ある学校の廊下
その廊下を、竹刀袋を背負った少女が歩いていた
すると
「リーファちゃん!」
その名前で呼ばれて、リーファこと桐ヶ谷直葉はしかめっ面をしながら振り向いた
振り向いた先に居たのは、直葉の予想通りの人物だった
「アバターネームで呼ばないでって、何度も言ってるでしょう。長田くん」
直葉にそう言われた
「ああ……ごめん……でも、リーファちゃん!」
謝ってから、再び呼んでしまった
「こーらっ!」
という声の直後、慎一の頭に拳が振り下ろされた
「あ痛っ!」
殴られた慎一は、後頭部を抑えてうずくまると涙目で背後を見た
そこに居たのは、白髪をポニーテールにした美少女だった
「つ……ツユカさ」
と、慎一が言いかけると
「あっ!?」
呼ばれかけた少女、常村結華は慎一を睨みつけた
「常村サン……」
「よし」
補足だが、結華は過去に赤姫と呼ばれる程のヤンキーだったが、直葉や裕也と接していく内に丸くなった
元々彼女は面倒見は良く、一部の男子からは姐さん、同じように一部の女子からはお姉様と慕われているのだ
「つーかよ、いい加減に学習しろよな。
結華にそう指摘されると、慎一は少しうなだれて
「以後、気をつけます……」
と頭を下げた
「そうしろ」
慎一の言葉に、結華は満足そうに頷いた
「そう言えば……」
何か気になったのか、直葉は視線を二人に向けた
「私は顧問に呼ばれたからだけど、二人はどうして学校に来たの?」
この直葉の質問には理由があった
ここに居る三人はそれぞれ、既に推薦で受験を終えているために、この時期は自由登校なのだ
直葉の場合は剣道部の顧問に時々、顔を出すように言われているからで、それが無ければ、恐らくALOを長時間プレイしていただろう
「あたしは、先生と話があったからな」
元ヤンだが、結華は意外と根は真面目なのである
「確か、調理師免許を取りたいんだっけ?」
「ああ」
結華の進路を思い出した直葉が言うと、結華は頷いた
そして、二人は揃って視線を慎一に向けた
視線を向けられた慎一は、苦笑いを浮かべながら
「僕は……桐ヶ谷さんに会えるかなーと思って待ってました……」
「うわっ……暇な奴」
「もはや、犯罪者一歩手前だぞ。それ」
慎一の言葉を聞いた二人は、素直にそう思った
そんな二人の発言に、慎一は内心で少し傷つきながらも、口を開いた
「えっと、それでなんだけどね……シグルドが昨日の損失分を取り戻すから、今日も狩りに行くって言ってたんだけど……」
「あたし、パス」
直葉は慎一の言葉を遮るように、参加を拒否した
「な、なんで!?」
まさか、拒否されるとは思ってなかったようで、慎一は驚愕しながら問い掛けた
「アルンに向かう予定があるの」
直葉が楽しそうに言うと、結華が
「だったら、もしアルンに着いたらメッセージくれよな。案内するから」
と言うと、直葉は少し驚いた様子で
「結華ちゃんはアルンに居るんだ。裕也君も一緒なの?」
と問い掛けた
結華は頷き
「ああ……今じゃ、二つ名持ちだよ」
「それは凄い!」
結華の話を聞いて、直葉は素直に驚いた
すると、ようやく驚愕から立ち直ったのか慎一が口を開いた
「前に僕が一緒に行こうって誘ったら、すぐに拒否したのに……」
「あんたと一緒に行ったら、何回全滅するか分からないじゃない」
慎一が愚痴みたいに言うと、直葉は淡々と事実を述べた
一応補足すると、直葉と慎一、結華と裕也の四人は一年以上プレイしている古参のALOプレイヤーである
しかし、慎一だけは未だに、随意飛行が出来ず、しかも飛ぶ度に飛行酔いをしてしまうのだ
それがあり、空中戦の上手さ=強さになるALOでは直葉達に及ばず、先日にサラマンダーに襲われた時も直葉が一人倒した時にサラマンダーと相討ちになったのだ
それを指摘された慎一が口を噤むと、直葉は二人に背を向けて
「ともかく、そういう訳だから。シグルド達にはよろしく言っといてね!」
と言うと、直葉は駆け出した
肩越しに背後を見ると、慎一が置いてけぼりをくらった子犬みたいになっていて、少しばかり良心が痛んだ
だが、直葉はそれを押さえ込んで、駐輪場に向けて駆け出した
最近、慎一がよく話し掛けてくるために、学校では直華にとって良くない噂が流れているのだ
それを考えると、仕方ないと自分に言い聞かせた
直葉が帰宅したのは二時少し前だったが、自転車置き場には和人の自転車が無かった
どうやら、和人は未だにジムから帰ってないらしい
リハビリが終わった後、和人は失われた筋力を取り戻すためにジムに通い始めた
とは言っても、腕の細さは相変わらずでむしろ、直葉の方が太いくらいである
最近、直葉はそれを気にしている
閑話休題
直葉は縁側から家に入ると、洗濯機に持って帰ってきた道着を放り込み、スイッチを入れた
その後、二階の自室に戻って制服を脱いでハンガーに掛けた
下着姿のままで胸に手を当てると、学校から自転車でダッシュしたくらいならばすぐに落ち着くはずの心拍が激しく鳴っていた
直葉は高鳴っている心臓を落ち着かせるために、何度も大きく深呼吸したが、一向に収まらなかった
直葉は落ち着かせるのを諦めると、大きなシャツを着てベッドに腰掛けてベッド近くに置いてあったVRゲーム用フルダイブマシン《アミュスフィア》を被ると横たわった
そして、大きく深呼吸すると直葉は
「リンク・スタート!」
異世界へのキーワードを唱えて、直葉はシルフ族の妖精剣士のリーファへと変わった
接続フェイズが終了し、視界が開けると昨日にログアウトしたすずらん亭一階の風景が目に入った
テーブル向かいの席には、キリトの姿は無い
待ち合わせには一時間ほどの余裕があり、それまでに準備を終わらせる必要がある
リーファは立ち上がると、すずらん亭から出た
すずらん亭から出ると、シルフの首都スイルベーンを朝焼けが彩っていた
このALOでは、1日は十六時間に設定されている
理由としては、朝や夜にしか出来ないクエストがあるために、時間を現実に同期させると、人によっては朝しか出来ない人や夜しか出来ない人が居る
そういった弊害を無くすために、あえて1日の時間を短くしたのだ
そして、リーファはこの光景が好きなのだ
そして、あちこちの店で買い物を済ませると、ちょうどいい時間になっていた
宿屋に戻り、スイングドアを押し開けると、階段からキリトが降りてきた
「やあ、早いね」
「ううん、さっき来たとこ。ちょっと買い物してたの」
リーファがそう返すと、キリトは手をポンと打って
「あ、そうか……俺も色々と準備しないとな」
「
リーファはキリトの初期装備を見ると、顎に手を当てて
「キミの、その装備はどうにかしておいたほうがいいね」
と指摘した
リーファの指摘に、キリトも頷いて
「ああ……俺も是非とも、どうにかしたい。この剣じゃ頼りなくって……」
そう言いながら、剣を軽く叩いた
「お金、持ってる? 無ければ貸しておくけど?」
「えーと……」
リーファが問い掛けると、キリトは左手を振ってウィンドウを表示して、頬をひきつらせて固まった
「どうしたの?」
リーファが問い掛けると、キリトは目をパチクリとさせて
「……この《ユルド》っていう単位がそう?」
とリーファに問い掛けた
「そうだよー。もしかして……ない?」
最悪の可能性を想像してリーファが問い掛けると、キリトは首をブンブンと振って
「い、いや、ある。結構ある」
と言った
なぜキリトが慌てているのかリーファは内心で首を傾げるが、大丈夫と言うのであれば気にしないことにした
そして、キリトは一歩足を踏み出すと止まり、全身を軽く叩くと、最後に胸ポケットを覗き込んで
「……おーい、ユイ、行くぞ」
と声を掛けた
すると、胸ポケットから黒髪のピクシーが眠そうにしながら現れた
それを見たリーファは、妙に人間みたいなピクシーだなぁ。と思った
そして、武器屋で装備を揃え終わったら景色は夕方になっていた
防具にはそんなに時間は掛からなかったが、キリトは剣を選ぶのにかなり時間を掛けた
防具は上下を黒で統一しており、防御に補正が掛かっている物だ
そして、問題の剣は受け取って一回振る度に「もっと重いやつ」と言って、最終的にはキリトの身長と同じくらいの大剣となった
「振れるのソレ?」
「問題無い」
リーファからの問い掛けに、キリトはそう言いながら、大剣を背負った
キリトが持っている大剣は、
妖精にも得意なバトルスタイルがあり、シルフはスピード戦法を得意とし、サラマンダーはパワーを重視され、キリトのようなスプリガンはバランス型だが、キリトはどちらかというとスピード型である
本人が振れると言うのであれば、仕方ないとリーファはそれ以上は聞かないことにした
が、キリトの姿はまるで、剣士のマネをする子供のようで、リーファは笑いを必死にかみ殺しながら
「ま、そういうことなら準備完了だね! これからしばらく、ヨロシク!」
「こちらこそ」
リーファが右手を差し出すと、キリトは照れたように笑いながら握り返した
すると、その手の上にユイが乗ってペチペチと二人の手を叩きながら
「がんばりましょう! 目指せ世界樹!」
と声を上げた
それを見た二人は、微笑みながらスイルベーンで一番大きい塔に向かって歩き出した
その理由をキリトがリーファに問い掛けると、塔を登ることで高度が稼げて長距離を飛ぶのに有利だかららしい
それから歩いていると、リーファはあることに気づいた
(今日は、サクヤは居ないんだ……)
サクヤというのは、このシルフ領の領主である
その領主が居る時は、領主館に旗が出るのだが、今はその旗が無い
まだログインしてないのか、それとも出掛けているのか
(まあ、いっか)
リーファはそう自己解決すると、塔へと急いだ
そして、塔に入ろうとした時だった
「パーティーを離れるというのは、本当かリーファ」
リーファとしては、悪いタイミングで聞きたくない声が聞こえた
「そうよ……シグルド」
そう言いながらリーファが振り返った先には、シルフ族にしては大柄な男性が居た
余談だが、リーファは初めてレコンを見た時に大爆笑したのを覚えている
理由は、現実世界の本人と雰囲気がそっくりだったからである
ちなみにレコン曰わく、リーファも現実世界の直葉とそっくりだとか
閑話休題
「そんな身勝手が、許されると思っているのか?」
「身勝手って! 元々、好きに抜けていいって話だったはずよ!」
シグルドの言葉に激昂した様子で、リーファが反論すると
「お前はもう、俺のパーティーの一員という認識で通っているんだ。今更、抜けられるとでも?」
シグルドのその言葉を聞いて、リーファは歯噛みしながら、ある日のレコンの言葉を思い出した
『あんまり、このパーティーに深入りしないほうがいいよ』
いつになく、レコンが真剣な表情で言っていたので理由も聞いていた
『シグルドはリーファちゃんをパーティーの一員ではなく、パーティーブランドにする気だ』
最初、レコンのその言葉を理解出来なかったが、その後の説明を聞いて納得した
シグルドはシルフ族では《剛の者》として知られており、現領主サクヤの右腕的立場である
過去にリーファはそのシグルドとPVSP《対人戦》で勝っており、そのリーファを部下とすることで、自分の箔が落ちないようにしたいのだろう、ということ
それを聞いた時は、まさかそんな、と笑い飛ばした
が、レコンは力説した
『ALOのようなハード仕様のMMOでは、リーファちゃんのような女性プレイヤーは貴重な存在であり、それ故に戦力としてよりかはアイドルとして求められる傾向なんだ。まして、リーファちゃんみたいなかわいい女の子は伝説級武器《レジェンダリー・ウェポン》以上にレアであり、見せびらかし用に欲しがられて当然なんだ!』
と言っていた
ここから先は、彼のどさくさ紛れの告白まがいを言ってきたので、リーファはそんな彼の腹部に腰の入ったボディーブローをかまして黙らせた後、リーファは(一応)真剣に考えてみた
自分がアイドル扱いされている、という状況はどうも現実感がわかなかったし、ただでさえ覚えることの多いMMORPGが更にややこしいことになりそうだったので、リーファは考えるのをやめて今日まで乞われるままに、パーティープレイを問題なくこなしてきた
が今になって、レコンの言う通りになっている
それがまるで、重い鎖のように感じられた
(やっぱり、あの時……あの二人を追い掛けてれば良かったかな……)
リーファがやるせない失望感に押し潰されたように俯いたその時、キリトがリーファとシグルドの間に立ち
「仲間はアイテムじゃないぜ」
とシグルドを睨みながら、言った
「え……?」
「……なんだと……?」
キリトの言葉にリーファは目を見開き固まって、シグルドは唸り声を上げた
「他のプレイヤーを、あんたの大事な剣や鎧みたいに、装備欄にロックしとくことはできないって言ったのさ」
「きッ……貴様……!!」
キリトの言葉に、シグルドは顔を真っ赤にしながらマントを大仰に巻き上げながら、剣を抜いた
「屑漁りのスプリガン風情がつけあがるな! リーファ、お前もこんな奴の相手をしてるんじゃない! どうせ、領地を追放された《レネゲイト》だろうが!」
剣を突き付けながら、シグルドは叫ぶように言った
その言葉に、リーファは我慢ならずに
「失礼なことを言わないで! キリト君は、あたしの新しいパートナーよ!」
そう大声で言うと、シグルドは目を見開き
「なん……だと……リーファ……領地を捨てる気なのか……」
と驚愕を滲ませた様子で、唸るように言った
領地を捨てるという言葉に、リーファはハッとして目を見開いた
ALOプレイヤーは、そのプレイスタイルにより、大きく二つに分けられる
一つは、今までのリーファやシグルドのように領地を本拠地として、同種族のパーティーを組み、稼いだ金の一部を執政部に上納して、種族の勢力を発展させようとするグループ
もう一つは、自ら領地を出た者、理由があり執政部か領主によって領地を追われた者が中立域を本拠地として、異種族でパーティーを組み、攻略に勤しむ者達だ
前者は後者を目的意識が欠けるとして蔑視することが多く、領地を捨てた、自発的、追放を問わず、プレイヤーを
リーファの場合は、共同体としてのシルフ族への帰属意識は低いのだが、スイルベーンが気に入ってることと、後の半分は惰性で領地に留まっていたのだ
だが、今のシグルドの言葉によって、リーファの中に、解き放たれたいという欲求が急速に浮かび上がってきた
「ええ……そうよ。あたし、ここを出るわ」
リーファがそう言うと、シグルドは剣を構えて
「……小虫が這いまわるくらいは捨て置こうと思ったが、泥棒の真似事とは調子に乗り過ぎたな。のこのこと他種族の領地まで入ってくるからには、斬られても文句は言わんだろうな……?」
と地を這うような声で言いながら、シグルドはキリトを睨んだ
睨まれたキリトはどこ吹く風で、軽く肩をすくめただけであった
それを見ていたリーファは、キリトの度胸の強さに感嘆しながらも剣を抜こうとした
その時だった
「そこまでにしとけや、
新たに、第三者の声が聞こえた
三人が視線を向けた先には、シグルドと同じように大柄な男性プレイヤーが二人居た
片方は片手直剣を武器としていて、もう片方は刀を装備していた
シグルドはその二人を睨みつけると
「シュンとソンサクか……何のようだ?」
と問い掛けた
「別に……ただ、テメェが見苦しいから、忠告に来たんだよ」
「なんだと……っ!」
片手直剣を装備している男、シュンの言葉を聞いて、シグルドは目尻を上げた
「これはゲームなんだぜ? ゲームをどうプレイしようが、そのプレイヤーの勝手だろうが。お前にそれを束縛する権利なんざ、一ミリも無いんだよ」
「貴様ら……そのスプリガンの肩を持つと言うのか!」
刀を装備している男、ソンサクの言葉を聞いて、シグルドは声を張り上げた
そんなシグルドの怒りを、二人はサラリと受け流して
「むしろ、そのスプリガンが正解だって言ってんだよ」
「お前、頭は大丈夫か?」
二人の言葉を聞いて、シグルドはキリトに向けていた剣を二人に向けた
「貴様ら……有力プレイヤーだからと言って、調子に乗るなよ……っ!」
シグルドがそう言うと、二人は獰猛な笑みを浮かべて
「おもしれぇ……ヤるか!」
「こちとら、テメェに追放された妹と弟分の恨みがあるんだ……片ぁ着けようじゃねぇか!」
シグルドに誘われるよに、二人も剣を音高く鳴らしながら抜いた
すると、周囲に居たプレイヤー達がざわめき出し、緊張感が高まった
その時、シグルドの肩をシグルドの背後に居た男性プレイヤーが掴み
「マズいっすよ、シグさん。こんな所で無抵抗のスプリガンを斬ったり、あの二人を敵に回したら!」
と言いながら、シグルドを止めた
今周囲には、かなりの人数が集まっており、その面前で無抵抗のキリトを斬り捨てたりしたら、印象がかなり悪くなるだろう
更に、シグルドは二人の人気の高さを思い出した
二人は人当たりと面倒見も良く、更には勇敢
もし、この二人が投票に参加していたら、シグルドは当選しなかっただろうと言われるほどである
そんな二人を敵に回したら、二人を慕うプレイヤー達も敵に回すことになる
シグルドはそこまで考えると、悔しそうに歯噛みしながら剣をゆっくりと、鞘に収めた
それを見た二人も、ゆっくりと鞘に収めた
すると、シグルドは二人を睨みながら
「……命拾いしたな。貴様ら」
と言い、二人も睨みながら
「それはこっちのセリフだ」
「とっとと失せろ。この猪野郎が」
と悪態をついた
するとシグルドは、ゆっくりと歩き出してリーファの近くに来ると
「戻りたい時の為に、泣いて土下座する練習でもしておくんだな。リーファ」
と、怒りを滲ませた声で言うと、再び歩き出し進路上に居たプレイヤー達を突き飛ばして歩き去った
それを見送ったリーファが俯いて拳を握っていると、シュンとソンサクが近付いてきて
「大丈夫か。リーファ」
「あの野郎の言葉なんざ、ほっとけよ」
と励ましてきた
「ありがとう……ございます……」
リーファはゆっくりと拳を開くと、二人にお礼を言った
「なんのなんの」
「元々、あの野郎の事は気にくわなかったんだ。しかし、お前さん勇気あるな」
シュンは手をパタパタと振りながら返し、ソンサクはシグルドが去った方向を見ながら言うと、キリトを見た
「え、俺?」
まさか、誉められるとは思ってなかったキリトはポカンとした
「ああ、他種族の領地だってのに、あんなことを言ったんだ。大したもんだよ」
「ありがとうございます……えっと……」
キリトは軽く頭を下げながら言うと、二人を交互に見た
その意味を理解したのか、ソンサクが
「俺はソンサクで、あっちはシュンだ」
「よろしくな」
ソンサクがシュンを親指で指しながら言った後、シュンとソンサクは手を差し出した
「俺はキリトと言います」
キリトは名乗りながら、二人と握手した
「よろしくな、キリト」
「よろしく。そういやぁ、リーファ」
ソンサクはキリトと握手すると、視線をリーファに向けた
「はい、なんです?」
「ツユカから聞いたんだが、お前さん。アルンに行くんだってな? だったら、マンダーに会わないように気をつけろよ。最近はどうも、接敵する確率が高すぎる」
リーファが首を傾げると、ソンサクはそう忠告した
ソンサクの忠告を聞いたリーファは、先日にサラマンダーと戦ったことを思い出した
「……そうですね。気をつけます」
「ああ、じゃあな」
リーファの言葉を聞いて、シュンとソンサクは手を振りながら街の中に消えていった
二人を見送ると、キリトとリーファは塔に入り、魔法のエレベーターで屋上に着いた
そして、飛ぼうとした時にレコンが現れた
レコンも着いて行きたいらしいが、気になることがあるから、まだシグルドのパーティーに残ると言った
そのことにリーファが首を傾げていると、レコンはキリトに近付いて
「彼女、トラブルに飛び込んでいくクセがあるんで、気をつけてくださいね!」
と忠告した
その忠告を聞いたキリトは
「ああ、了解した」
と頷いた
その後、またドサクサ紛れで変なことを言おうとしたが、リーファが拳を腹部に叩き込んで黙らせた
そして二人は、倒れてるレコンを放置して空中に身を踊らせた
(待っていてくれ、アスナ!)
こうして、二人の長いようで短い大冒険が始まった
場所は変わり、ある一室
「どうだ……あれから、なにかわかったか?」
逆立った赤髪の大柄な少年が問いかけると、三白眼の少年と長い黒髪の少女が
「……最近、 社に某国の軍需企業が莫大な金額を融資してる」
「……ああ……しかも、その軍需企業はかなり後ろ暗い噂が絶えない」
と告げた
二人の言葉を聞いて、赤髪の少年は唸った
「こいつは、かなりきな臭いな……」
少年はそう呟くと、椅子から立ち上がり
「お前ら! 何時でも動けるようにしとけ!」
「「「「「おう(はい)(うむ)!」」」」」
赤髪の少年の号令を聞いて、その場に居た少年少女達は返答した