「最高……司祭……倪下……」
キリトの攻撃の直撃を受けて、チュデルキンは倒れた。神聖術の威力は高かったが、チュデルキン本人は直接戦う人物ではない。
キリトとヨシアキの連携で徐々に追い込まれ、ヨシアキの攻撃を避けた隙を突かれて、キリトのヴォーパルストライクが直撃。力尽きた。
これで、アドミニストレーターは一人になった。
人数的には、6対1でキリトやヨシアキ達の方が有利である。しかし、相手は不老のアドミニストレーター。その実力は未知数である。
それに、今居る場所は相手の本拠地だ。どんな仕掛けが有るかも分からない。
「やれやれ……チュデルキンも大したことないわね……結局、私が尻拭いしないといけないなんて」
「貴女の為に戦った者に対し、そのような言い方……!」
「役立たずを役立たずと言って、何が悪いのかしら?」
ライカが非難染みた声音で問い詰めるが、アドミニストレーターは気にした様子もなく、転がっていたチュデルキンの死体を蹴り飛ばした。
その所業に、六人は怒りの表情をアドミニストレーターに向けた。だが、アドミニストレーターは気にした様子もなく
「仕方ないわね……ちょうどいいから、これの試験をしましょうか」
と言って、右腕を挙げた。そして紡ぐのは
「エンハンス・アーマメント」
神聖術の式句ではなく、武装完全支配術の式句だった。
「武装完全支配術!?」
「だけど、武器なんて……」
キリトとヨシアキが驚いていると、部屋の壁に掛けられていた武器の数々がひとりでに動き始めた。
「な、なんだ!?」
「武器が、集まって……!?」
六人が見ている間にも、武器は集まっていき、形を整えていく。その見た目は、金属製のカマキリと言える。しかし、その全身は凶器で形成されている。
「バカな……!?」
「いくら最高司祭様と言えど、武装完全支配術で使える武器は一つだけの筈……!?」
10個近い武器の同時完全支配術、そんなことは理論上は不可能とされている。一体どうやって、とアリスとライカは驚いていた。その時、天井の方で不意に何か光ったのが見え、視線を天井に向けた。
そこに見えるのは、華美な装飾が施された天井。
最初はその装飾が光ったのかと思った二人だったが、途中で違うと気付いた。よく見れば、天井の至るところに宝石が埋められている。その宝石が不規則に光っていた。
|それはまるで、武器と惹かれ合っているかのように《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。
そして、一つの結論に辿り着いた。辿り着いてしまった。
「まさか、あの武器と天井の宝石は……!?」
「人々を、変換した物……!?」
それを聞いた四人は、驚いた表情を浮かべながらアリスとライカを見た。すると、アドミニストレーターが
「あら、よく気付いたわね……」
と肯定的な言葉をのたまい、笑い始めた。
「そのソードゴーレムは、武器一つにつき大体100人の魂を武器に変換してあるの……だから、その一体で大体1000人前後……そして天井には、その相方の魂を同じ数を一つに纏めて、宝石に変換してあるのが埋めてある……そして両方は、互いを求めあって動いてる……これを、欲と言わずに何と言うのかしら?」
アドミニストレーターの説明を聞いた六人は、戦慄を覚えた。つまり、ソードゴーレム一体を作るために、約二千人もの人々を犠牲にしていると宣言したのだ。
本来は人々を守るための公理教会が、人々を犠牲にしておぞましい兵器を作った。
「何故そのようなことを!?」
「決まっているわ……最終負荷実験を乗り越えるためよ」
「最終負荷実験……?」
アドミニストレーターが言ったキリトとヨシアキ以外の四人は首を傾げるが、キリトとヨシアキは驚いた。アドミニストレーターが、最終負荷実験まで知っていたことに。
「これはまだ試験型だけど、ちょうどいい実験になるわ……私としたら、最終負荷実験までに300体のソードゴーレムを造り、侵攻してくる暗黒界軍を殲滅……そして私は、ワールドエンド・オールターで外の世界……現実世界に進出する!」
つまりアドミニストレーターは、この世界を見捨てて自分だけ逃げると宣言したのだ。しかもそのために、夥しい数の人々を犠牲にしてまで。
「そんなこと、させるもんか!!」
「俺達が、お前の企みを阻止してやる!!」
ヨシアキとキリトが宣言すると同時に、突撃を開始した。それを見たアドミニストレーターは、右手を前に掲げ
「行きなさい、ソードゴーレム……奴らを、血祭りにあげなさい!!」
と指示を下し、その指示を受けてソードゴーレムがその巨体からは想像出来ない速さで突撃。巨大な鎌を振り下ろした。
これが、アドミニストレーターとの最終戦の幕開けになる。