ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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奇襲と接敵

カーディナルの出したドアを潜った四人は、一気に駆け出して階段を上がり始めた。

目標は、アリスとライカの捕獲とアドミニスレータの撃破。今は何階に居るか分からないが、その三人が上の階に居るのはほぼ間違いなしである。

だから四人は、一気に階段を駆け上がっていく。時間を掛ければ掛ける程、自分達が不利になる可能性が飛躍的に上がる。だから、やるからには短期決戦になる。

 

「つっ! 侵入者だ!」

 

「居たぞ! こいつらだ!」

 

そんな四人の前に、セントラル・カセドラルに常駐しているらしい数人の剣士達が立ちはだかった。

しかし、ヨシアキ達は整合騎士と互角に打ち合った剣士達。その腕は、普通の剣士達が敵う筈もなく

 

「邪魔ぁ!」

 

「どけっ!」

 

「はあっ!」

 

「しいっ!」

 

あっという間に突破され、床に転がるか壁にめり込むことになった。

その後も、時々現れる剣士誰を容易く撃破し、上を目指して駆けていく四人。だが、中々終りが見えない。

 

「だあ、もう……何階まであるんだ?」

 

「外から見た感じだと、優に100階は有りそうだったけど……」

 

「今が何階だなんて、考えたくないよ……」

 

「右に同じく……」

 

流石に何階も駆けるのは辛く、四人は愚痴りながらも階段を上がっていた。その時、前に二人の少女が現れた。

 

「女の子?」

 

「なんで、こんな所に?」

 

ユージオとリヒトの二人は、セントラル・カセドラルに女の子が居るとは思わなかったので、警戒もせずに近づいた。そんなユージオとリヒトを見て、少女達は頷き

 

「ここが敵地だって、分かってる?」

 

気付けば懐に入っていた少女の片方がそう言った直後、ユージオとリヒトの二人は少女達に刺されていた。

 

「ぎっ!?」

 

「ぐうっ!?」

 

刺された二人は、反射的に剣と槍を抜こうとしたのか、それぞれ手を腰と背中の方に動かしたが、持つ前に前のめりに倒れた。

 

「ユージオ!」

 

「リヒト!」

 

それを見たキリトとヨシアキの二人は、腰の剣を掴みながら一歩前に踏み出した。だが、その時点で少女達は懐に入り込み、二人の手を軽く押さえながら、もう片方の手に持っていた短刀を二人の脇腹に突き刺した。

 

「ぐっ……」

 

「体が……」

 

ヨシアキとキリトの二人も倒れると、その少女達。顔が瓜二つだから、双子の姉妹は手に持っていた短刀を腰の剣帯の鞘に納めた。そして、倒れている四人を見下ろしながら

 

「まさか、私達が整合騎士だとは思わなかったでしょ?」

 

「正確には、見習い……だけど……」

 

と語った。

 

「整合騎士……見習い……だと?」

 

「そ。私は、リネル・シンセンス・トゥエニエイト」

 

「……私は、フィゼル・シンセンス・トゥエニナイン」

 

ユージオが何とか問い掛けると、二人は名前を名乗った。そして、神聖術で身体強化を施すとそれぞれ二人ずつ足首を掴んで歩き始めた。

 

「んー、流石に二人はちょっと重いね」

 

「……けど、大丈夫」

 

二人は少し重そうにするが、それでも引き摺っていく。そんな中、二人は何やら話し始めた。

 

「私達ね……アドミニスレータ様のある実験の生き残りなんだ」

 

「……その実験っていうのは、蘇生実験」

 

「蘇生……実験……?」

 

その文字だけで、ヨシアキは何となくどんな実験かを察した。そして何より、先の二人の手際いい刺し方。

 

「最初はね、実験に選ばれたの一杯居たんだ」

 

「……けど、互いに刺しては蘇生術を施す……その実験を繰り返す内に、一人、また一人と蘇生出来ずに居なくなっていって……滔々私達だけになっちゃって……そこで実験が中止になって……私達は要済みになるはずだった……」

 

「けど、アドミニスレータ様は私達の腕を評価してくださって、天命凍結術を施してくださって……で、私達は前任だった整合騎士を刺し殺した……その功績が認められて、その前任者達の地位を与えられたの」

 

二人は淡々と語っているが、実験内容は非人道的なものだった。恐らく、アドミニスレータが評価したというのは、二人の短刀による攻撃の腕前だろう。それほどに、二人の手際は良かった。

そんな間に、二人の目的地に到着したらしい。二人は一度手を離してドアを開けて、中に入り

 

「ファナティオ様、侵入者達を捕まえ連行しました」

 

「……そちらに、お引き渡しします」

 

入った部屋の奥には、白を基調とした色合いの鎧を身に纏った整合騎士と、同じ意匠の灰色を基調とした鎧を着た四人の騎士だった。

すると、白い鎧を着た騎士が

 

「……使われましたね、二人共」

 

と呟いた。リネルとフィゼルの二人は、その言葉の意図を問い掛けようとしたが

 

「道案内ありがとう」

 

「探すのは手間だからな」

 

と声が聞こえて、二人の腰の短刀が奪われ、そして軽く刺された。

 

「な……」

 

「……なん、で……」

 

リネルとフィゼルの二人を刺したのは、キリトとヨシアキの二人だった。二人は短刀を投げ捨てると、リネルとフィゼルの二人の腰にあった雑嚢を少しまさぐり、中から小瓶を取り出しながら

 

「君達と会った時、その鞘に気がついたんだ」

 

「その鞘、腐蝕を防止する特殊素材で造ってあるんだろ? 毒対策に。だから、毒の武器を持ってると予想して、対毒の神聖術を唱えておいたんだ」

 

と説明し、雑嚢の中から小瓶を二つ取り出した。

 

「これが、解毒材か……」

 

「みたいだね……」

 

二人はその小瓶の蓋を開けると、ユージオとリヒトの口の中に流し込んだ。

 

「完全解毒には時間が掛かるだろうが、これで大丈夫な筈だ」

 

「動けるようになったら、少しずつでいいから隠れてね」

 

ユージオとリヒトにそう言うと、キリトとヨシアキは騎士達の前に立って、剣を構えた。

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