ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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新たな旅立ち

「そう言えば……今の一撃で、どの位減ったんだ?」

 

ヨシアキはふとそう思い、天窓を開いて天命の残量を確認し、驚いた。

 

「うわ……今の一撃で、三割以上減った……」

 

「え、本当……?」

 

リヒトの一撃で、岩の防大な天命の内の残が削られていたからだ。しかも、ヨシアキの直感では直撃してないでだ。

 

「……リヒト、ちょっと僕がやっていい?」

 

「あ、うん……」

 

ヨシアキの言葉を聞いて、リヒトは立ち位置をヨシアキに譲った。

それを確認したヨシアキは、ツルハシを大きく後ろに構えた。すると、ツルハシを赤いLEが包み込み、それを見たリヒトが目を見開いた。

その直後、轟音と共に一撃が岩に直撃した。

そこに

 

「何、今の音!?」

 

とライエが慌てた表情を浮かべながら、現れた。

その数秒後、ビシビシという音と共に岩に亀裂が広がっていき

 

「ま、まさか……!」

 

ライエが見詰めている間に、岩は砕けた。

 

「やった……砕けた……砕けたわ! 長い間川を塞き止めてた岩が、砕けたわ!!」

 

岩が砕けたのを見て、ライエは嬉しそうに喝采した。

その後、ライエという証人と、村長の確認により岩が砕けたことは村中に伝えられた。

そしてその日は、村総出でお祭り騒ぎになった。

それもその筈で、長年村にとっての生命線だった川を塞き止めていた岩を砕いたのだから。

それが余程嬉しかったのか、村の老人達から順番にリヒトとヨシアキの所にお礼を言いに来た。

本当に長い間。それこそ、村を開拓した頃から川を塞き止めてた岩を破砕したのだから、念願叶って農業が捗ることだろう。

すると、広場中央の台に村長が立ち

 

「皆、聞いてくれ! 皆が知っている通り、長い間川を塞き止めてた悪魔の岩(フレイムロック)が、とうとう砕かれた! それを成したのは、二人! 一人は、アーカイヴ家のリヒト! もう一人は、ベスタの迷子。ヨシアキ・カーバイド! もう一度、二人に拍手を!!」

 

と告げると、村人達が惜しみ無い拍手を送った。

数秒後、その拍手を片手を挙げて制止すると

 

「そして私は、村長の約定の掟に従い、リヒトに新しい天職を選ばせる権利を与える!」

 

と宣言した。

そして、リヒトに対して

 

「リヒト・アーカイヴ……君は、新しい天職に何を選ぶ?」

 

と問い掛けた。その問い掛けに、リヒトは背筋を伸ばしながら

 

「僕は……剣士になりたいです!」

 

と答えた。

 

「そうか……」

 

リヒトの答えを聞いて、村長は少しの間目を閉じた。そして、リヒトの肩に手を置き

 

「私は、アーキア村の村長として、リヒト・アーカイヴに新たな天職……剣士になることを認める!」

 

と高らかに宣言。それを聞いた村人達は、拍手することでその意思を表明した。

それを見たヨシアキは、変なやっかみが無かったことに安堵した。

その理由だが、実は村の剣士。つまり衞士の息子がまだ幼かったからだ。

リヒトはヨシアキと同い年の17歳。それに対して、衞士の息子はまだ10歳。

その父親が幾らかは修行させてはいるが、まだ剣士として央都カセドラルの剣士修練校に行かせる年齢ではないのだ。

そして、一般の民がカセドラルの剣士修練校に入るためには、今から約二ヶ月後に行われる東西南北、それぞれで行われる決定戦に出場し、1位から3位に入らなければならない。

そして、今居るアーキア村からその決定戦の行われるカセドラルに向かうには、約一ヶ月少々掛かる。

正に、ギリギリのタイミングだったのだ。

そして三日後、ヨシアキとリヒトは村長に呼ばれて岩の有った場所に向かった。

そこには、未だに様々なサイズの岩の破片が散らばっている。

村長は、その中から一つの破片を見つけると

 

「ヨシアキ君。すまないが、これを包んでくれないか?」

 

とヨシアキに言ってきた。

それを聞いたヨシアキは、不思議そうにしながらも村長に言われた通りに、その岩の破片を丁寧に包んだ。

そして、それを村長に渡そうとしたが、村長は首を振り

 

「それを持って、カセドラルにいる鍛冶職人のサルドレという人物を訪ねてみたまえ……恐らくだが、その破片から剣を作ってくれる筈だ……リヒトは、その鎗を使うのかな?」

 

と言った。

その言葉に、二人が驚いていると

 

「仮にも、私も村長だ……様々な事を把握しているつもりだよ……君たちが、隠れて剣の訓練をしていたこともね」

 

と言いながら、二人の頭を撫でた。

そして、リヒトを優しい目で見ながら

 

「あんなに小さかった子供が、旅立つか……時が経つのは、早いものだ……」

 

と呟いた。

そして、二人に

 

「さあ、行きなさい……君たちの旅路に、神々のご加護があらんことを……」

 

と言って、二人に背を向けた。それから数時間後に、二人はアーキア村から旅立ったのだった。

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