仕事が忙しくって、なかなか執筆時間が取れないんです
次回はもう少し早く上げられるように、がんばります!
二つに分けました
アスナは毎朝、七時五十分に起床アラームを設定している
なぜそんな時間なのかというと、隣に寝ている夫のキリトの寝顔を堪能する為である
今朝もアスナは木管楽器の奏でる優しい音色で目覚めて、キリトを起こさないようにそっとうつ伏せになってから両手で頬杖を突きながらキリトの寝顔を鑑賞していた
アスナがキリトに恋したのは半年前
キリトと攻略パートナーを組んだのが、約二週間前
そして、キリトと結婚したのが約10日前
二人が結婚すると聞いた友人達による結婚式は、記憶に新しい
誰よりもアスナが愛している人物だが、実のところ、アスナはキリトのことはあまり知らない
それは寝顔一つにしても言えることで、じっくりと眺めていると、キリトの年齢が解らなくなってくるのである
少し斜に構え、飄々とした物腰のせいで、キリトのほうが年上かな? と普段は思っている
だが、深く眠っている時のキリトからは無邪気と言えるほどのあどけなさを感じるために、遥かに年下にも見えるのだ
年齢くらいは、聞いても構わないだろう-とは思っている
いくら、SAOでは
しかも、帰還後のことを考えると年齢だけでなく名前と住所を聞いておかないと、再会することすらできない
だが、アスナはなかなかそれを言い出せないでいた
だから、夢でもいい
もう少しの間、この幸せな生活を味わわせてください
アスナはそう祈りながら、キリトを見つめてから
「大好きだよ、キリトくん」
と、呟いたのだった
そう言った直後に、キリトが起きたのでアスナは顔を真っ赤にして慌てたのは、ご愛嬌である
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ね、その……ウワサの場所って、どの辺なの?」
「ええと……」
緊張気味にアスナが問い掛けると、キリトは手を振ってマップを表示して、現在地を確認した
今二人が居るのは、二人が住んでる家から少し離れた森の一角である
二人は朝食を食べた後に、どこかに遊びに行こうという話になった
その時にキリトが出したのが、この森であった
なぜこの場所かと言うと、先日にキリトが村であるウワサを聞いたからである
そのウワサというのは、幽霊が出るというウワサであった
そのウワサの真偽を確かめるために、二人はこの森に来たのである(アスナは後悔しているが)
「あ、そろそろだよ。もうあと何分かで着く」
「ふうん……ね、具体的には、どんな話だったの?」
アスナは内心では聞きたくなかったが、聞いておかないと不安になるので聞いてみた
「ええっと、一週間くらい前、木工職人《ウッドクラフト》プレイヤーがこの辺の丸太を拾いに来たんだそうだ。この森で採取できる木材はけっこう質がいいらしくて、夢中で集めてるうちに暗くなっちゃって……慌てて帰ろうと歩き始めたところで、ちょっと離れた木の陰に……ちらりと、白いものが」
「……」
この時点でアスナは限界に達していたが、キリトは容赦なく続けた
「モンスターかと思って慌てたけど、どうやらそうじゃない。人間、それも小さい女の子に見えたって言うんだな。長い黒髪に、白い服。ゆっくりと、木の向こうを歩いていく。モンスターでなきゃプレイヤーだ、そう思って視線を合わせたら」
「……」
アスナはこの時、泣きそうなのを必死に堪えていた
「……カーソルが、出ない」
「ひっ……」
アスナはおもわず、喉の奥で小さな声を洩らしてしまった
「そんな訳はない。そう思いながら、よしゃあいいのに近づいた。そのうえ声をかけた。そしたら女の子がぴたりと立ち止まって……こっちをゆっくり振り向こうと……」
「も、も、もう、や、やめ……」
アスナが涙目で懇願するが、キリトは無視して
「そこでその男は気がついた。女の子の、白い服が月明かりに照らされて、その向こうの木が……透けて見える」
「ーっ!!」
声なき悲鳴を必死にこらえながら、アスナはギュッとキリトの服の裾を掴んだ
「女の子が完全に振り向いたら終わりだ。そう思って、男はそりゃあ走ったそうだ。ようやく遠くに村の明かりが見えてきて、ここまでくれば大丈夫、と立ち止まって……ひょいっと後ろを振り返ったら……」
「っ!?」
キリトの言葉の先を想像して、アスナは息を呑むが
「誰もいなかったとさ。めでたしめでたし」
予想外のキリトの言葉に、アスナは固まり
「き、き、キリトくんのバカーーー!」
怒ると同時に、叩こうと手を振り上げた
がその手は、キリトに振り下ろされることなく固まった
理由は、アスナの視界の端に白いナニカが見えたからだ
アスナは、まるで首が錆びたロボットのようにゆっくりと動かした
そして、白いナニカが見えた辺りに視線を集中させると、フォーカス機能が働き、ズームされた
そこに映ってはいたのは、先ほどキリトが上げた特徴と一致する少女だった
「き、キリトくん……あ、あれ!」
アスナが震えながら指差すと、キリトは首を傾げてから、アスナの指差した方向を見た
すると、目を見開き
「う、嘘だろ……」
茫然と呟いた
キリトが視線を集中させて、フォーカス機能が起動
女の子に視線を集中させて、カーソルを出そうとしたが
「カーソルが出ない……」
アスナは心中で
(少しでもこっちに近づいたら、わたし気絶しちゃうだろうなぁ)
と確信めきながら、覚悟を決めた時
ふらりと、少女の体が傾き
どさりと、音をたてながら地面に倒れた
「あれは……」
その音を聴いた瞬間、キリトの眼が細くなり
「幽霊なんかじゃないぞ!」
そう叫びながら、駆け出した
「ちょ、ちょっとキリト君!」
置き去りにされたアスナは慌てながら呼び止めたが、キリトは反応せずに少女へと駆け寄った
「もう!!」
アスナもやむなく追いかけた
まだ鼓動が激しく鳴っているが、気絶して倒れる幽霊なんて聞いたこともない
キリトに遅れること数秒後、針葉樹の根元に到達すると、キリトはすでに少女を抱き起こしていた
これが、キリトとアスナの娘となる少女
<ユイ>との出会いだった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日
二人が保護した少女は、朝方に目を覚ました
それから二人が色々と話しかけた結果
1.名前はユイと言うらしい
2.精神的にダメージを負っているらしく、記憶喪失並びに、言語能力の低下
3.バグが発生しているのか、システムウィンドウが普通のプレイヤーと違う
という、ことがわかった
アスナはそんなユイの境遇に涙して、キリトも憤りを覚えた
それから二人は話し合い、可能な限りユイを保護すること
それと、はじまりの街に行って、ユイの保護者が居ないか探すことにした
理由を挙げると、ユイの年齢は見た目から察するに八歳くらい
キリトやアスナが知る限り、最年少のプレイヤーである
さすがに、そんな年齢の子供だけがログインしている訳がないと考えた二人は、はじまりの街に保護者が居る筈と推測したのだ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ユイちゃん、見覚えのある建物とか、ある?」
「うー……」
アスナに問い掛けられたユイは、難しい顔で周囲の建物を眺めていたが、首を左右に振って
「わかんない……」
「まあ、はじまりの街はおそろしく広いからな」
キリトはそう言いながら、ユイの頭を撫でた
「そんじゃあ、中央広場に向かうか」
キリトの言葉にうなずいて、アスナとユイは歩き出したが
(なんか……人が少ない?)
周囲を見ていたアスナは、首をかしげていた
「ねぇ、キリト君。なんか……人が少なくない?」
「確かにな……この街には少なくとも、二千人は居るはずなのに……ほとんど見当たらない」
キリトの言うとおり、<はじまりの街>には《軍》の本部も存在するために、住んでいるプレイヤーの数は二千人近く居るはずなのだ
それなのに、二人が見つけてるのは店に立つNPCのみ
プレイヤーの姿がほとんど見当たらないのである
NPC売り子の元気な掛け声が静かな街に響き渡り、むしろ寂しい感じがした
それから三人はしばらく街中を歩き、見つけた男性に子供が集まるような場所について聞くと
「東七区の川べりの教会に、ガキのプレイヤーがいっぱい集まって住んでる」
という情報を得た
そして、二人はその男性から信じがたい情報も聞き出した
それは《軍の徴税隊》である
なんでも、街に住んでるプレイヤーからお金やアイテム。果ては装備まで奪っていくらしい
それから二人は、男性が教えてくれた教会に向かった
「あのー、どなたかいらっしゃいませんかー?」
先に入ったアスナが聞くが、中に人影はなく、返事も無かった
「誰も居ないのかな?」
場所は合ってる筈と、アスナは首を傾げた
すると
「いや、居るぞ」
とキリトが即答して
「右の部屋に三人、左に四人……上にも何人か居るな」
と、指差した
「……索敵スキルって、壁の向こうの人数まで解るの?」
索敵スキルを習得してないアスナが、驚いたように聞くと、キリトは自慢気そうに
「熟練度九百八十からだけどな。便利だからアスナも上げろよ」
キリトの言葉にアスナは首を振って
「いやよ、修行が地味すぎて発狂しちゃうわよ……それはそうと、なんで隠れてるのかな……」
首を傾げながらアスナは、一歩奥に入って
「あの、すみません。人を探してるんですが!」
最初よりも大きく、アスナは声を出して再度問いかけた
すると、奥右側の扉が恐る恐るといった様子で開き
「……《軍》の人じゃ、ないんですか?」
中から顔だけを出しながら、女性が問い掛けてきた
「違いますよ。上の層から来たんです」
アスナとキリトの二人は、剣どころか防具すら着けていない
軍所属のプレイヤーは常に、ユニフォームの重武装を身に着けているので、見ただけで軍とは無関係とわかってもらえるはずである
やがてドアが開き、一人の女性プレイヤーがおずおずと姿を現した
暗青色のショートヘアに黒縁の大きなメガネを掛けていて、その奥の深緑色の瞳は怯えをはらみながら見開いていた
簡素な濃紺色のプレーンドレスを着ていて、手に持ってるのは鞘に収まっている小さい短剣
「ほんとに……軍の徴税隊じゃないんですね……?」
安心させるために、アスナは微笑みながら頷き
「ええ。わたしたちは人を探していて、今日上から来たばかりなんです。軍とは何の関係もないですよ」
と、アスナが言った途端
「上から!? ってことは、本物の剣士なのかよ!?」
甲高い子供の叫び声と同時に、女性の背後のドアが開け放たれ、中から数人の小柄な人影が走り出てきた
その直後、反対側のドアも開き、同じく数人駆け出してきた
二人が呆気にとられながら見守っていた中、眼鏡の女性の周囲に並んだのは全員、少年少年と言ってもいい幼いプレイヤー達だった
下は十二歳から、上まで十四歳くらいだった
全員、興味津々に二人を眺め回している
「こら、あんたたち! 部屋に隠れてなさいって言ったじゃない!」
女性が慌てながら子供達を部屋に押し戻そうとしたが、誰も言うことを聞いていない
この中では、女性だけが二十台だと思われた
少しすると、二人を眺め回していた子供の一人が
「なんだよー、剣の一本も持ってないじゃんか。ねえあんた、上から来たんだろ? 武器くらい持ってないのかよ?」
少し落胆した様子で、キリトに問いかけた
「い、いや、ないことはないが……」
キリトが眼を白黒させながらも答えると、子供達の顔が明るい表情になって
「見せて、見せて!」
と、言い募ってきた
「こらっ、初対面の方に失礼なことを言っちゃだめでしょう。……すみません、時々しかお客様なんて来ないものですから……」
女性は子供達を叱ると、申し訳なさそうに頭を下げた
「い、いえ、構わないですよ……ね、キリトくん、幾つかアイテム欄に入れっぱなしだったと思うから、見せてあげたら?」
「お、おう」
アスナの言葉に頷くと、キリトはウィンドウを開きアイテム欄から自分達の装備品以外をオブジェクト化していった
たちまち十個近くの武器アイテムがオブジェクト化されて、机の上に積み上げられた
最近の冒険でモンスターがドロップしたアイテムだが、換金する暇がなかったので放置していたのである
全て取り出したのか、キリトがウィンドウを閉じたら、子供達が歓声を上げて周囲に集まった
剣やメイスを持ち上げては
「重ーい!」
や
「かっこいい!」
などと、喜んでいた
女性プレイヤーは、困ったように首を振りながら、子供達を見て微笑んでいた
「すみません、ほんとに……」
女性プレイヤーは頭を下げると、右奥の部屋を示して
「……あの、こちらへどうぞ。今、お茶の準備をしますので……」
二人を部屋に通した
二人は女性プレイヤーが出したお茶を一口含むと、女性プレイヤーが首を傾げながら
「それで、人を探してるという話でしたが」
「あ、はい。ええと……わたしはアスナ、この人はキリトといいます」
「どうも」
アスナが名乗ってから、キリトの名前を言うとキリトとそろって頭を下げた
「あっ、すみません。名前も言わずに。私はサーシャです」
女性プレイヤー、サーシャも頭を下げた
「で、この子が、ユイです」
アスナは寝ていたユイを起こさないように、髪を優しく撫でた
「この子、二十二層の森の中で迷子になってたんです。記憶を……なくしてるみたいで……」
「まあ……」
泣きそうなアスナの言葉を聞いたサーシャは、大きな深緑色の瞳を眼鏡の奥で見開いた
「装備も、服以外はなんにもなくて、上層で暮らしてたとは思えなくて……それで、はじまりの街に保護者とか……この子のことを知ってる人が居るんじゃないかと思って、探しに来たんです。で、こちらの教会で、子供達が集まって暮らしていると聞いたものですから……」
「そうだったんですか……」
アスナの言葉を聞いたサーシャは、両手でカップを包み込みながら、視線を机に落とした
「……この教会には、いま、小学生から中学生くらいの子供達が二十人くらい暮らしています。」
声は細いが、はっきりとした口調でサーシャは話し始めた
「それくらいの子供達のほとんどは、パニックを起こして多かれ少なかれ精神的に問題を来しました。勿論ゲームに適応して、街を出て行った子供も居るんですが、それは例外的なことだと思います」
サーシャの説明はアスナにとっても、身に覚えがあることだった
宿屋の一室で閉じこもっていた頃は確かに、精神が崩壊する直前まで追い詰められていた
「当然ですよね、まだまだ親に甘えたい盛りに、いきなりここから出られない、ひょっとしたら二度と現実に戻れない、なんて言われたんですから……そんな子供達は大抵、虚脱状態になって、中には何人か……そのまま回線切断してしまった子もいたようです」
語っていたサーシャの口元が、強張った
「私、ゲーム開始から一ヶ月くらいは、ゲームクリアを目指そうと思ってフィールドでレベル上げしてたんですけど……ある日、そんな子供達の一人を一角で見かけて、どうしても放っておけなくて、連れてきて宿屋で一緒に暮らし始めたんです。それで、そんな子供達が他にも居ると思ったら居ても立ってもいられなくなって、街じゅうを回っては独りぼっちの子供に声を掛けるようなことを始めて、気付いたら、こんなことになってたんです。だから、なんだか……お二人みたいに、上層で戦ってらっしゃる方も居るのに、私はドロップアウトしちゃったのが、申し訳なくて」
「そんな……そんなこと」
サーシャの言葉にアスナは首を振りながら、必死に言葉を探そうとしていたが、喉が詰まり声にならなかった
すると、後を引き継ぐようにキリトが
「そんなこと、ないです。サーシャさんは立派に戦ってる……俺なんかより、ずっと」
「ありがとうございます。でも、義務感でやってるわけじゃないんですよ。子供達と暮らすのはとっても楽しいです」
キリトの言葉にサーシャはニコリと笑みを浮かべ、心配そうに眠っているユイを見て
「だから……私達、二年間ずっと、毎日一エリアずつ全ての建物を見て回って、困ってる子供が居ないか調べてるんです。そんな小さい子が残されていれば、絶対気付いたはずです。残念ですけど……はじまりの街で暮らしてた子じゃあ、ないと思います」
「そうですか……」
サーシャの言葉にアスナは俯いて、ユイを抱きしめた
そして気を取り直すように、サーシャに視線を向けて
「あの、立ち入ったことを聞くようですけど、毎日の生活費とか、どうしてるんですか?」
「あ、それは、時々お金や食材を届けてくれる人が居たり、私の他にも、ここを守ろうとしてくれる年長の子が何人か居て……彼らは街周辺のフィールドなら絶対大丈夫ってレベルになっていますので、食事代くらいは賄えてます。贅沢はそんなにできませんが」
二人はサーシャの言った《人》に一瞬、知り合いを思い浮かべたが、振り払って
「凄いですね……さっき街で話を聞いたら、フィールドでモンスターを狩るなんて常識外の自殺行為だって言ってましたよ」
それは、ここに来る途中で出会った男性プレイヤーが言っていた言葉である
サーシャは、キリトの言葉にうなずいて
「基本的に、今はじまりの街に残ってるプレイヤーは全員そういう考えだと思います。それが悪いとは言いません、死の危険を考えれば仕方ないことなのかもしれないんですが……でも、ですから私達は相対的に、この街の平均プレイヤーよりお金を稼いでることにもなるんです」
サーシャの言葉に二人は、なるほどと納得した
この教会の客室を借り切ってるのならば、月に百コルは必要になるはずである
「だから、最近目を付けられちゃって……」
「……誰に、です?」
アスナが問いかけると、サーシャの穏やかな眼が一瞬険しくなって、言葉を発しようと口を開いた
その瞬間
「先生! サーシャ先生! 大変だ!!」
部屋のドアが大きく開けられて、数人の子供が駆け込んできた
「こら、お客様に失礼じゃないの!」
子供達の非礼な行動に、サーシャは怒るが
「それどこじゃないよ!!」
赤毛の少年が眼に涙を浮かべながら、サーシャに駆け寄り
「ギン兄ィ達が、軍のやつらに捕まっちゃったよ!!」
少年のその言葉に、サーシャは椅子を倒す勢いで立ち上がり
「場所は!?」
別人のように、毅然とした態度で少年に聞いた
「東五区の道具屋裏の空き地。軍が十人くらいで通路をブロックしてる。コッタだけが逃げられたんだ」
そう言ってる少年の隣に、そのコッタなのだろう子供が居て、眼に涙を浮かべていた
「解った、すぐ行くわ。……すみませんが……」
サーシャはアスナとキリトに顔を向けると、頭を下げた
「私は子供達を助けに行かなければなりません。お話はまた後ほど……」
「俺達も行くよ、先生!」
サーシャに続くように赤毛の少年が言うと、数人の子供達も続いて賛同した
そして、赤毛の少年はキリトに近づくと
「兄ちゃん、さっきの武器、貸してくれよ! あれがありゃあ、軍の連中もすぐに逃げ出すよ!」
「いけません!」
少年の言葉を聞いたサーシャが、叱責を飛ばした
「あなたたちはここで待ってなさい!」
「でも!」
サーシャの言葉に、少年が反論しようとしたが、キリトが歩み寄って
「残念だけど……」
落ち着いた口調で話しかけると、子供達はピタリと静まった
「あの武器は、必要パラメーターが高すぎて君じゃ装備できない。俺達が助けに行くよ。こう見えてもこのお姉ちゃんは無茶苦茶強いんだぞ」
そう言いながらキリトが視線を向けると、アスナは大きくうなずいた
アスナは立ち上がると、サーシャに向き直って
「わたしたちにもお手伝いさせてください。少しでも人数が多いほうがいいはずです」
「ありがとう、お気持ちに甘えさせていただきます」
サーシャは深く頭を下げると、眼鏡を指で押し上げて
「それじゃ、すみませんけど走ります!」
二人を伴いながら、駆け出した
執筆中に思いついてしまったNGシーン
「あ! お兄ちゃん?」
「お、お兄ちゃん?」
「やっと会えた! お兄ちゃん!」
「え? キリトって、そんな趣味だったの?」
「んなわけあるか!!」