これは、ここで終わらせるべきかと思いまして
ヨシアキとライカが、足場で休んでいると
「……確か、ヨシアキと言いましたね」
「そうだけど……なに?」
ライカが呼び掛けてきて、ヨシアキは内心構えていた。休戦しているとはいえ、少し前には殺しあっていたのだから、仕方ないだろう。
「お前とあの鎗使いは……ライカ・シンフォースを取り戻すために、このセントラル・カセドラルに来たと聞きました……貴方達にとって、ライカ・シンフォースとはどういう人物なのですか?」
そのライカの問い掛けの直後、ヨシアキの脳裏にある映像が流れた。知らない筈なのに、懐かしい感じがする映像だった。しかしヨシアキは、すぐに気をよく持ち直して
「僕はベクタの迷子だから、よく知らないけど……リヒトにとっては大事な幼馴染みみたいなんだ……どうしても、取り戻したいって……」
と語った。それは、央都に着くまで聞いた話だった。リヒトにとって、ライカは本当に大事な幼馴染みだと語っていた。
「しかし、私はライカ・シンセシス・サーティワン……天界から召喚された、整合騎士……」
「それが間違ってるんだ……整合騎士は、アドミニストレータによって記憶を書き換えられ、大事な記憶を奪われて造り出されたんだ」
ライカの言葉を、ヨシアキは即座に否定した。
「最高司祭猊下に……?」
「そうだ……そもそも、整合騎士に選ばれてるのは、過去に何らかの罪を犯した人か、剣術大会で優勝した人ばかりだ……」
「ならば……ライカは、どのような罪を犯したのですか……?」
「ライカは、ダークテリトリーの土に触ってしまったらしいんだ……転んだ拍子に、指先が少し」
ヨシアキが気まずそうに教えると、ライカは
「たったそれだけ、と言えるでしょうが、確かに罪……されど、大事な記憶を書き換えられ、奪われる理由には……つう!?」
語尾に至るに連れて怒りが滲んでいたが、不意に痛そうに右目を抑えた。
「ライカ!」
「なん、ですか……この痛みは……!?」
「それは、禁忌目録や上からの指示とかを否定するような考えを持つと、右目が痛むんだ! 最後には、右目が破裂するかもしれない! 今は、もう何も考えないで!」
ヨシアキがそう助言する間にも、徐々に右目の光が強くなっていく。しかしライカは、首を振り
「いえ……そういう訳にはいきません……貴方の言うことが確かならば……人界を守護する私達には、遣るべきことがある……ヨシアキ、頼みがあります……」
「……僕に、出きることなら」
ヨシアキはライカを止められないと悟り、ライカに体を寄せた。
「私を……抱き締めていてください……痛みに、挫けないように」
「……分かった」
ライカの言葉に従い、ヨシアキはライカを抱き締めた。するとライカは、顔を上げて
「……私は……最高司祭猊下に……反乱します……!」
と宣言。その直後、暗くなっていた空に、二つの赤い光が登った。