ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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立ち向かう

キリトとヨシアキがソードゴーレムと戦っている時、アリスとライカは自分にも何か出来ないか思案していた。右目の封印は突破したが、まだ敬神モジュールは埋め込まれたままで、アドミニストレーターには直接剣を向けることは出来ない。だが、気付いた。ソードゴーレムならば、戦えると。

だから二人は、駆け出した。キリトとヨシアキを助けるために。だが、ユージオとリヒトは動けずに居た。

それは、今の自分達がキリトとヨシアキの隣に立って戦う資格が無いと思ったからだ。

その時

 

『短剣を、昇降板に突き立てるのじゃ』

 

と知っているのに、知らない声が頭の中に響いた。

その声を聞いた二人は一瞬困惑したが、ユージオは懐から短剣を取り出した。見た目は、そこら辺の武器屋でも安売りしてそうな短剣。だが何故か、捨てられずに懐に仕舞っていた。ユージオがそれを握ると、リヒトは槍を掴んで立ち上がり、二人は昇降板目掛けて走り出した。

それに気付き、アドミニストレーターが

 

「何をやっている!?」

 

と怒声を上げながら、神聖術で多数の岩を飛ばしてきた。その岩を、リヒトが槍で破壊。それだけでなく

 

「エンハンス・アーマメント!!」

 

武装完全支配術で、大量の水を出して壁を形成。アドミニストレーターが追撃として放っていた炎の神聖術を防いだ。その間に、ユージオが短剣を昇降板に突き立てた。その直後、その昇降板を中心に複雑な魔法陣が展開。そして、ユージオの目の前に一つの扉が現れた。

その扉がゆっくりと開くと、中から閃光が走った。

その閃光は真っ直ぐにソードゴーレムに向かい、直撃を受けたソードゴーレムは動きを止めた。

 

「今のは……神聖術……?」

 

「力強さもですが……意志の強さも桁外れ……これは……」

 

間近で神聖術の威力を見たアリスとライカは、驚いた表情で扉を見た。そして中から出てきたのは、カーディナルだった。カーディナルを見たアドミニストレーターは、侮蔑的な笑みを浮かべ

 

「あらあら……久しぶりね、リセリス……何百年振りかしら?」

 

と問いかけた。

 

「実に二百年振りじゃな、アドミニストレーター……まあ、お主にとってはそんなに意味は無かろう……その大半を寝て過ごしていたお主にはの……」

 

「その喋り方……何のつもりかしらね……まあいいわ……貴方からしたら、私を追い詰めたつもりでしょうけど……それは、私も同じなのよ」

 

アドミニストレーターはそう言いながら、指を鳴らした。その直後、窓の外の景色が変わった。先ほどまで青空が見えていたのだが、様々な色が入り乱れた色彩に変わった。それを見たカーディナルは

 

「お主……この場の空間を切り離したな……」

 

とアドミニストレーターを睨んだ。

 

「ええ、そうよ……前はあと一歩の所で大図書館に逃げ込まれ、更には空間を切り離されたからね……今度は、こちらからよ……もう逃げられないわよ」

 

「逃げるつもりはない……今回で、決着を着けるつもりじゃ」

 

カーディナルがそう言って、杖を構えた。すると、先ほどカーディナルの神聖術で動きを止めたソードゴーレムが、再度動き始めた。

それを見たカーディナルは

 

「……すまぬなど言えん……じゃが今は、ゆっくりと眠っていてくれ」

 

と言って、再度神聖術をソードゴーレムに放った。するとソードゴーレムは、ゆっくりと動きを止めた。

 

「これは……武装完全支配術が……止まってる……」

 

「先ほどの神聖術……優しい意志を感じました……まるで、眠っているようです……」

 

神聖術に高い適性を持つアリスとライカは、カーディナルの神聖術に驚いていた。それほどの使い手に、今まで会ったことが無かったからだ。

 

「へぇ……神聖術の精度を上げたのね……昔のまま、ではないということね……」

 

「そうじゃ……アドミニストレーター……お主を倒すために、この二百年の間研鑽を続けてきた……!」

 

カーディナルがそう言った直後、カーディナルのその小さな体から凄まじいまでの圧が放たれた。その圧だけで、空気がビリビリと震える程だ。

だが

 

「ふふふ……アハハハハハ!」

 

アドミニストレーターが突如として、笑い始めた。端から見たら、気が狂ったとも取れるだろう。何せ、今の状況はアドミニストレーターは完全に一人だけであり、仲間は居ない。周囲には敵ばかり。しかも、神聖術ではアドミニストレーターと互角のカーディナルが居て、剣に於いてはキリトやヨシアキが居る。

 

「何がおかしい……」

 

「ふふふ……私がこの二百年、何の対策もしないと思ったのかしら?」

 

アドミニストレーターがそう言った直後、カーディナルが神聖術を放っていた。しかしその神聖術は、当たる直前で弾かれた。

 

「む……まさか……」

 

「気付いたようね……私には、あらゆる神聖術は効かない。それだけじゃないわ……私には、あらゆる金属で作られた剣で傷を着けることも出来ないわ……!」

 

それを聞いたカーディナルは、ゆっくりと杖を下ろした。

 

「……ワシはどうなろうと構わない……じゃが、こやつらの命は見逃せ」

 

それは、諦めの言葉だった。だが

 

「カーディナル……そんなこと、する必要は無い……」

 

「そうですよ……あいつは、僕達が倒す……」

 

「何を言っておる……! 聞いたじゃろ……!? あやつを殺す方法など……!」

 

キリトとヨシアキの言葉に、カーディナルは二人を止めた。だが、二人は止まらない。その時

 

『そうです……カーディナル様、生きてください!』

 

『私達が、時間を稼ぎます!』

 

キリトとヨシアキの前に、突然大きなクモと鳥が姿を現した。その二体を見たアドミニストレーターは、驚愕で目を見開き

 

「な!? 神獣だと!? まだ生き残りが!?」

 

と驚きの声を上げたが、すぐに二体と交戦を開始した。それを見たカーディナルは

 

「よすのじゃ、シャーリー! カナリヤ!」

 

と二体を制止するが、二体は止まらない。その間に、ヨシアキが

 

「ユージオ、リヒト! カーディナルさんを頼む!」

 

とカーディナルを、ユージオとリヒト達に引渡し、駆け出した。そして、キリトと並ぶと

 

「キリト、終わらせよう!」

 

「ああ! こいつの企みを、ここで終わらせる!!」

 

と宣言し、アドミニストレーターに対して突撃した。

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