ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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戦死と参戦

それに気付いたのは、二人で行動していた整合騎士。

エルドリエとカイエンの二人だった。

 

「あの術は!?」

 

「恐らく、闇の大規模殲滅術式だろう……放たれたら、 こちらは大打撃を被るのは間違いない」

 

二人は言葉短く会話すると、顔を見合わせた。

闇素を用いた術を迎撃、または無効化するには、光素を用いた術を使うしかない。だが、今から詠唱しても間に合わない公算が高い。

それらを瞬時に理解した二人は、神器を構えた。

エルドリエの光天鞭とカイエンの星光弓は、両方共に光属性の神器。武装完全支配術を発動すれば、誘引と迎撃が可能。

そう考えた二人は、当初のルートを外れて動き出した。

それに気付いたのは、少し離れた位置に居たアリスとライカの二人。

最初はいきなり離れ始めた二人を止めようと思っていたが、二人の神器が光り輝き始めたことから武装完全支配術を始めた事に気付き、そして暗黒界軍側からおぞましい術が近づいてきている事に気付いた。

そして、二人が誘引・迎撃しようとしている事に気付いた。

 

「辞めなさい、エルドリエ!」

 

「カイエンも辞めなさい!」

 

アリスとライカが辞めるように呼び掛けるが、それでと二人は辞めずに暗黒術。死詛蟲を誘引出来たのを確認した二人は、一気に高度を上げながら死詛蟲に対する迎撃を始めた。

 

「光天鞭よ! その光で、あの醜い術を食い破れ!!」

 

「星光弓、流星の如く撃ち抜け!!」

 

光天鞭

それは、光属性の神蛇を基にしてアドミニストレーターが生み出した神器で、武装完全支配術を開放すると、無数の光の蛇が相手が息絶えるまで噛み続ける。

星光弓

こちらは、長い間山頂で星の光を浴び続けたたった一輪咲いていた華を基にして生み出された神器で、武装完全支配術を発動すれば、まるで無数の流れ星を彷彿させる光りの矢を相手に放つ。

二人は息を合わせて、死詛蟲に対して迎撃を始めた。

しかし、幾ら二人の神器が対多に向いた神器だろうが、一度に迎撃出来る数は知れている。

二人の神器が次々と死詛蟲を撃破するが、一向に数が減ったように見えない死詛蟲は少しずつ確実に二人に近づいていく。

死詛蟲を下からアリスとライカも光素の神聖術で攻撃するが、死詛蟲はアリスとライカの二人を無視してエルドリエ達に迫っていく。

 

「オオオォォォォォォォ!!」

 

「アアアアアアァァァァァ!!」

 

エルドリエ達は咆哮を上げながら、死詛蟲を迎撃していく。だが、とうとう迎撃よりも、早く死詛蟲が二人に追い付き、二人の神器を持つ手に食い付いた。

 

「ガッ!?」

 

「ガアッ!?」

 

理論上、死詛蟲は一匹でも十分に一人分の天命値を喰らい尽くす。確かに整合騎士は、普通の人よりも高い天命値を有しているが、それでも二人に次々と死詛蟲が食い付き、二人の天命値を奪っていく。

その証拠に、二人の視界の隅に見えていた天命値がみるみる内に減っていき、あっという間に0になった。

本来ならば、ここで二人は死ぬ筈であった。

だが、二人はそこで止まらなかった。

 

「ぐうっ!!」

 

「ガアアァァァ!!」

 

二人は一度は失った意識を取り戻すと、雄叫びを上げながら武装完全支配術を行使し続け、死詛蟲を誘引し続けた。

最早、意地のみで二人は誘引し続けながら飛龍を駆りながら誘引し、最後の一匹に至るまでその身で死詛蟲を引き受けた。

 

「エルドリエ!」

 

「カイエン!!」

 

アリスとライカが呼び掛けるが、二人は返事をしないで、飛龍の背から落ちた。

 

「エルドリエ!?」

 

「カイエン!?」

 

アリスとライカは素早く飛龍の向きを変え、落ちていく二人を追い掛けて、何とかキャッチし、そのまま地面に着地し

 

「エルドリエ! 返事をしなさい、エルドリエ!!」

 

「カイエン! しっかりしなさい、カイエン!!」

 

アリスとライカは、それぞれ二人に呼び掛けた。

実はこの時、二人の天命値は0を大きく下回り、マイナス100万を下回っていた。

本来ならば、もう二人の体は消えていてもおかしくはなかった。

実はこの時、四人の居る場所に数体の人形。

暗黒術師が生み出したゴーレム、ミニオンが迫っていたのだが

 

「ハアアァァァ!!」

 

烈迫の気合いと共に、一人の整合騎士が瞬く間に撃滅した。現れたのは、銀色を基調にした整合騎士鎧を身に纏い、銀に近い色合いの髪をポニーテールにした小柄な整合騎士。

イーディス・シンセンス・テンだった。

 

「開戦には間に合わなかったけど……アリスとライカを守れてよかった……」

 

イーディスはそう言って、アリスとライカに視線を向けた。遅れた理由だが、彼女は東側の山脈の監視をしている整合騎士達の纏め役をしており、自分の担当していた地域を下位整合騎士に引き継ぎをするのに時間が掛かってしまい、来るのが遅れてしまったのだ。

そしてイーディスだが、アリスとライカを妙に可愛がっており、その命と引き換えにアリスとライカを守ったエルドリエとカイエンに、敬意を表して敬礼した。

そして、エルドリエとカイエンはアリスとライカの腕の中で息絶えて、乗り手達を失った飛龍達は悲しそうに叫んだ。

そして、アリスとライカはユラリと立ち上がり

 

『暗黒術師達……こんな事をして、無事で済むと思ったか!!』

 

涙と共に怒りの声を滲ませ、死詛蟲の放たれた方角。

暗黒術師達の陣地を睨み付け、飛龍に跳び乗り飛んだ。

そんな二人に僅かに遅れて、イーディスも後を追った。

これから始まるのは、報復である。

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