ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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昇降係りの少女

エルバードを倒した四人は、更に上を目指した。しかし、やはり問題となるのが高さだ。

 

「いや、本当……何時着くのかが分からないな……」

 

「そうだね……見た感じ、かなりの高さだけど……」

 

「途中から、もう大して変わらない気がしてるよ」

 

四人は時々見つけた窓から外を見るのだが、やはり高さ故かあまり変わらないように見えていた。

高過ぎるのも、考えものだ。と、この時四人は思っていた。そんな時、ある場所に着いた。そこは、広く丸い縦穴だった。どうやら今居る場所が一番下らしく、少し下には床がある。だが、上は何処まで続いているのか見えなかった。

 

「なんだろ、この穴は……」

 

「かなり高くまで続いているみたいだけど……」

 

ユージオとリヒトは不思議そうにしながら、頭上を見上げている。しかしキリトとヨシアキは、何となくだが、その穴が何のために有るのか察した。

 

(まさか、これって……)

 

(エレベーターホール?)

 

少しすると四人は、壁面に数字を見つけた。51

それは恐らく、今居る階層を示しているのだろう。しかし、そこから上に行くための階段がなく、広く円筒状に上に伸びている空間のみ。上をよく見れば、時々通路らしい場所が見えるが、紐も無ければ足場になりそうな出っ張りも無い。

そんな時、リヒトが

 

「ねえ……上から、何か……」

 

と上を指差した。確かに、上から丸い円状の物がゆっくりと降りてくる。念のために、四人はそれぞれ武器を片手に身構えた。そしてそれは、四人の目前に降りてきた。それには、一人の少女が立っていた。見た目の年齢的には、四人と同年代位だろうか。

その少女は、自身の腰の高さにある金属板に手を置いていて

 

「どの階層に上がられますか?」

 

と四人に問い掛けてきた。その声音は、何処か機械的にすら感じられる。四人は注意深くその少女を観察した。

その少女が着ているのは、白いブラウスと黒いロングスカートで、武器らしい物は一切確認出来ない。どう見ても、非武装だし剣士という雰囲気もしない。

だからか、キリトとヨシアキは降りてきた金属製の円盤に乗った。それを見たユージオとリヒトの二人は、驚きで目を見開きながらも

 

「ちょっ、本当に乗るの!?」

 

「罠かもしれないのに!?」

 

と二人に問い掛けた。しかし、キリトとヨシアキは

 

「だけど、これ以外に上に登る方法ある?」

 

「縄も無いし……あの高さ、どうやって登るよ?」

 

と二人は、一番近くの通路を指差した。確かに、一番近くの通路までは優に数mはあり、簡単には登れない高さだ。だから、その円盤に乗るしか無いのだ。そう結論付けたのか、リヒトとユージオの二人も円盤に乗った。それを見たキリトが

 

「それじゃあ……行ける所まで上がってくれるか?」

 

と少女に言うと、少女は頷き

 

「承りました、80階の雲上庭園まで上がります」

 

と告げてから、神聖術を発動。ゆっくりと円盤は、上がり始めた。どうやら風の神聖術を使っているようで、円盤の下の方から凄まじい風の音が聞こえる。

 

「あの、君は一体どれだけここに居るのかな?」

 

神聖術の加減から不思議に思ったのか、ヨシアキがそう問い掛けた。円盤の上昇速度は一定で、かなりの熟練さを感じたからだ。

その問い掛けに、少女は淡々と

 

「そうですね……私の歳が、107歳ですから……」

 

「107!?」

 

少女の年齢が完全に予想外で、四人は驚いた。そして、直ぐに気づいた。つまり少女も、整合騎士と同じように天命の凍結術が施されているのだと。

 

「……なるほど……だから、淡々としてるんだ……魂が摩耗して……」

 

色々と話している間に、円盤は一番上まで到着。四人は通路に移動すると、円盤はゆっくりと降りていった。

なんでも少女は、円盤の昇降が天職として与えられたらしく、約90年余り昇降係りを遂行してきた。もし昇降係りを辞めることになったら、何をすればいいか分からないと語っていた。

 

「……僕達の行動、間違ってるのかな」

 

「いや、間違ってないよ……アドミニスレータがやってることは、許したらいけない……あの女の子だって、本当は普通の幸せがあったはずだ……けど、アドミニスレータが天命を凍結したせいで、まるで人形みたいになってる……そんなこと、許したらいけないんだ」

 

リヒトの呟きに、ヨシアキは強い決意を込めながら言って、雲上庭園のドアを開けた。そして四人は、そこで二人の少女と再会する。

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