…いいでしょう。ですがイトナ君、観客に危害を与えた場合も負けですよ?」
殺せんせーの発言にイトナは無言で頷いた。
「では合図で始めようか。」
シロの手が上がると同時に生徒達の緊張も高まっていく。
「暗殺……開始‼︎」
シロの合図と同時に、殺せんせーの触手が切り落とされる。
だが、生徒達の目は切り落とされた触手ではなく、他の一か所に釘付けになっていた。
「…まさか…触手⁉︎」
堀部イトナ、彼は殺せんせーと同じ触手を使う転校生暗殺者だった。