南の島での暗殺旅行が1週間後に迫り、今日はその訓練と計画の詰めに集まった。
勝負の8月 殺せんせーの暗殺期限まで残り7ヶ月‼︎
「それにしても特別講師にビッチ先生の師匠が来るとはな」
「ああ、ビッチ先生もあの師匠には頭上がらないみたいだったし。」
三村、菅谷の言う通り今回の訓練には特別講師としてロヴロを招いていた。
「でも、あっちもすごいよな…」
そう言う木村の視線の先では、ミナトと井武鬼が刀の訓練をしていた。
「どうした⁉︎そんな動きじゃマッハ20なんて斬れんぞ⁉︎」
「うっさい!気が散る!」
そう言いながら訓練用の刀を強く振るったミナトの攻撃はいともたやすく井武鬼に受け止められていた。
「あの爺さんそんな強いのかよ?」
疑問に抱く寺坂に烏間が応える。
「あの人は剣道で日本一を取った後、世界各国に渡りその国の剣術を学んできた人だ。俺もあの人に剣術を教わったことがあるが…あの人の強さは異常だ…」
「今は、ただの刀作りが趣味のじじいだがの」
そう言って烏間の横に立つ井武鬼の姿に寺坂達は驚いていた。
「爺さんさっき津芽と訓練してたんじゃ…」
「訓練は一旦中止じゃ、まぁあんなことがあって影響が出ないわけではないからの…」
井武鬼がそう言うと寺坂達はミナトの方を見た。
その姿は何かにイラついてるように見えた。そしてその理由もわかっている。
昨夜、E組の全生徒が行っている無料連絡アプリ、そのクラス内でのグループにミナトから通知があった。
湊「副会長に今日会ってどんな関係なのか聞いたよ」
湊「あいつ、俺の親父の養子らしい…」
湊「死んだ妹とは別人ってこともわかったし、これで一件落着だ!」
湊「それじゃみんな明日の訓練がんばろーぜーv(`ゝω・´)」
文面ではいつも通り元気なミナトであったが、ミヤコが父の養子と名乗ったこと、そして何よりも母の葬式よりも自分の仕事を優先した父の勝手な行動にミナトは少しイラついていた。
「まったく裕翔の奴も余計なことをしてくれる…湊!少し休憩したらまた始めるぞ!」
そう言って井武鬼は再び湊の方に向かった。
「烏間先生、ミナトの父親ってどんな人なんですか?」
「俺も詳しくは分からないが、どこかの研究機関で働いていると聞いたことがある」
烏間は磯貝の問いに応えつつ、ミナトに目を向けていた。
(彼の戦闘技術の向上は暗殺に繋がる。だからこそ井武鬼さんに訓練をお願いした……今回の件で彼に支障が無ければいいが…)
それからミナトの訓練の後、E組が考えた暗殺計画の立案書にロヴロと井武鬼は目を通していた。
「先に約束の7本の触手を破壊し、間髪入れずクラス全員で奴を仕留める…それは分かるがこの1番最初の精神攻撃というのは何だ?」
ロヴロの問いに渚は銃を構えつつ応えた。
「まずは動揺させて動きを落とすんです。殺せんせー、殺気の無い攻撃には脆いから」
ロヴロは未だに精神攻撃の恐ろしさを理解できずにいたが、そんなロヴロに前原が応えた。
「この前殺せんせーエロ本拾い読みしてたんすよ。あの速いことが自慢の殺せんせーが微動だにせず…他にもゆするネタはあるんでクラス全員でいびってやるぜ‼︎」
そう言う前原の後ろでは寺坂グループが悪どい笑みを見せ、ロヴロは精神攻撃の残酷さと恐ろしさを認めた。
「だが、肝心なのはとどめを刺す最後の射撃、そこを決められなければ意味は無いが…」
「その点は心配無いぞ、井武鬼」
「そのようじゃな、まったく湊もあれぐらい射撃が出来れば文句は無いんじゃが…」
そう言うロヴロと井武鬼の視線の先には、千葉と速水の姿があった。
「千葉龍之介は空間計算に長けた遠距離射撃のスナイパー、速水凛香は手先の正確さと動体視力のバランスが良く動く標的を仕留めることに優れている」
烏間は2人の射撃を見ながらそう言った。
「ふーむ、俺の教え子に欲しい位だ」
「ロヴロ、彼らの本職はあくまで中学生じゃぞ?」
「分かっているとも、暗殺者として彼らの暗殺の技術、そしてこの作戦に合格点を与えよう」
「ああ、彼等なら充分に殺れる可能性がある」
ロヴロと井武鬼は生徒達に期待の眼差しを向けていた。
(それにしても…あの速水といったか?少しずつだが弾痕が中心からズレてきとる…)
「おい爺さん!俺らにも訓練してくれよ!」
そう言ってきたのは寺坂達だった。
井武鬼は速水から視線を移し、挑んできた寺坂達に言い放つ。
「いいぞ、4人がかりでこい!」
「舐めんなよ?行くぜお前ら‼︎」
寺坂の声に村松、吉田、狭間が賛同し先生用ナイフを伊武鬼に向けた。
だがその時…
「キャハキャハ その構えじゃダメだろー」
寺坂達の目の前に現れた男はキャハキャハと笑っていた。
「こいつ今どこから出てきた…?」
吉田の言う通りそいつは突然現れた。
烏間は生徒達に急いで離れるように命じる。
「安心しろよ先生、用があるのはこの爺さんだけだ。」
そう言うと男は伊武鬼に日本刀を向けた。
「もらいに来たぜー?王刀・鋸」
[王刀・鋸]
聞いたことも無い言葉に生徒達は疑問を抱いた。そんな中、井武鬼は目の前の男に問いかけた。
「あんたいったい何者だ?」
「何者でもいいだろー?俺はその刀が欲しいんだよ!」
「刀って井武鬼さんが持ってるのはただの木刀じゃ…」
茅野の問いに男は再びキャハキャハと笑って応える。
「お前ら知らねーみたいだな!こいつが持ってるのは伝説の刀鍛冶、津芽正亞記(つがまさあき)が作った12本の完成形変体刀の1本なんだよ!」
意味の分からない言葉を並べられ、生徒達の疑問は膨らむ一方だった。
だがその疑問も次の瞬間、無くなっていた。
「津芽井武鬼だっけ?あんたのうちに完成形変体刀がもう一本あるのも調査済みだ。今頃仲間が刀を手に入れてるかもな‼︎」
彼の言葉を機に、その場に冷たくそして鋭い殺気が広がっているのを生徒達は感じ取った。
「今の時間婆さんしかいないことも知ってるんだぜ⁈今頃殺されてるかもしれないなーキャハキャハ」
その殺気はますます冷たく鋭くなっていく。そして殺気を放つ者は口を開いた。
「安心しろ、お前もお前の仲間も刀を手にすることは無い。そして気付いた時には……」
八つ裂きになっているだけじゃ…
井武鬼の言葉に生徒達は威圧され、それと同時に烏間とミナトは相手の心配をしていた。
(あいつ、無事には帰れないだろうな…)
井武鬼の持つ王刀・鋸を狙ってきた男
だが彼は気付いていなかった、怒らせてはいけない相手を怒らせてしまったことに…
次回!津芽湊の暗殺の教室
刀の時間 王刀・鋸 お楽しみに‼︎
ちぇりお‼︎