ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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少し早いけど、大晦日の話です

先に言っておきますと、この作品はアリシゼーションシリーズで一旦幕退きとさせてもらう予定です


閑話 年越し

「いやあ……何だかんだで、気付けば年末かあ」

 

「はーい、キリト君。年越し蕎麦だよー」

 

年末の桐ヶ谷家、そこでは明日奈が蕎麦を出していた。そして和人は、唐突に現れた明日奈を見て

 

「明日奈!? いつの間に!?」

 

「いぇーい!」

 

「ドッキリ大成功!」

 

和人が驚くと、直葉と翠が楽しそうに現れた。それも、《ドッキリ大成功!》という看板を持ちながら。

 

「スグ、母さん……?」

 

「いやぁね、実はお父さんが帰ってくるってことになってね、だったら、明日奈さんと顔合わせしようってなって」

 

「ついでに、和人を驚かせようってなって」

 

「面白そうだから、乗りました」

 

どうやら、直葉と翠が発案し、明日奈も乗ったらしい。しかし、和人が気になったのは

 

「ってか、父さんが帰ってくるのか」

 

桐ヶ谷家の大黒柱、桐ヶ谷峰嵩(みねたか)。中々家に居ないが、それは仕事柄仕方ないことなのだ。以前和人が聞いたのは、なんでも大きな企業に勤めていて、海外を飛び回っているらしい。故に、桐ヶ谷家に帰ってくるのは一年に一回有るかないかという頻度だ。

その峰嵩が帰ってくるのが、大晦日というのもなんという偶然なのか。

 

「でも、明日奈は大丈夫なのか?」

 

「うん、大丈夫だよ。家族は京都に行ったから」

 

「俺が気にしてるのは、そっちなんだがな」

 

明日奈の言葉に和人は思わず突っ込むが、明日奈は残りのお蕎麦を直葉と一緒に運んでくるのみ。それを見た和人は

 

(まあ、いいか……どうにでもなれだ)

 

と半ば諦めた。実は京都の結城宗家では、明日奈の父親である彰三が宗家の一部と激しいやり取りをしており、彰三はそれを予想して明日奈を残したのである。

そして、明日奈が最後の一杯を机に置いた時

 

『ただいまー!』

 

と男性の声が、聞こえてきた。どうやら、峰嵩が帰ってきたようだ。すると、直葉と翠が顔を合わせて

 

「よし、お父さんが帰ってきた!」

 

「明日奈ちゃん、隠れてて」

 

「って、父さんにも内緒なのかよ!?」

 

二人の言葉に、和人は思わず突っ込みを入れた。だが、二人は聞かずに明日奈を一度台所のほうに隠れさせてから、玄関のほうに向かっていった。そして和人は、この後の事を予想して、頭を抱えたが

 

「もう、どうにでもなれだ……」

 

と呟いた後、台所のほうに向かった。なおユイは、和人のパソコンの中で何やら作業中らしく、暫くは触らないでくださいと言われている。

 

「ごめんな、明日奈。二人の悪ふざけに付き合ってもらって」

 

「いいよ、キリト君。こういうの、あまりやったことないから、何だか面白くって」

 

和人が謝ると、明日奈はニコニコと笑みを浮かべながらそう言った。その後、居間に峰嵩が入ってきて呼ばれたので、明日奈が居間に入り自己紹介すると、峰嵩は涙を流したのだった。

場所は変わり、明久の部屋。そこには、明久の他に二人の少女が居た。

琴音と詩乃である。明久が買い物に出ようとしたところ、何故かアパートの前で二人が睨み合っていたのを見つけて、二人と一緒に年越し蕎麦の買い物をして帰ってきたのだ。

明久もだが、琴音と詩乃の二人も料理は得意で、着々と年越し蕎麦と天ぷらを作っていく。

 

「明久くん、SAOやALOだけじゃなく」

 

「現実でも、料理が得意だったのね……」

 

「数少ない特技だよ……っと、汁が出来た」

 

最初に明久が作っていた汁が出来上がり、次に琴音が茹でていた蕎麦。最後に、詩乃が揚げた天ぷらを乗せて、年越し蕎麦が出来上がった。

 

「よし、出来たね……じゃあ」

 

と明久が運ぼうとした時、チャイムが鳴った。

 

「ん、なんだろ」

 

明久は首を傾げながらも、玄関に向かい

 

「はい……って、雄二じゃんか、どうしたの」

 

「明久、匿ってくれ」

 

雄二のその言葉で、明久は雄二が翔子から逃げてきたことを知った。だが

 

「雄二……残念だったね」

 

「あ、どういうことだ?」

 

雄二がいぶかしむ中、明久は玄関近くのドアを開けた。するとその中から、翔子が姿を現した。

 

「な……」

 

「数分前に来て、隠れさせてって言われてね……いや、霧島さん。見事な先読みだ」

 

「雄二……もう、逃がさない」

 

「ちくしょー!! あがががが!?」

 

雄二は翔子の見事なアイアンクローに捕まり、敢えなく連行されていったのだった。

そして三人は、年越し蕎麦を食べながら、ゆっくりと夜を過ごしたのだった。

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