日常の光景
「オーグマーか……」
そう言いながら明久が持っているのは、小型のヘッドセットのような機械
そのオーグマーが、あるAR専用ゲームと共にSAO帰還者に無償配布された
そのゲームの名前は、《オーディナル・スケール》
専用コントローラーを使い、バトルするゲームである
つまりは、実際に体を動かして遊ぶゲームである
だからか、最近では若年層を中心に流行っている
だが明久としては、遊ぶ気にはなれなかった
別に、明久の運動能力が悪いという訳ではない
ただ、気乗りしないのだ
なおそのオーグマーだが、様々なベンチャー企業と提携していて、ゲームで得たポイントで様々な特典が得られるようになっている
それを狙い、プレイしているのも多いだろう
その証拠に、今一緒に居るメンバーの内の何人かがオーグマーでゲームをしている
すると、クリアしたらしくガッツポーズをした
「よっしゃ、ケーキゲット!」
「私はプリンです!」
理佳の後に、綾子が嬉しそうに言った
どうやら、今居るレストランのデザートをゲットしたようだ
すると、ウェイトレスが近寄り
「お待たせしました。獲得されましたデザートです」
と女子達の前に、ケーキやプリンを置いて去っていった
すると、和人が
「……お前ら、ゲームやり過ぎじゃないのか?」
と呟くように指摘した
それを聞いた理佳が、驚いた表情で
「まさか、あんたにそんな指摘されるなんてねぇ」
と言いながら、ケーキを食べた
すると、和人が再び
「そういやぁ、オーグマーはカロリーの計算もやるそうだぞ……」
と言った
すると、理佳の視界に
《カロリーオーバーです。運動しましょう》
と表示された
それから数分後、理佳は少し早足でショッピングモールを歩いていた
カロリーを少しでも消費するためだろう
「理佳さーん!」
「早いですよー!」
そんな理佳を、桂子と綾子の二人が追い掛けている
その少し後ろを、和人、明日奈、明久と途中で合流した木綿季が歩いている
「やれやれ……」
「まあまあ、キリト君」
「まあ、理佳さんだって年頃なんだって」
「言い方が、まるでお年寄りだよ」
和人は呆れた様子で呟き、明日奈は苦笑いを浮かべている
そして、明久の言葉を聞いて、木綿季が突っ込みを入れた
すると、ある程度妥協したのか、理佳が少し行った所のベンチに座っていた
その隣には、綾子が座っている
そして気付けば、桂子が歌っていた
桂子が歌っているのは、ARアイドル
ユナの歌だった
いわゆるバーチャルアイドルなのだが、機械らしさは一切感じない透明感のある歌声が特徴のアイドルだった
桂子は、そんなユナのファンだった
どうやら、理佳が歌わせたらしい
歌い終わると、恥ずかしさに襲われたらしい桂子が理佳をポカポカと叩き始めた
それを見た和人は
「本当に、なにやってるんだか……」
と呟いた
すると、明日奈が
「キリト君。ユイちゃんが呼んでるよ」
と和人の肩を叩いた
それを聞いた和人は、オーグマーを装着して
「どうした、ユイ?」
と愛娘の名前を呼んだ
すると、和人の視界に最早見慣れた妖精姿のユイが現れて
『皆さん、凄い楽しそうです!』
と言った
それを聞いた和人は、微笑んで
「もう少し待ってくれな、プローブの改良が終わるからな」
とユイに言った
それを聞いたユイは、嬉しそうに
『はいです!』
と返事をした
そんなユイに、明日奈と明久が
「良かったね、ユイちゃん」
「和人に期待だ」
と言った
だが、この時は誰にも予想出来なかった
まさか、SAO事件に匹敵する事件に巻き込まれるなんて……