津芽湊の暗殺教室 『更新停止中』   作:お薬二錠

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笑顔の時間 津芽湊

渚達は鷹岡が話したミナトの過去に戸惑っていた。

 

「あいつ、母親と妹を殺されてるなんて一度も言わなかったのに…」

 

岡島が悲しそうな顔で話す中、渚は殺せんせーが言っていた事を思い出していた。

 

(クラス、家庭で1人になってしまった彼は…)

 

(あの時は何のことかわからなかったけど今やっとあの言葉の意味が分かった)

 

彼がどんな過去を背負っているのか考えつつ、渚は鷹岡と対峙するミナトに目をやっていた。

 

 

 

 

ミナトは鷹岡めがけ走り出し、後ろに回り込みそのまま蹴りつけた。だが、鷹岡は2、3歩よろめくだけで全く効いていない様子だった。

 

(まぁ、烏間先生の同期だけあって、そんな簡単じゃないか…)

 

「どうした?その程度じゃ父ちゃんは倒せないぞ?」

 

「うるさい…」

 

ミナトは再び鷹岡の顔をめがけ蹴りつける。だが、鷹岡はミナトの足を掴み防さいでいた。

 

「捕まえたぞ、津芽ぁ」

 

「津芽危ない!」

 

磯貝の叫ぶ声にもかかわらず、ミナトは冷静に対処する。

体をのけぞり勢いをつけ、もう片方の足で蹴りつけた。さすがの鷹岡も予想外の攻撃に対処できなかった。

 

「あいつあんな動きできたっけ…」

 

「最初の烏間先生との訓練の時よりも速くなってる…」

 

千葉と速水はミナトの動きに驚いていたが、それは他の生徒達も同じだった。

 

「どうした?その程度か?」

 

津芽は挑発混じりの言葉を鷹岡に投げかける。鷹岡は口から垂れた血を拭い、狂気混じりの笑顔を見せる。

 

「なかなかいい動きだ津芽…今度は父ちゃんも…本気で行くぞ!」

 

そう言いつつ鷹岡はミナトめがけて猛スピードでタックルしてきた。だが、鷹岡はミナトの目の前であえてスピードを落とす。突然の変化にミナトは避けることができず鷹岡の攻撃を食らってしまう。

 

「クソが…」

 

勢いをつけたままでは、ミナトとの距離が開いてしまう。鷹岡は次の連撃に繋げるためあえてスピードを落としていた。吹っ飛ばされると同時にミナトが見たのは、鷹岡の笑顔。ミナトはやばいと判断し、上半身を腕でガードするが、鷹岡は的確に空いていた腹に向かって膝蹴りを食らわせる。強烈な一撃に嗚咽を吐き、ミナトの腕も下がっていた。鷹岡は容赦なく顔面めがけ拳を振るった。

 

(こいつ…今まで戦った誰よりも強い…俺よりも強い…)

 

 

「これ以上続けるのは危険だ…」

 

「ミナトの奴死んじまうよ…」

 

竹林と岡島の言うことに誰もが共感していた。

 

「やめろ!鷹岡。これ以上手荒な真似はよせ!」

 

止めに入ってきた烏間に鷹岡は構えを解きつつ応えた。

 

「これも立派な教育だぜ烏間?」

 

鷹岡の言葉を聞き終えると、烏間は神崎、前原に問いかけた。

 

「大丈夫か?首の筋に痛みはないか?」

 

「烏…間先生…大丈夫です」

 

「前原君は?」

 

「へ…へーきっス」

 

「後は津芽君だが…」

 

烏間が心配し津芽の方に目をやると、数人の生徒が彼の周りに集まっていた。そんな中ミナトはふらつきながらも立ち上がった。

 

「大丈夫か?津芽く……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

強敵と対峙した時、人は敵わないと察し絶望し全身が震え上がり戦意が喪失した表情を見せる。鷹岡とミナトの戦いを見ていた烏間は、ミナトも同じだと思っていた。だからこそ、起き上がった彼の表情を見て驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑顔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトは立ち上がり血を拭いながら笑顔を見せていた。

 

立ち上がるミナト相手に鷹岡は再び構えるが、烏間はそれを止めた。

 

「いい加減にしろ鷹岡!津芽君も大丈夫か?」

 

「あー、大丈夫ですよこのくらい」

 

「本気で君も怪我をするかもしれない、津芽君やめるんだ」

 

ミナトはしばらく立ち止まり残念そうにわかりましたと応えると、再び倒れてしまった。

 

「津芽!」

 

そばにいた速水は急いでミナトを支える。

 

「足に力入んなくて…心配ないから大丈夫だよw」

 

烏間は鷹岡のやり方と、ミナトの先ほど見せた笑顔に疑問を抱いていた。

(…あいつのように家族の如く接するやり方が正しいのか、俺が奴を間違ってると言えるのだろうか…

そして津芽君の笑顔、俺はあのままでは彼が大怪我を負うと思い止めたが、もしかしたら大怪我を負うのは彼の方ではなかったかもしれない…)

 

「烏間、ここは暴力ではなく教師としてやってみないか?お前らもまだ俺を認めてないだろうし、父ちゃんもこのままじゃ不本意だ。だからこいつで決めようじゃないか。」

 

そう言って鷹岡は対せんせー用ナイフを取り出す。

 

「烏間、お前が育てたイチオシの生徒を1人選べ。そいつが俺と闘い一度でもナイフを当てられたら…その時はお前に訓練を全部任せて出てってやる!」

 

生徒達の表情が明るくなるなか、鷹岡は対せんせー用ナイフを捨て、本物のナイフを取り出した。

 

「殺す相手は人間なんだ、使うナイフも本物じゃなくちゃなァ」

 

「よせ‼︎彼等は人間を殺す訓練も用意もしていない!」

 

「安心しな、寸止めでも当たった事にしてやるよ。俺は素手だし、これ以上無いハンデだろ。」

 

鷹岡は同じような方法を軍隊の時にも使っていた。

初めてナイフを持ちビビり上がる新兵を…素手で完膚なきまで叩きのめす。その場にいる全員が格の違いを思い知り、俺に心服するようになる。

 

「さぁ烏間‼︎1人選べよ‼︎生徒を見捨てるか生贄として差し出すか‼︎どっちみち酷い教師だなお前は‼︎」

 

 

 

 

(俺は…まだ迷っている。奴のような容赦のない教育こそ暗殺者を育てるため必要ではないのか?…この教師についてから迷いだらけだ。鷹岡は精鋭部隊に属した男、彼等の刃が届くはずがない。だが俺はわずかに可能性がある生徒を…危険にさらしていいものかも迷っている。)

 

烏間が鷹岡からナイフを受け取り生徒達を眺めている時、速水はミナトに声をかけた。

 

「…ダメだから」

 

「ん?」

 

「津芽はもう…戦っちゃダメ…だからね…」

 

速水の言葉を聞くと同時に、支えてくれる彼女の手が震えていることにミナトは気付いた。

 

 

 

烏間はある生徒の前で立ち止まる。

「渚君、やる気はあるか?」

烏間が渚を選んだことに、渚自身も他の生徒達も驚いていた。

 

「返事の前に俺の考え方を聞いてほしい。地球を救う暗殺任務を依頼した側として…俺は、君達とはプロ同士だと思っている。プロとして君達に払うべき最低限の報酬は…当たり前の中学生活を保障する事だと思っている。だからこのナイフは無理に受け取る必要はない、その時は俺が高岡に頼んで…報酬を維持してもらうよう努力する。」

 

(僕はこの人の目が好きだ。立場上僕等に隠し事もあるだろう、なんで僕を選んだのかもわからない。けど信頼できる、この先生が渡す刃なら。それに神崎さんと前原君、津芽君のことせめて一発返さなきゃ気が済まない。)

 

 

「やります。」

渚は烏間からナイフを受け取り。

仁王立ちする鷹岡の前に出た。

 

 

 




鮫島の彼女を決めるアンケートはまだまだ続けます!
ある程度集まり次第締め切りの日を決めたいと思います。
詳しくは茶番をご覧くださいヾ(。・ω・。) 

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