不老不死の彼女   作:くぅ

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試作第一号。

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第一話

第一話

 

 世界は不老不死を造り上げた。

 その事がテレビ、ラジオなどに流されると同時に人は歓喜した。これで自分も不老不死になれると、そう思って。

 

 しかし同時に歓喜しない者もいた。それは不老不死を()()()()()過程を知ってる者であったり、造り上げた者たち自身であったり、またその言葉の真実に僅かながらも近付いた者であったり。様々だった。

 

 政府上層部は直ぐ様開発した者を見付け、拘束し、不老不死を我が物にしようと動き出す。通常だったら気付く真実も、死に近付き、意地汚く泥水を吸いながらでも生き延びた()()どもは、気付くことなく本能の思う通りに動いた。

 

 そして、世界は崩壊した。

 

 切っ掛けは何だったのか、今となっては誰も分からない。ただ分かることがあるとすれば、世界を壊したのは漆黒のISだったというだけだった。

 

 

 とある砂浜、そこに女性が二人話しながら歩いていた。片方は黒い髪を腰まで伸ばし、切れ長の目を持った世界最強。ブリュンヒルデこと織斑千冬。もう片方はウサ耳をつけ、髪を腰まで伸ばした天災こと篠ノ之束。

 その二人が談笑をしながら歩いていた。

 

「束、本当にここであってるんだろうな?」

 

「ふふふ♪ 大丈夫だよちーちゃん! この私が保証するんだから間違いないって!」

 

 千冬がいぶかしむようにそう問うと、束は自身ありげに両手を広げながらいった。実際、事実なのだろう。天災の束が断言するということは、そこに『嘘』以外の不確定要素はない。それ故に、天災なのだから。

 

 千冬と束が探しているのは、とある事象が起こった原因。時空を越えるなどという荒唐無稽なことをした張本人を、だ。だが、それぞれ探している理由は違う。千冬はその者の危険性を考慮し、家族に、弟の一夏に魔の手が行かないようにするため。一方の束は、ただの好奇心から動いていた。天災と言えど、未だに()()()()()ことは出来ない。だからこそ、自分が出来なかったことをした物に興味があったのだ。

 

「そうか。それにしても、よくそんなものが計測できたな?」

 

「んっとね、時空の歪みが計測できた理由はね、元々私が時空を越えることが出来るか調べてたからなのさ。

 結局出来なかったけどねぇ~。それでも、計測することはできたんだよ!」

 

「ふっ、流石は束だな」

 

「それほどでもあるよ!」

 

 談笑しながら歩く二人。その姿になんら気負いはなかった。これから未知の者に遭遇するのに、だ。流石は天災と世界最強(ブリュンヒルデ)と言って良いだろう。

 だが彼女達は知らない、これから出会うものが単なる未知のものではないことを、下手をすれば世界を終わらせてしまうものだということを。

 

 

 ポツポツと雨が降り始める。まるでなにか悪いことが起きるような、そんなことを考えてしまうほどどんよりとした雲が空を覆っていた。一夏はそれを見て深い溜め息を吐く。空模様と同じように一夏の心はどんよりとしていた。

 インフィニット・ストラトス。通称「IS」。本来女性しか乗れないソレを動かしてしまったのが運の尽きだった。家に帰ってもマスコミやカメラマンにジャーナリスト、果ては好奇心旺盛な学生その他etcに囲まれる日々。通常の神経を持っている一夏には到底耐えられるものではなかった。更に言うと、これから女の園、女性しかいないIS学園に男一人で入らなくてはいけないのだ。気が滅入るのも致し方ない。

 

 しょうがない、と一言呟いて立ち上がる。うだうだと考えていても仕方がない。なってしまったものはしょうがないと自分に言い聞かせ台所に向かう。勿論料理を作るためだ。本当ならこの時間は姉の千冬も居る筈なのだが、どうやら用事が入ってしまったようで家には一夏しかいなかった。

 台所に行くついでにもう一度外を見る。空は先程以上にどんよりと、分厚い雲が覆っていた。

 

 

「とうちゃ~くっ! ここが、ううんこの場所()()が時空の歪みが発生した場所だよ!」

 

 目的地に到着すると同時に、束は両腕を広げてその場でくるくると回りだし、身体全身でここが目的地ですと表した。()()()の中歩き続けたというのに、それさえも些細なこととはしゃぎ回っている。楽しみなのだ、これから出てくるであろう物が。

 一方の千冬は、鋭い目を更に細くし、さっと周りを見渡す。左手側には青々とした海が、右手側には鬱蒼とした森林がある以外で何もない。気配を探ってみるも動物などのものしか感じられず、杞憂だったかと思い警戒を納める。驕りというわけではないが、自分の警戒を抜けて居続けられるものなど目の前に居る束以外はいないのだから。そして必要最低限の注意以外をするのをやめ、束に「もう戻ろう」と。そう言いかけた時だった。

 

 ゾクリとした嫌な感覚が背中をつたい、長年蓄積された経験と勘でその場から一跳びで離れる。束も同じものを感じたのか、ほぼ同時に同じ方向へ跳んだ。

 直後、砂浜が爆発する。いや、爆発と同じくらいの威力を持ったナニかが砂浜の上に打ち付けられたのだ。

 衝撃の所為で砂煙が舞い、相手の姿は見えないがこちらに向けられている殺意と憎悪の気配だけでそこに誰かが居るというのがわかった。その、殺意と憎悪の密度に束と千冬は一歩だけ後退りをする。した後に、自分達が後退りしたことに気が付き驚愕した。千冬は勿論のこと束も大抵のことでは動揺も、恐怖さえもしない人種だ。だというのに、相手は無意識に自分達の足を一歩下げさせた。ソレだけで、相手はただ者じゃないと言う認識が出来上がる。そして千冬は素手で構え束は何処からともなく出した片手用の銃を持つ。これが今時分に出来る最大限の攻撃体制だった。

 

 相手も、そして自分達も動かない不思議な時間が生まれた。否、動かないのではなく正確には動けないのだ。砂煙で視界は遮断され、両者とも相手の姿が見えない状況。そんな状況で下手に動けばすぐやられてしまうのだから。

 一分か十分か一時間か。体感では数十時間もの長く感じられた。

 やがて、砂煙が晴れ始め、両者の姿が認識出来るようになる。相手は構えもとらず、生身で、直立不動のままそこに立っていた。

 顔はバイザーに隠れて見えないが、隠しきれていない髪の長さ、身体付きや身長でまだ中学生辺りの少女だろうと判断するが、その程度で二人が気を緩めることはなかった。何せ、砂煙が晴れたと同時に、少女の殺意も憎悪も一段と膨れ上がったのだから。

 暫くの間、千冬達と少女は見つめ合う。勿論、そこにロマンチックなものなど欠片もなくあるのは互いへの敵対心と、殺気だけ。

 

「……生きて、たのか……」

 

 ポツリと少女が呟く。

 

「なら、殺さなくッちゃなァッ!!」

 

 一瞬、たったの一瞬で距離を縮められる。その速度が生身では出せない筈の速度だったからだろうか、束、そして千冬も一瞬だけ反応することが出来なかった。そしてその一瞬が仇となる。

 最初に狙われたのは束だった。少女がスピードと腕力を最大限に使いながら束の心臓部分に掌底をぶつける。回避も防御もすることが出来なかった束は成す術なく吹き飛ばされ、約六メートル程離れた場所に背中から落ちた。束! と咄嗟に叫んで安否を確認しようとするが、返事はなく遠目で見ても口から血が出ていると言うことは、かなりの重症だろう。そして、それを成した少女に戦慄する。天災が、千冬と同じかそれ以上の身体能力と反射神経を持っている筈の束が成す術もなく倒された。つまり、千冬の全力でもっても勝てるか如何か、いや勝てる確率すら低いということだ。

 

 掌底を放ったそのままの体制から少女は次の行動に移る。その場でしゃがみ千冬目掛けて足払いをかける。その速さも強さも尋常ではなく、足払いのみで砂浜が抉れた。流石にソレには反応した千冬は、真上に逃げるのは愚策と判断し少女の足が当たらない程度にまで一足で下がり、身長や足の長さを利用して少女の顎を蹴りあげる。

 足払いをかけた直後のために反応出来なかったソレは、顎に直撃し身体を浮かせる。そして追撃とばかりに千冬は身体を半回転させ、回し蹴りを丁度鳩尾の辺りに当てる。束と同じかそれ以上に吹き飛んだ少女はそのまま海に落ちた。あれだけすれば大丈夫だろうと思いながらも油断せずに少女が落ちた海の方を警戒しながら見つめる。

 

 数秒後海から浮かんできた少女は身体全身を脱力させ、どうやら気絶しているようだった。演技という可能性も一瞬考えたが、殺気と憎悪の気配が感じなかったことより、安心から深い溜め息をついた。

 

 取り敢えずは束の安否を確認しよう。誰にともなくそう呟いて千冬は束の方に小走りで向かっていった。




こんなかんじ。
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