「つまり、その子もSAO帰還者なんだ……」
「うん。アバターネームは、レイン。本名は……」
「
と明久達は、メイド喫茶の端で目立たないように会話していた
とはいえ、レインこと虹架がメイド服のままなので目立っているのだが
そして虹架は、かつての鋼鉄浮遊城に囚われていた一万人の内の一人だった
「それで、どうやって出会ったの?」
「まあ、依頼だね。ストーカー捕縛の」
「あの時は、本当にお世話になりました……」
琴音からの問い掛けに、明久と虹架はそう言った
彼女は中層を中心に活動していて、なんと鍛冶師のスキルも保有していた
女性比率が少なかったSAOに於いて、一部の女性はアイドルのような扱いを受けていた
ドラゴンテイマーのシリカ
閃光のアスナ
トレジャーハンターのフィリア
そして、レインもその一人だった
彼女の場合は、その容姿と歌唱力から有名になっていた
そしてそんなことをやっていれば、勘違いする輩は現れる
レインにも、その
最初は、無視していた
だが、徐々にエスカレートした
ある日、自室の一ヶ所に見覚えの無い結晶アイテムが置かれていた
それは、録音結晶
それには、知らない男の声が録音されていた
それを聞いたレインは、気味悪がり数日ごとに家を転々とした
しかし男は諦めずに追い掛けてきた
それにより、レインは精神的に追い詰められていった
そんなある日、何でも屋ギルド
黄昏の風を知った
黄昏の風を知ったレインは、すがる思いで依頼を出した
それが、ヨシアキとの出会いだった
「それは……災難だったね……」
「あははは……実は、一回自殺も考えました……」
虹架の力無い言葉を聞いて、琴音は思わず虹架の両手を握った
「うん……最初に会った時、相当追い詰められてるって思ったね。目が死んでたよ」
その時のことを思い出した明久は、そう言いながら腕組みしていた
「でまあ、僕が常にレインの傍に居て、まるで恋人みたいに振る舞ったんだよね。それで、ストーカーを誘き出したんだ」
どうやら明久は、自身を囮にしてストーカーを誘き出したようだ
「ちょっと、大丈夫だったの? 相手のレベルとか、装備とか」
「大丈夫。レベルは20も離れてたし、装備は低レベルの麻痺毒程度だったから、耐毒ポーションで対処出来る物だったよ」
琴音からの問い掛けに、明久はそう答えた
まあ、明久は攻略組筆頭の一人で、そのストーカーは中層域のプレイヤー
遅れを取ることなど、殆ど無いだろう
「その後は、彼のアドバイス通りに、アスナさんの家の近くに住むようにしてました。まあ、途中からは黄昏の風ギルドホームの近くになりましたが」
二大安全ポイントである
なお血盟騎士団本部付近は、殆どが血盟騎士団によって購入されているか、何気に敵対者が張り込んでる魔窟であり、安全とは言えない
それに対してアスナの家の周囲は、何気に安全である
何故ならば、アスナも一度ストーカー被害にあって以来、そういった対策は万全にしていたからだ
そして、黄昏の風ギルドホームの近くは、言わずもがな、ヨシアキの索敵スキルの範囲内だ
もし敵対意思を持った者が入れば、ヨシアキのスキルに反応が出る
「うわぁ……万全の態勢ね……」
「おかげで、後は安全に過ごせました」
「ん、良かったよ」
虹架の言葉を聞いて、明久は安心したように頷いた
この後、虹架と連絡先を交換して退店したのだった