津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:お薬二錠

46 / 171
球技大会の時間 男子 2時間目

浅野學峯はグラウンドに上がる進藤を呼び止めた。

 

「いいかい進藤君?繰り返すがこれは野球ではない、一方的な制圧作業だよ。」

「はい!」

浅野學峯は生徒の顔や能力をよく覚えていて、教えるのもやる気を引き出すのも抜群に上手い。

烏間は彼と殺せんせーの采配対決に興味が湧いていた。

 

1回裏 野球部の攻撃だが、杉野が習得した変化球により、2者連続三振を奪った。

その間にも、浅野學峯はベンチで進藤をかいがいしく改造していた。

 

「カルマ君」

カルマが視線を下にずらすと、殺監督が地面から顔を出していた。

「次の打順は君からです、挑発で揺さぶってみましょうか。」

 

そして二回の表 野球部はE組のバントを警戒し、鉄壁のバントシフトをとっていた。

 

「ねーえ、これズルくない理事長センセー?」

カルマは打席に入る前、殺監督の指示通り挑発を始めた。

「こんだけジャマな位置で守ってんのにさ、みんなおかしいと思わないの?あーお前らバカだから守備位置とか理解してないか。」

 

カルマの挑発は周りの観客を苛立たせ、大ブーイングが起こった。

 

(…ダメみたいよカントク)

(いいんですそれで、口に出してはっきり抗議することがだいじなんです)

その後E組はなす術なく3アウトになってしまった。

 

そして、2回の裏

理事長によって改造された進藤が火を吹き、集中打を食らってしまい、得点は3対2 E組はいよいよ追い詰められてしまった。

 

(殺せんせー ありがとう 小細工で勝とうとする弱者達と、それを捻じ伏せる圧倒的強者 生徒達はどちら側になりたいと思うだろうね。)

 

三回表 改造された進藤により2アウトとなす術がなかった。

 

「やばいな、理事長の改造であそこまで強くなるとは。」

 

「ほんとになー」

 

「点差は1点しかないし、次守れないと負けちまう…」

 

「大変だなー」

 

前原と磯貝の言葉に、ミナトは適当に応えた。

「…ミナトふて腐れるなって」

「いいんだよ、パワプロくんやってるから。」

 

杉野の言葉にもミナトはゲームをしながら応えた。

「完璧ふて腐れてるね津芽君…」

呆れつつも言う渚に、カルマは応える。

「でも、そろそろ秘密兵器の出番じゃね?」

「なんで?」

そう言って殺監督の方を見るとサインを出していた。

1赤 2赤 3赤 4緑

 

「赤、赤、赤、緑?あんなサインあったかな?」

渚がサインを書いたメモを見ている横で、ミナトはゲームを置きバットを片手にグラウンドへ出た。

 

試合が始まる少し前のこと…

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺監督、俺今日出番なし?」

ミナトの言葉には元気がなかった。

「どうしてそう思うのですか?」

「だって、ノーコンじゃ守備できないも同然じゃん…」

俯くミナトの頭に殺せんせーは触手を置き応える。

「君は今回秘密兵器です。その時になったらサインを出します。頼みましたよ?ミナト君 ヌルフフフ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『おーっとここで代打 津芽君の登場です!』

 

 

「フン、落第生が叩きのめしてやる」

進藤は理事長に言われた通り、体を大きく使い4シームのストレートを投げた。

(E組に彼の玉を外野まで運べるのは杉野君以外いない…)

理事長もそう思っていた時…

 

「な、なんだあの構えはー!」

全員が打席に立つミナトの構えに驚愕していた。

ミナトは居合の構えを取っていた。

理事長がまずいと思ったがすでに遅く、進藤は球を投げていた。

 

(速度140Kmか… じいちゃんとの特訓と比べたら…)

 

 

 

 

「遅い!」

ミナトは勢いよくバットを刀のように振りきり、打球はセンターとレフトの間まで飛んでいった。

 

『ス、スリーベースヒット!てか、なんだあの構え⁈』

 

(ヌルフフフ、彼の実力ならこれくらい当たり前です。)

 

「おっしゃ!」

三塁でガッツポーズをするミナトの姿に、E組の士気も高まった。

「今までパワプロくんやってたやつに、あんなとこ見せられたらなー」

 

「あぁ、俺らも黙ってられないよな?」

 

「「「おう!」」」

殺せんせーの計画通り、ミナトの一撃はこれからの攻撃、守備にも勢いをつけるものとなった。

 

3回表、E組の加点はなかったものの、彼らはまだ試合を諦めてはいなかった。

 

だが、3回ウラ 野球部の攻撃

彼らは理事長の指示通りバントをやり返してきた。E組の守備がザル以下ということも見抜かれており、あっという間にノーアウト満塁のピンチを迎えた。

 

そして次の攻撃は、理事長が改造に改造を加えた異常気迫を放つ進藤だった。

 

さすがにまずいと全員が思った時だった。

カルマの足元に、再び殺監督が現れる。

「カルマ君、さっきの挑発が活きる時が来ましたよ。」

殺監督から指示を受けると、カルマはミナトに指示を伝える。

 

「津芽〜殺監督指令だよー。」

「……りょーかいっと。」

そのままミナトとカルマは歩き続け、進藤の目の前まで近づいた。

「さっきそっちがやった時、審判何も言わなかったし、文句無いよね理事長?」

先ほど野球部がしてきた前進守備と同じぐらいの近さにたつカルマは挑発気味に言った。

明らかにバットが振れば当たる距離、しかし理事長は動じない。

 

「ご自由に、選ばれたものはそんなことで心を乱さない。」

 

「それじゃ御遠慮なく。」

ミナトがそう言うと、2人は進藤の目の前まで近づいた。

さすがにこれは、理事長によって集中力を高めた進藤でも呆気を取られた。

 

「くだらない、構わず降りなさい進藤君。例え骨を砕かれても彼らは文句は言えない。」

 

(そうだ…大きく振ればビビって退くに決まってる!)

 

そう自分に言い聞かせ、進藤は大きくバットを振る。

 

しかし、ミナトとカルマはほとんど動かずにかわしていた。

 

(2人の度胸と動体視力はE組の中でもトップクラス バットを交わすだけなら何てことありません。)

2人の様子を殺監督は駄菓子を食べながら見ていた。

 

「…ダメだよそんな遅いスイングじゃ。次は殺すつもりで振ってごらん?」

「そうだな…ちゃんと相手を殺すイメージを持たなきゃ殺りきれないだろ?」

 

腰の引けた進藤は次の杉野が投げた球をよろめきながらも打つ。

だが、その打球はカルマが取り、キャッチャーである渚の元へ投げる。そして、三塁の木村、一塁の菅谷のもとへ渡った。

 

トリプルプレー

E組は野球部との試合に勝利した。

 

(中間テストと合わせると一勝一敗ってとこですねぇ 次は期末でケリをつけましょう)

 

静かに立ち去る浅野學峯を見送りつつ、殺監督は心の中でつぶやいた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。