ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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短いです、すいません


駆け出す

ヨシアキ達がカーディナルの下に戻って、数時間後

 

「まあ、これで発音は大丈夫そうじゃな」

 

「つ、疲れた……」

 

「なんか、ここ最近で一番勉強したかも……」

 

カーディナルのお許しを得た頃、ヨシアキとキリトの二人は疲れ果てた様子で机に伏せていた。武装完全支配術の発音の練習をカーディナルの指導の下でやっていた。しかし、二人の発音の悪さにカーディナルはスパルタ教育を開始。その甲斐あり、二人はなんとか発音をものにすることが出来たのだ。

 

「だから言ったじゃないか……」

 

「もっと、神聖術の練習を真剣にやるべきだって」

 

ユージオとリヒトの二人は、キリト達の疲弊した様子に頭を振っていた。この二人は、修剣士学院に居た頃からキリト達に何度も神聖術を真剣に練習するように忠告してきたのだ。

はっきり言って、ヨシアキとキリトの二人は剣の評価で

上級修剣士になったと言っても過言ではないのである。

 

「さて、少し休んだら、セントラルカセドラルに扉を出す……後は、お主達次第じゃ」

 

カーディナルはそう言いながら、ある物を机の上に置いた。それは、四本の短剣。

 

「これは……?」

 

「ワシが作った特殊短剣じゃ。この短剣を相手にさせば、ここに転移するように神聖術が込めてある……そうすれば、ワシの手でシンセサイズの秘儀に対処しよう」

 

ヨシアキが首を傾げると、カーディナルはそう言った。つまりは、アリスとライカの二人を捕縛しろ、と言っているのだろう。

 

「すまんが、予備は無い……用意出来たのは、その四本だけじゃ」

 

カーディナルは申し訳なさそうに、僅かに目を伏せた。しかし、四人は

 

「いや、用意してくれただけありがたい」

 

「だね。取れる手が増えたからね」

 

「うん、取れる手が増えたのは嬉しい」

 

「ありがとうございます、カーディナルさん」

 

とカーディナルに感謝の言葉を述べた。その言葉に、カーディナルは僅かに俯いた。そして、約一時間後

 

「では、開くぞ」

 

カーディナルはそう言って、杖で床をトンと突いた。その直後、四人の前に新しい扉が出現した。

 

「よいな? 分かってるとは思うが」

 

「俺達がくぐったら、扉はすぐに消す……だろ?」

 

カーディナルの言葉を先読みしたキリトが言うと、カーディナルは頷いた。

そしてキリトが、ノブを掴み

 

「じゃあ、行ってくるぜ。カーディナル……次会う時は、俺達が成功した後かな」

 

と言って、扉を開けた。そこから、四人は一気に駆け出した。何せ、相手は最精鋭の整合騎士が約30人も居る。時間を掛ければ掛ける程に自分達が危機に陥る。

ならば、短期決戦が要となる。

短時間でアリスとライカの二人を確保し、最上階に居るだろうアドミニスレータを撃破する。

それが、キリト達に取れる唯一の作戦になる。

 

「行くぞ! 止まるなよ!」

 

「狙いは、アリスとライカの捕獲とアドミニスレータの撃破だ!」

 

キリトとヨシアキはそう言って、先頭に立って階段を駆け上がっていった。

今、四人の戦いの幕が開く


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