「先生……どうですか？」
と問い掛けたのは、琴音と一緒に病院に来た明久だ
今二人が来ている病院は、以前まで木綿季が入院していた横浜の病院だ
「……脳のこの部分……記憶野に、限定的な電磁波照射がされた形跡があります」
明久の問い掛けに、医師はＣＴスキャンの一枚を指し示しながら答えた
「……電磁波照射？」
「はい……強い電磁波を照射して、記憶をスキャニングした可能性が非常に高いです」
明久が首を傾げると、医師はそう告げた
その話を聞いた明久が、唸っていると
「……実は、ここ最近なんですが。同様のことが、立て続けに起きているんです」
と医師が言った
「同じことが？」
「はい。それで共通しているのが、皆さんオーグマーのゲーム。オーディナル・スケールをしていたことです」
明久が問い掛けると、医師はそう言った
それを聞いた明久は
「オーディナル・スケール……」
と呟いた
診察後、明久と琴音は受付で診察代を払うのを待っていた
琴音の隣で明久は
「大丈夫だよ、琴音……」
と頭を撫でていた
その時明久は、琴音が右手を動かしていることに気付いた
「琴音？」
不思議に思った明久が、琴音に問い掛けた
その直後、琴音は倒れた
「琴音！？」
なんとか受け止めた明久は、琴音の名前を呼んだ
その後琴音は、簡易的に検査入院を経て退院
明久が運転するバイクで、自宅に帰宅した
その後明久は、和人と連絡を取った
「明日奈ちゃんも、記憶を？」
『ああ……その様子じゃあ、琴音もか』
どうやら、明日奈も記憶を失ったらしい
それを聞いた明久は
「なにか、分かったことは？」
と和人に問い掛けた
すると和人は
『オーグマーの開発者にして、オーディナル・スケールの責任者……重村保教授……彼が関与してることは、ほぼ間違いないだろうな』
と言った
それを聞いた明久は
「そっちは、和人に任せるよ。僕は、他を調べるから」
と言った
すると和人が
『分かった。ああ、そうだ。遼太郎が入院してる』
と言ってきた
それを聞いた明久は、驚いた表情で
「えぇ！？ 遼太郎さんが！？」
と声を上げた
『ああ。遼太郎も記憶を失ってた……それに、腕も骨折していた。どうやら、誰かと戦ったらしいが、記憶があやふやらしい』
「……嫌な予感がするな……和人も気をつけてね」
明久はそう言うと、携帯をポケットに仕舞った
そして、晴れ渡る空を見上げて
「まさか、これまで予想してた訳じゃないよね。茅場さん……」
と呟いた
そして明久は、連絡が取れるメンバーに連絡を取って、集まることにした
場所は、ＡＬＯのギルドホールだ
「さて、急に集まってもらって、ありがとう」
そう挨拶したギルドホールには、かなりの人数が集まっている
その全員を見て
「もう何人か知ってると思うけど、オーディナル・スケール……そのプレイで、記憶を失った人が続出してる」
と言った
それを聞いて、サジが
「記憶を失うだと？」
と首を傾げた
すると、エリスが
「はい。私が調べた結果、既に数百人が記憶を失っていることが分かりました。それも、ＳＡＯ帰還者ばかりです」
と言った
そこに、ムッツが
「……その中に、アスナとフィリアが増えたんだろ？」
と言った
それを聞いて、一同に動揺が広がった
しかしそれを、ヨシアキが手を叩いて止めて
「そのことで、二人はかなり不安に感じてる筈だ。だけど皆は、普段通りに接してあげてほしいんだ」
と言った
そして続けて
「情報収集や実働は、僕とキリトで行うから。皆は出来る限り、オーディナル・スケールには参加しないで」
と言った
すると、それを聞いたケイトが
「二人だけで、やるつもりか？」
と問い掛けた
それに対して、ヨシアキは
「僕とキリトの二人は、自分の足を持ってるからね。こういう時は、身軽に動ける……まあ、何か僕達だけで対処が無理になったら、応援を頼むこともあるかもだけど」
と言った
それを聞いても、ケイトは納得がいかない様子だった
だがヨシアキは、手を叩いて
「まあ、皆は何か起きたら動けるようにしといて。それと、一番確実に起きるのは、ユナのライブだ……その時は、頼りにするよ」
と言ったのだった