ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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危機感

砦の会議室、そこに整合騎士達とアスナ達が集まって会議を始めようとした時だった。

 

「む……」

 

「カーディナル様、如何なさいました?」

 

いきなりカーディナルが天井を見上げ、それに気付いたライカが問い掛けた。

 

「……空間が、揺れた……」

 

カーディナルが呟いた直後、一人の兵士がドアを乱暴に開け放ち

 

「報告します! 城塞の鍛練区域に、身元不明の剣士が現れました!」

 

と報告してきた。それを聞いたベルクーリは、一度アスナ達を見てから

 

「……そいつに関しては、俺達が対処する。案内してくれ」

 

と兵士に告げた。そして十数分後、ベルクーリを先頭にある一室に案内されて

 

「ユウキ!」

 

「アスナ! シノン! フィリア!」

 

そこに居たのは、眠れる騎士達のリーダー。ユウキだった。

 

「やっぱり、嬢ちゃん達の知り合いだったか」

 

「はい。私達の世界でも、トップの剣士の一人です!」

 

ベルクーリの言葉に、フィリアが朗らかに肯定した。

そんなフィリアの言葉を聞いて、整合騎士達が動揺していた。しかし、無理からぬことだろう。ユウキの見た目は、小柄な少女なのだから。

 

「えっと、それじゃあ改めまして……ボクはユウキです! アスナ達と同じ世界から来ました!」

 

「おう。俺はベルクーリ・シンセンス・ワンだ。よろしくな、嬢ちゃん」

 

ユウキが名乗ると、代表してかベルクーリが名乗りながら握手した。

 

「ユウキだけ?」

 

「ううん。リーファも来る筈だけど……ボクは先に来たから……」

 

徐々に時間倍率が下げられているとはいっても、まだ時間倍率は残っているために時間差もだが恐らく場所も離れているだろう。

 

「そう……」

 

「リーファ、大丈夫かな……」

 

「一応、後で特徴を教えてくれれば、見つけたら報告するように伝えるわ」

 

シノンとフィリアが心配そうにしていると、ファナティオがそう発案した。

 

「分かりました、お願いします」

 

その後、ユウキも伴って会議室に移動。会議を始めた。

最初に話し合ったのは、再編されて訓練中の人界守備軍の近況だった。

この数十年は大きな戦いもなかった為に、今の人界側の剣術の殆どは見栄え重視になってしまっており、訓練に於いても見栄えばかり意識してしまうのが殆どだ。

最近はアシュリーやリーナの影響で、少しずつだが実戦を意識する者も増えてきているが、それでもまだ全体に比べれば極少数になる。

今のままでは、暗黒界軍との戦争までに意識改革が間に合わない可能性が高いという。それを聞いたユウキが

 

「だったらさ、一度ボクやアスナがその人達と戦ってコテンパンにしてみた方が早いんじゃないかな?」

 

と提案した。それを聞いて、ベルクーリは腕組みし

 

「……少々荒療治になるが、その方が良さそうだな……嬢ちゃん達、頼めるか?」

 

とユウキ、アスナ、フィリアの三人を見た。シノンは弓使いな為に、近距離戦は出来ないと判断したのだろう。

 

「ボクは大丈夫!」

 

「私も大丈夫です」

 

「私も!」

 

「助かる。今度全体訓練があるから、その時に何人かと模擬戦形式で頼む」

 

三人が快諾すると、ベルクーリはそう言って訓練に関する議題は終わった。そして

 

「次じゃが、神聖術師隊が敵の大将らしき奴を捉えた……こやつじゃ」

 

カーディナルがそう言って杖を振ると、会議室の壇上に姿見が現れて、そこに一人の男の姿が表示された。

金髪に全体的に黒い装束、そして頭に金冠を被っている。明らかに高い身分だと分かる。

それを見てシノンが震え、アスナが

 

「間違いないわ……私達の世界から入った奴ね……」

 

と呟いた。それを聞き、カーディナルとベルクーリが

 

「ふむ、こやつがか……」

 

「アスナの嬢ちゃんが言っていた、そちらの世界からの侵略者か……」

 

とその男。ガブリエルを睨んだ。その服装から、使っているのは間違いなく暗黒神ベクタのアカウントだろう。

 

「あ、そうだ。アスナ」

 

「どうしたの、ユウキ?」

 

その時、ユウキが何かを思い出したらしく、アスナを呼んだ。

 

「えっとね、入る直前に菊丘さんと少し話したんだけど……どうも、本部のスタッフに内通者が居る可能性が凄い高いんだって」

 

「内通者が!?」

 

聞いた直後は驚いたアスナだったが、直ぐに納得した。アリシゼーション計画の本部たるオーシャンタートルは、謂わば移動拠点であり、その場所は高い機密で守られている筈である。

常に移動する拠点を見つけるなど、内通者が居る可能性が非常に高いのは道理だ。

 

「うん……今、怪しい人を探してるって言ってたけど……」

 

ユウキがそこまで言った時、ライカとアリスがあっと声を洩らし

 

「そういえば、アドミニストレーター様が気になることを言っていたような……」

 

「そうです……確か……そうだ、コード871!」

 

「コード871……?」

 

アリスの言った言葉を聞いて、アスナが首を傾げた。するとカーディナルが

 

「これはワシの推測じゃが、恐らくはアドミニストレーターの指示や禁忌目録に疑いを持つと、右目に強力な痛みを与えて、反乱するのを防ぐために仕掛けたものじゃろうな」

 

と推測混じりの内容を告げた。それを聞いてアスナは、オーシャンタートルのスタッフの中に間違いなく内通者が居るという結論に至った。

なにせ、アリシゼーション計画は完全な自律思考AIを作る為の計画だ。しかし、そのコード871は明らかにそれを阻害するものでしかない。

そんなコードが有るということは、制作スタッフが仕掛けたのは間違いない。

 

「……内通者は、誰……!?」

 

アスナは会ったスタッフを思い出すが、誰かは分からないし、UWに居るアスナ達にはどうすることも出来ない。今は、菊丘を信じるしかないと結論着けた。

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