ミニオン群を殲滅した四人は、更に階段を駆け上がった。目指すは、最上階。
アリスとライカの話では、整合騎士にするには時間が必要とのこと。だから、まだなっている可能性は低く、今ならまだ整合騎士化を阻止出きるかもしれない、とのことだった。
それを聞いたヨシアキとキリトは急いだ。仲間を、友を助けるために。
そして、98階に到着すると、四人の足が止まった。足が止まった理由は、そこに新たに敵が居たからだが、その敵が予想外だった。
「ねえ、二人共……整合騎士にするには、時間が掛かるんじゃなかったっけ?」
ヨシアキが問い掛けるが、アリスとライカは目を見開き
「バカな……!」
「速すぎる……!」
と驚きで固まっていた。何故ならば、その新たな敵たる整合騎士は、ユージオとリヒトに他ならなかったからだ。その二人は、すっと手を伸ばし
「ありがとう……」
「僕達の武器を、持ってきてくれて……」
と告げた。その直後、キリトとヨシアキが背負っていた二人の武器が飛んでいき、二人の手に収まり、それを見たアリスとライカは驚いていた。
「なっ……!?」
「心意の腕!?」
「心意の腕?」
「それって、一体……」
「ようは、見えざる手です」
「本人の意思の力で、物を持ち上げたりすることが出来ます……しかしまさか、この者達が出きるとは……」
どうやら、アリスとライカの二人からしたら、その心意の腕が出きるのは予想外だったらしい。アリスとライカが説明している間に、ユージオとリヒトは武器の感触を確かめているのか、何回か振っている。
そして、確認が終わったらしく、構えて
「来い、侵入者達……」
「お前達は、あの方の為に、ここで倒す……」
と静かに宣言した。それを聞いて、アリスとライカは素早く剣を抜こうとした。だがそれを、キリトとヨシアキが片手を挙げて制止し
「ここは、俺達に任せてほしい……」
「相棒なんだ……それなりに、熟知してる」
と告げて、剣を抜いた。そして、二人は駆け出した。
それから、約十数分後。99階に、二人の整合騎士。
ユージオとリヒトが到着し、更に奥へと向かおうとした。その時
「ホーホホ! おやおや、34号と35号では、あーりませんか!」
「我等がアドミニストレータ最高司祭猊下の敵は、倒したので?」
耳に響く高い声と、落ち着いた声が聞こえた。ユージオとリヒトが視線を向けると、小さなピエロを彷彿させる服装の男と、高い身長の笑みを浮かべた青年が居た。
小柄なピエロのような男が、元老長のチュデルキン。そして法衣を着て長い杖を持っているのが元老長補佐のハァシリアンだ。
この二人が、名実ともに最高司祭たるアドミニストレータの腹心の部下だ。
「……98階にて交戦し、無力化……我等の武装完全支配術の会わせ技にて、拘束しました」
「あれは、一朝一夕には砕けないはずです」
そんな二人に対して、ユージオとリヒトは淡々と報告する。表情もだが、声音にすら感情が感じられない。否、そう努めてると言うべきかもしれない。今のユージオとリヒトは、キリトとヨシアキと戦う前と比べて、変化が起きていた。
「おやおやぁ? 我等が下した命令は、敵の撃滅の筈ですよぉ? 命令違反には、お馬さんの刑を処しますぞぉ!? ハイドーハイドー!」
「元老長よ。そんなことより、直接我等で止めを刺しにいけばよろしいのでは? そうすれば、我等は最高司祭猊下にお褒めいただけるかと」
「おーほほほ!! なんという甘美な提案か! では、我等で止めを刺しに行きましょう!!」
ハァシリアンの提案に歓喜したチュデルキンは、跳ねるように階段のほうに向かっていき、ハァシリアンも去っていった。それを見送ったユージオとリヒトは、アドミニストレータが居る100階に行くための専用昇降板を使い、100階に到着した。
そこは、たった一人のための居室にしては広い部屋だった。直径は、50mは最低はあるが、置いてある家具類は僅か。
その中でも、一際目立つのは部屋の中央にある天涯付きの大きなベッド。そこに、彼女は居た。
「あら、どうしたのかしら?」
公理教会最高司祭、アドミニストレータが居た。