どうにも最近、無気力というか、ふと思ってしまうんです
俺が居る(生きてる)理由は、あるのかなって
キリトとヨシアキは、それぞれアリスとライカに突撃した。しかしアリスとライカは、慌てることなく剣を構えた。そうして、キリトとヨシアキがある一定の距離まで来た時、アリスとライカの二人は、静かに剣を掲げた。その瞬間、剣の刀身が消えた。
否、消えたのではなく、分解したのだ。1cm程の小さな花に。しかも一つではなく、夥しい数に。それらがまるで、濁流のようにキリトとヨシアキに襲いかかった。黄金の濁流がキリトに、白銀の濁流がヨシアキに襲い掛かり、二人は押し飛ばされた後に地面に叩き付けられた。ユージオとリヒトの二人は、アリスとライカに短剣を刺そうとして駆け出した。
しかし、そんな二人にも黄金と白銀の濁流は襲い掛かった。
ユージオとリヒトの二人も、あっという間に押し飛ばされた後に地面に叩き付けられた。二人は短剣を抜こうとしたために左手を懐に入れていたのだが、その左手に濁流が直撃。左手は、激痛に襲われていた。
「ただ無策に突撃してくるなど、我等を愚弄しているのですか?」
「今のは手加減しました……ですが、次はありません」
アリスとライカの言葉に、ユージオとリヒトは驚愕した。今の濁流で、二人の天命は、約三割程減っている。それでも、手加減していた。もし本気だったら、一撃で死んでいたかもしれない。
そう思うだけで、心臓が五月蝿い位に鼓動が早くなる。
その時
「……整合騎士アリス、並びに整合騎士ライカ」
「侮辱したつもりはないが、謝罪しよう……ここからは、本気で往く」
立ち上がったキリトとヨシアキが、それぞれ剣を構えた。その気迫は、2年以上一緒に居た二人すら知らないものだった。それを感じ取ったからか、アリスとライカは
「ほう……なかなかいい剣気ですね……」
「どのような邪心で、今回の件に踏み切ったのか……剣で聞きましょう」
二人はそう言って、アリスはキリトの前に。ライカはヨシアキの前に立って、剣を構えた。たったそれだけなのに、更に気迫が高まる。見ているユージオとリヒトは、その気迫に呑まれないようにするので、精一杯だった。
次の瞬間、四人がぶつかった。激しく震える空気。
ユージオとリヒトに見えるのは、激しく散る火花。激しく金属がぶつかる音は聞こえるが、剣閃が線でしか見えない。四本の剣閃が激突する度に、空気が震えて、火花が散る。
「わかってたけど……」
「強い……」
ユージオとリヒトは、キリトとヨシアキが強いというのは何となく分かっていた。2年以上ユージオとリヒトは、それぞれキリトとヨシアキから剣の手解きを受け続けてきた。二人は、常にユージオとリヒトの一段上の実力で模擬戦をしてきた。つまり、底が見えなかったのだ。それを証明するかのように、四人の剣劇は更に加速する。もはや残像しか見えない次元で、四人は激しく剣を交わす。
金と黒、白銀と黄昏の線と残像が入り雑じり、最早幻想的にすら思えた。
「……中々の剣さばき、称賛に値します……」
「惜しむらくは、仲間ではなく、敵になってしまったことです……仲間ならば、大手を振って出迎えました……ですが、問いたい……なぜ、こんなにも剣が澄んでいるんですか……? 何が、貴方達をその道に走らせたんですか?」
剣劇が一旦収まり離れると、アリスとライカの二人はそう問い掛けてきた。どうやら、キリトとヨシアキの二人が敵対した理由が分からないらしい。
「……間違ってると思ったからだ……」
「自分の目的のためならば、容易く人の尊厳を踏みにじり、人の命を弄ぶことがね」
キリトとヨシアキはそう言って、剣を突き付けた。この時、キリトとヨシアキの脳裏に、下位整合騎士の二人と、昇降係の少女。そして何より、カーディナルの姿が写った。
アドミニスレータの欲望により、その存在を歪められた少女達。人によっては、それだけと思うかもしれない。しかし、キリトとヨシアキからしたら充分過ぎる理由だった。
人の魂を書き換え、自分の手駒にする。それが、許せなかった。
「だから、僕達はここまで来たんだ!」
「アドミニスレータを、止めるために!!」
「……どうやら、私達とは相容れないようですね」
「ならば我等は、整合騎士として……お前達を処断する!」
お互いの理由を確認しあい、四人は再び激突する。